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iPhone 7のチップを推察する

そろそろ、iPhone 7のうわさがいろいろなメディアやウェブサイトで流れるようになってきた。ただし、全て外側のデザインの話ばかりが目につく。iPhone 7に使われる半導体や部品は何か。セミコンポータルは、こういった視点でiPhone 7を探っていく。

セミコンポータルは、3月15日(火)に東京御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで、SPIフォーラム「iPhone 7の姿を追う」を開催する。スマートフォンの売れ行きが鈍り、昨年夏から中国の景気後退が伝えられたものの第4四半期には盛り返し、前年同期比8%増に成長し、2015年全体での中国におけるスマホの出荷台数は3%増にまで回復した、と2016年2月15日にIDCは報告している(参考資料1)。回復したといってもスマホの成長率は1桁にとどまった。

スマホは半導体・エレクトロンクス産業をけん引してきたが、どうやら成長率が鈍ってきている。最も鈍っているといわれる中国でさえ、1桁に留まっているがプラス成長である。これまでのパーセントをベースにする等比級数的な成長ではなく、何千万台増加するという等差級数的な成長に変わるに違いない。さて、スマホはこれからもエレクトロニクス・半導体をけん引するのか。ポストスマホは何か。現在進行形で取材を進めている立場から見て、スマホの次は何か、について議論していく。

代表的なスマホであるiPhoneは、2007年のデビューから最新モデルのiPhone 6sまで登場してきた。Appleは部品サプライヤーに対して、納入先のAppleという名前を出すことを禁じている。サプライヤーからAppleの名前を出すことはできないが、iPhoneを購入して分解して見ることはAppleといえども止められない。スマホを分解する第三者機関はたくさん現れ、ティアダウン解析によりサプライヤー名や製品名がほぼ明らかになってきた。

しかし、半導体チップの中身について語られることはほとんどなかった。単に、16/14nm FinFETプロセスで作っているとか、ファウンドリがSamsungだけから、TSMCも加わったとか、チップ製造に関する大雑把な情報しか伝わってこなかった。噂話も多い(参考資料2)。iPhoneが開発された頃、ARMはCortexプロセッサコアに、Intrinsityのドミノロジック技術を加え(参考資料3)、消費電力を上げずに性能を上げたらしいことをセミコンポータルで報告したが、本格的なティアダウンが始まっても、チップアーキテクチャの話はほとんど出てこない。もちろん、消費電力を下げるためのパワーゲーティング、クロックゲーティングなどの回路技術の話も出てこない。

半導体技術者である、元ルネサスエレクトロニクスの清水洋治氏のティアダウンは、ちょっと違う。iPhoneをティアダウンした後、モールドパッケージをはがし、シリコンチップまで観察してきた。チップ内部まで解析してきた。時にはFIB(focused ion beam)技術でチップ断面も観察したという。清水氏はiPhoneの初代からiPhone 6sまで分解してきた。3月15日のSPIフォーラムでは、彼の眼を通し、iPhone 7に使われるチップを推察していきたいと思う。


参考資料
1. China Smartphone Market Sees Its Highest Shipment Ever of 117.3 million in 2015Q4 (2016/02/15)
2. iPadのアプリケーションプロセッサA4を巡るさまざまな憶測から真実を探る (2010/04/06)
3. ARMがCortex-R4の速度を倍増する技術でIntrinsityと提携 (2007/07/24)

(2016/02/18)
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