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キオクシアはじめ半導体企業が製造現場でAI活用し生産効率向上

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半導体製造装置および製造プロセスの先進的制御(Advanced Equipment Control/Advanced Process Control:AEC/APC)に関する国際シンポジウム「AEC/APC Symposium Asia 2019」が、「データサイエンスに基づくデジタルツインで新たな価値を創造しよう」というテ―マの下、11月13日に東京都内で開催された。

主催は、半導体製造のノウハウをサイエンスに高めてScientific Manufacturing(科学的製造)をめざす半導体製造国際シンポジウム(ISSM)組織(事務局:セミコンダクタポータル)で、AEC/APCシンポジウムは、ISSMの姉妹会議の位置付けとなっている。後援は、電子情報技術協会(JEITA), 日本半導体装置協会(SEAJ)、国際半導体装置材料協会(SEMI)など。科学的な半導体製造で歩留まりや生産性を向上させるための核となるAEC/APCに関して、海外からの参加者も交えて活発な議論が行われた。


図1 AEC/APCシンポジウムAsia 会場風景:講演会場(一橋講堂、左)とポスター会場(右) (著者撮影)

図1 AEC/APCシンポジウムAsia 会場風景:講演会場(一橋講堂、左)とポスター会場(右) (著者撮影)


AEC/APC Symposiumは、デバイス、装置、材料、ソフトウエア、センサ、メトロロジーなど半導体関連メーカーやAI/IoT関連企業が一堂に会し、よりインテリジェントで高効率な生産システムの構築を議論する場として、米Sematechが主催して北米・欧州・アジアの世界3ヵ所で開催されてきた。Sematech解散後は、各地域が独立して開催されている。米国ではAPC Conference、欧州ではAPC & Manufacturing Conference(APC/M)の名称で毎年開催されている。アジアでは日本でISSMと交互に隔年で開催されている。

データサイエンスに基づくデジタルツインの実現が重要

半導体の製造装置ではIoTを活用することで多角的なプロセスの状態をセンシングする技術が進化している一方、そうして収集された大量のデータを扱えるAI技術の登場で、APCは急速に進化してきている。今回のテーマを「データサイエンスに基づくデジタルツインで新たな価値を創造しよう」とした背景について西村組織委員長(ルネサスエレクトロニクス)は「実際の製造における現象をよく観察し考察された現実世界のモデルと、各種データを収集してデータサイエンスに基づいて構築したデジタル空間のモデルの両方が無いとAPC/AECのとして使い物にならないし、良い論文には仕上がらない。両方のモデルが双子であること(Digital Twin)に意味があり、それがデータサイエンスを根っこに持っていることが重要であることを意識して論文を投稿し、デジタルツインを意識して発表を聞いて頂きたい。これがこのテーマを設定させて頂いたときの思いである」と述べている。 

キオクシアの製造現場での機械学習活用が最優秀論文賞

今回は基調講演やチュートリアルのほか、筑波大、東芝、キオクシア(旧東芝メモリ)、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、ルネサスエレクトロニクス、日立製作所、パナソニック、東京エレクトロン、アズビル、米BisTel、シンガポールGlobalFoundriesから合計15 件の発表が行われた。そして、キオクシア四日市工場の田中祐加子氏が発表した「機械学習を活用した異種ウェハマップ間の類似性分析」が最優秀論文賞に輝いた。機械学習手法を適用して、異種マップ間の類似性を高速で分析する手法を開発し、分析作業時間を99%削減することに成功したという。

なお、本シンポジウムで発表された全15件および基調講演、チュートリアル講義については、本稿との重複を避け参考資料1で紹介した。

本シンポジウムの柿沼プログラム委員長(キオクシア)は、発表された論文を総括して、「今シンポジウムでは、従来からモノづくりの現場でデータに基づいて判断し実行するデータドリブンな報告が多い。その中で、ここ最近の傾向として、現場で収集されているビッグデータにAI機械学習を適用した報告が増えている。ただ単にAI機械学習をブラックボックスとしてではなく、制御理論や物理化学に裏打ちされた考察を取り入れている。最優秀論文は、2回連続で女性技術者が受賞したことは、この分野で女性が活躍している証拠で、喜ばしい」と述べている。

西村運営委員長は今回のシンポジウムを振り返って「この2年で世の中の環境が大きく進歩し、ディープラーニングもAIも外部(半導体産業以外)に豊富な事例が存在するようになった。それらを参考にして、画像データを使って製造改善する事例(キオクシアの最優秀論文など)も出てきた。プロセス技術以外の発表が増えたのもAPC/AECをベースにした技術の適用範囲の広さを示しており、今回の特徴と言える」と述べている。

次回のAEC/APCシンポジウムAsiaおよび親会議のISSMは、それぞれ2021年11月、2020年12月に東京で開催予定である。なお、来る12月11日(SEMICON JAPANの初日午後)に「AI活用であなたの工場をスマート化!〜オープンソースではじめる機械学習入門から半導体製造へのAI応用まで〜」をテーマに「ISSM戦略フォーラム2019」がSSEMICON JAPAN関連イベントとして開催される。これは、1年後に開催されるISSM2020に向けた企画推進イベントで、今回のAEC/APCシンポジウムで議論された機械学習とその半導体製造への応用に関してチュートリアルとパネル討論が行われる。参加は無料だが、事前登録が必要である。

参考資料
1. 服部毅:「学会レポート:AIとIoTで半導体製造の高度化を目指す - AEC/APC Symposium Asia 2019」(発表論文、基調講演、チュートリアルの紹介, 3回連載)、マイナビニュース (2019/12/03)

Hattori Consulting International代表・ISSM運営委員 服部 毅

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