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IoTの一番大きな効果は生産革新、次いで車載、データセンタに有効

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「IoTが一番効力を発揮するのは、世界のあらゆる産業における生産ラインの革新である。ここが何といってもマーケットとしても大きい。次いで安全走行、自動運転に向う次世代のコネクテッドカーに大きな市場がある。もちろん、データセンタの規模も大きくふくらみ、半導体メモリが一大ブームになる」。こう語るのは、半導体アナリストとして長く活躍する南川明氏である。筆者との交流は30年にもなる古き友人でもある。

IoT革命によって生み出される新たな市場は、少なく見積もっても360兆円はあると言われており、エネルギーの1300兆円、医療の560兆円に次ぐとんでもない新市場が形成されることになる。このIoT革命をめぐって世界の企業は、それこそ死に物狂いでその体制を整えつつある。

IoTの上流を形成する人口知能(AI)、ハイエンドサーバ、各種のITサービス、自動走行などの車載IoTについては米国がぶっちぎりで疾走しており、これからもその地歩を固めていくだろう。また、中国は今や一般家電製品の製造については世界チャンピオンであり、太陽電池、液晶などの電子デバイスの製造においてもひときわ存在感を放ち始めた。スーパーコンピュータの世界においても中国は強い。3年連続で世界最速の記録を樹立し、台数ベースにおいても米国に比肩し、世界トップに躍り出ようとしている。

こうした米中激突のはざまで我が国ニッポンはどう戦っていくのか。IoTにより通信の数は膨大になっていくが、そうなると人間の五感にあたるセンサがかなり重要なポジションを占めてくることになる。日本は世界ナンバーワンのセンサ王国であり、マーケットシェアの50%以上を握っている。人間の眼にあたる半導体センサではソニーが圧倒的シェアを持ち、血圧センサの世界ではオムロンがトップを走り、圧力センサにおいてはデンソーが王座の地位を固めている。温度という分野においてデファクト・スタンダード(事実上の世界標準)を持つのが、センシング技術に優れるCHINO(チノー)というカンパニーであり、なんと1936年設立(80周年を超えた)の老舗企業なのだ(注)。

ところでIoTの重要な要素を占めるのが、「人を介さない社会」という概念であり、当然のことながらロボットがAIと並ぶ主役となっていく。日本企業はこのロボットの分野においてもめっぽう強い。世界シェアの6割を握り、設備投資においても先行している。総合世界王座は安川電機、FA系トップはファナックであり、半導体工場の搬送系は川崎重工業、液晶工場向けでは日本電産がそれぞれ世界の首位を走っている。

そして世界のデータ処理量が現状の8 ZB(ゼタバイト)から2020年にはなんと5倍を超える44 ZBまで広がり、データセンタの主要記録媒体がハードディスクからフラッシュメモリをベースにしたSSDに置き変わっていく。こうなればフラッシュメモリの生みの親であり、サムスンと世界トップ争いを演じる東芝の今後の巨大投資に注目が集まってくるだろう。

東芝の一大主力工場である四日市工場のフラッシュメモリ生産ラインには、すべての装置にセンサモジュールが付けられており、既にIoTプロセスが世界に先駆け完成されている。メモリ事業分社化の波に揺れる同社の健闘を心から祈っている。

(株)産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

編集室注)1986年以前は千野製作所としてエレクトロニクスの世界では知られていた。

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