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2019年半導体設備投資は最大20%減の7兆円強に!!〜18年は9兆円を維持

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この1年余にわたり絶好調であった半導体設備投資に一気減速の機運が漂い始めた。2017年については驚異的な伸びを示し、半導体製造装置で換算すれば前年比36%増というとんでもない成長を遂げ、2018年に入っても上半期についてはこの勢いが続いていた。しかしながら、スマホ全体のマイナス成長が続いており、とりわけ中国マーケットはかなりひどい。そしてまたアップルの新製品も期待ほどではない状況から、フラッシュメモリに対する投資が次々と取り止め、または見送りとの判断に移行し始めた。

具体的には最大メーカー、Samsungが西安工場第2棟および平澤工場第2棟への設備導入を最低でも6ヵ月、長ければ1年は凍結するという情報が飛び交っているのだ。そしてまた東芝も期待の岩手北上新工場の設備導入を見送るとの話もある。Micronは広島工場隣りに工場を新設し、最大1兆円を投資するとの憶測もあったが、これも時期未定というかたちになったようだ。唯一、SK HynixのみがDRAMおよびフラッシュメモリの投資を拡大しているが、全体としてメモリのトーンダウンは免れようがない情勢となっている。

一方で、これらの動きはDRAMおよびフラッシュメモリの価格維持のためにそろい踏みで投資ブレーキ、という見方もある。DRAMは2019年明けもほぼずっと価格横ばいであるが、フラッシュメモリは2018年初に比べて約3割は下がっており、営業利益を確保するためには投資先送りという判断がメモリ各社に働いているのだ。

しかしながら、ロジック系はここに来て調子が戻ってきており、Intelは2018年の設備投資を1130億円に増額し、米国アイルランドおよびイスラエル工場の大型増強を断行する。インテルの2018年の投資はトータルで約1兆7000億円となり、再び世界の半導体設備投資をリードする存在になろうとしている。また台湾TSMCも一時期は投資減額の話が出ていたが、車載、IoTがらみでファブレスからの発注が増えており、2018年投資は1兆円を大きく超えてくる見通しになっている。

こうした状況から、Samsung、東芝などが投資を減速させても、2018年の世界全体の半導体設備投資は前年比ほぼ横ばいの9兆円を保持するのではないかとの分析が出始めた。ただ、2019年については最大20%減もありうるとの情勢であり、7兆円強まで大きく下がってくる可能性を否定できない。半導体製造装置各社にとっても、まさに踊り場状況を迎えたわけであり、今後の推移によく注意を払う必要があるだろう。

半導体設備投資のアプリケーション別構成比をみれば、NANDフラッシュメモリが全体の32%を占め、これにDRAMの25%が続いている。なんのことはない。直近の半導体投資は何と全体の57%がメモリに傾注という歪んだ図式になっている。それだけにスマホの勢いが衰え、需給バランスが崩れてくれば、投資に対する意欲が衰えてきたのは当然のことなのだ。加えて期待のデータセンターに対する世界の設備投資も中国を筆頭にやや勢いがなくなってきている。しかしながら、今回の投資減退はいつにかかってメモリ主体であり、半導体全体が総崩れになっているわけではないことは強調しておきたい。

実際のところ、メモリを除く半導体は、IoT革命を背景に相変わらず好調な伸びを続けている。2018年のマイコン出荷数は前年比18%増となる見込みで300億個を越えてくるだろう。パワー半導体も車載向けの引き合いが強く2桁成長の勢いであり、各種センサ半導体についても10%以上の伸びが続いている。ワイヤレス通信向けアナログも前年比23%増と絶好調なのだ。ファブレス大手のQualcommは台湾にマルチメディア研究開発センターとモバイルAIイノベーションセンターを2019年はじめからの運用開始を見込んでいる。

それにしても、かのアメリカの絶叫男であるトランプ大統領の中国に対する経済制裁は激化する一方であり、中国企業においては200兆円もの株式時価総額が吹っ飛んだわけであり、太陽電池をはじめとして次々と政府系の補助金がカットされ始めている。その補助金があるからこそ、中国は爆裂的な設備投資をあらゆる分野に断行してきたわけであるが、今後はそう簡単にはいかないだろう。今や半導体業界の関心はトランプ大統領がいつ振り上げたこぶしを下ろすのかに集まっていくだろう。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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