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MEMSベンダー売上高30社ランキング:TDK、キヤノン、村田、エプソンが入るも中国勢が猛攻

フランスの半導体市場動向調査会社であるYOLE Groupが、2025年世界MEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30を発表した(図1)(参考資料1)。これら30社を本社所在地で見ると、北米(米国+カナダ)15社、欧州6社、中華圏(中国+台湾)5社、日本4社となっており、北米勢の活躍が目立つ。YOLE Groupは、日本だけ国別で集計しているが、これは、かつて日本がランキングトップ30 に2桁の企業がエントリするほどのMEMS大国だった名残であろう(表1)(参考資料2)。

Top30 MEMS Vendor companies: 2025 rankings / YOLE Group

図1 世界MEMSサプライヤ売上高ランキング・トップ30(下段)と各社の対前円比売上高増減率(上段):16位以下の企業名は一般非公開 出典:YOLE Group


日本企業としては、5位にTDK、12位にキヤノンが入っている。YOLEは公開情報としては16位以下の企業名を明らかにしていないが、同社への取材から、18位に村田製作所、22位にセイコーエプソンが入っていることが判明した。この4社は、2022年以来、トップ30の常連となっている。ただし、この4社とも2025年には順位をわずかとはいえ落としている。2018年までのトップ30ランキングには、パナソニック、旭化成、アルプス、デンソー、オムロン、ソニー、太陽誘電など2桁の日本企業が入っており、世界に日本の存在感を誇示していたが、徐々に脱落していき、2022年以降は4社へと減少してしまった。
 
トップ3位までを欧米勢が抑え、下位から中国勢が猛攻してきて、日本勢が板挟み状態にある構図は、パワー半導体業界の状況に類似している。


日本MEMSランキング

表1 世界MEMSサプライヤ売上高ランキング・トップ30にエントリした日本企業の順位の変遷:空欄はランク外(31位以下に下落あるいはMEMS事業撤退)を示す。 出典:YOLE Groupの過去のデータをもとに筆者作成


Robert Bosch、STMicroelectronics、TDKはMEMSセンサ分野で引き続き主導的な地位を維持し、BroadcomとQualcommはRF MEMS分野で優位性を維持したとYOLEは評価している。BoschはMEMS分野で最大のプレーヤーとしての地位を維持し、2025年には前年比6%増となる22億ドルの収益を上げた。

最も目覚ましい業績を上げたのはSiTimeで、売上高は2024年比で61%増加した。この成長は、通信分野におけるMEMSタイミングデバイスの採用拡大が牽引したもので、MEMSデバイスは水晶発振器ベースのソリューションに比べて振動や温度変化に対する耐性に優れている。同社は、2026年7月にルネサスエレクトロニクスからタイミング事業の買収を完了したため、さらに発展するだろう。

中国では、MEMSサプライヤが100社以上存在し、MEMSエコシステムを強化し続けており、技術革新と積極的な価格戦略によって競争を激化させている。生産コストの上昇に伴い、企業は競争力維持のためのプレッシャーにさらされ、弱い企業は市場から淘汰される一方、強い企業は成長を続けるだろう。ランキング21位の中国企業は、2025年に前年比62%と30社中最高の伸びを示している。


MEMS市場は6%で成長し2031年には240億ドル規模へ

Yole Groupによると、2025年のMEMS市場は前年比7.6%増の171億ドル、出荷個数も330億個を超えたという。また、データセンターを中心に、ヒューマノイドロボット、スマートアイウェアなどをけん引役として2031年までに年平均成長率(CAGR)6.1%で成長し、240億ドル規模、出荷個数も420億個に達すると予測されるという。

MEMS業界が成長を持続させるためにはインテリジェンス、小型化、電力効率、コスト効率などを向上させる必要があり、その実現に向けて設計や統合、ソフトウェアやパッケージングなどバリューチェーン全体でイノベーションが起こりつつある。

YOLEは、AIデータセンターがMEMSの成長復活を牽引し、次は, 圧力センサ、超音波トランスデューサ、磁気センサ、マイクロフォン、光学デバイスなど、複数のMEMSセンサを内蔵するヒューマノイドロボットがけん引するだろうと見ている。

キヤノンやエプソンは、自社の主力商品であるプリンタ用にプリントヘッドをMEMS加工技術で大量に製造して、きわめて堅実なビジネスを行ってはいるが、世界のMEMS業界にイノベーションを起こすような発展性は果たして期待できるだろうか。日本勢も、他国企業のようにAIがけん引する新たなメガトレンドに乗って発展してほしいものだが、うかうかしていると目ざとい中国勢に越されてしまいそうだ。

参考資料
1. ”MEMS industry: AI drives a growth resurgence”, YOLE GroupプレスリリースPress releases、(2026/07/15)
2. 服部毅、「2018年のMEMS市場は118億ドル規模、日本企業はトップ30社中10社
マイナビニュースTECH+、(2019/06/11)

Hattori Consulting International代表/国際技術ジャーナリスト 服部 毅
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