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ひび割れた画面のスマホを使っている人たち

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電車の中で目にすることがある。ひび割れた画面のスマートフォンを使っている人がいる。デバイス自体は痛々しいがちゃんと動作しているらしい。画面のひび割れは、スマートフォンを固いコンクリートなどに落とした際などに起こるらしい。

なぜ修理しないのだろうか?忙しくて修理に出す暇がないかもしれない。修理に時間や金がかかると困ってしまうのはよくわかる。iPhoneを例にとると、修理代はアップルストアでは9,000円ぐらいからである。結構な出費となる。アップルストアは修理のための特別の道具をもっており、これで修理を効率的に行っている。スマートフォンを自分で分解するのは危険(動作しなくなる恐れがある)なので、専門店が一番安全である。時間とお金がないとすればそのまま使える状態で頑張るしかない。本当に使えなくなると修理するという選択肢もある。私が見かけたのはそんな例だったかもしれない。

表面がひび割れているのに、指でタッチしても動作するのはなぜだろうという疑問が次に湧いてくる。

指でタッチするスマートフォンのパネルは、指側からカバーガラスがあり、その下にタッチパネルがあり、その下に液晶ディスプレイの三層構造になっている。ひび割れているのはこのガラス部分である。ガラスとパネルは透明の仕様となっており、液晶上の画像がダイレクトに表示される。指でタッチしているときは物理的にはガラスに触っているが、実はその下のタッチパネルに信号を送っている。したがってガラスが割れていてもタッチパネルに信号が送れるなら問題ない。

タッチの信号原理は静電容量型となっている。タッチするとX,Yの座標の容量が変化するのでこれを検出しタッチされた位置X,Yを割り出す。この方式の利点は複数個所でタッチしても正確にマトリックス上にスキャンし検出できる構造が取れることである。これにより、二本の指でタッチして指の間を広げたりして図形を拡大するなどのピンチ操作が可能となる。2009年アップル社のスティーブジョブズ氏がiPhoneを初めてデモしたときに、このピンチ操作のデモで起きた聴衆のどよめきが私には感動的だった(YouTubeでこのデモの全体を見ることが可能)。

ひび割れしたカバーガラスも特別なガラスが使われている。コーニング社のゴリラガラスである。アメリカ人男性はポケットに小銭をバラで入れるので、擦られて画面に傷が付きやすい。ゴリラガラスは高い透明度と強度を持っているので、小銭では傷が付きにくい。ゴリラガラスは表面に透明で柔らかな材料をコーティングしているのであるが、さすがに高所から落下させるとひびが入ってしまう。

より優れた性能を求めて、アップル社はサファイアガラスの会社に投資している。ライバルのサムスン社はコーニング社とゴリラ3の開発に挑んである。サファイアガラスはiPhone 5sのホームボタンに採用されている。指紋センサーの窓として利用されている。

スマートフォンの画面を、曲げられるフレキシブルなディスプレイが開発されている。ただ湾曲するだけでは意味がない。どのような使い方がフレキシブルな画面を必要とするかが問われている。静電容量方式がピンチ操作を可能とし、スマートフォンのユーザーインターフェイスに革新をもたらしたように、フレキシブル画面がどのような革新をもたらすかが注目される。

Agile Tech 技術本部長 河田 勉 (2013/12/24)

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