ARMがCortex-R4の速度を倍増する技術でIntrinsityと提携
英国のARM社は、Cortexファミリの速度を2倍にあげる技術で、米Intrinsity社と提携、その第一弾としてIntrinsity社のFast14 1-of-N Domino Logic技術を使ったCortex-R4Xプロセッサコアを開発する。
動作周波数は600MHzとなり、大容量ストレージやネットワーク装置、プリンタなどへの市場に食い込むことができる。この技術を使えば消費電力はさほど変わらず、プロセス技術もそのままで、動作速度を上げることができる。2008年の第1四半期からライセンス契約を開始する。
ARMは携帯電話市場にはめっぽう強く、それ以外の分野も強化しようとしているが、今回の提携はその一環である。同社は2010年までに携帯電話以外の応用を50%にまで持っていく目標を掲げている。Cortex-4Xの性能を600MHzにするのは、TSMC社の65nmLPプロセスを使う場合である。
従来の組み込みIPプロセッサコアは、合成可能なスタティックロジックで実行してきたものが多く、クロック速度を上げることが難しかった。これに対してIntrinsity社のFast14技術を使えば既存のRTLコアのほぼ2倍のクロック周波数に上げることができる。さらに重要なことだが、RTL FastCoresは正確な周期で、既存のコアにそのまま置き換えられるため、既存のコアで使っていたソフトウエアやテスト用のインフラを使うことができる。
これまでのダイナミックロジックだと、タイミングやノイズの問題を解決するための手間やコストがかかっていた。これに対して、Fast14は、遅延やスキューが小さいためオーバーラップしている多相クロックでもタイミングを取るのか簡単だという。加えて、タイミングやノイズ耐性、EMC/EMI、消費電力などを満足させるためのデバイスサイズの変更が自動でできる、1-of-NのNがバイナリではない数を設定できる、などのメリットがある。自動的にセルを生成できるため、設計者は論理の生成に集中できる。