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1年ぶりのGlobalpress主催のe-Summit、早くもPR会社からの誘いの手

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1年ぶりにGlobalpress Connections主催の「e-Summit」にやってきた。知り合いの韓国、台湾、英国、スウェーデン、フランス、イタリアなどの記者たちが私の顔を見て地震は大丈夫だったのか、と心配してくれる。私も1年ぶりにいろいろな国の記者やジャーナリストに会えるので楽しみにしている。1年に一度のコンファレンスだが、昨年あたりから日本のPR会社の方もe-Summitでの単独インタビューをアレンジしてくれるようになった。

今回も単独インタビューの予定に入っていなかった、企業について取材してくれと言われたが、基本的なスタンスは崩さない。私のようなジャーナリストは、「記事はお金をもらったり、広告主から頼まれたりして書いている訳ではない」というスタンスを示すためにも、「書けというオブリゲーションがあるのなら取材しません」と言ってきた。今回のような招待取材の場合は特に、このスタンスを保つ。聞いた話が全く新しく業界にインパクトを与えそうであれば書く、という姿勢が私のような業界ジャーナリストの基本である。

出版社の中には、「アゴ足つきの」招待出張は一切受けない、そのような機会があるのなら必ず出版社が往復のフライトチケットなどの経費は出す、というかたくなな姿勢の所もある。しかし、これでは時期によって赤字だったり、出版社自身の特殊事情のために出張禁止だったりするような場合には行けない、取材の機会を失うことになる。メディアであるのにもかかわらず、取材の機会を編集者が選ぶことはできないのである。編集の独立性を叫ぶジャーナリストのあるべき姿だろうか。

世界各国の産業ジャーナリストが集まる、このような場所にきて他の国のジャーナリストたちとどのようなスタンスで招待取材を受け入れるのかを議論することは、この姿勢を確認する上でも重要である。米国のEDNやEE Times、Electronic Design、ElectroIQなどの編集長たちとどのような基準を作っているか、グローバルスタンダードは何か、を自分なりに探った結果が、最初に述べた「書けというオブリゲーションがあるのなら取材しません」という姿勢である。

米国のみならず欧州の記者でもフリーランスのジャーナリストは増えている。これは従来のメディアがつぶれたりリストラしたりした結果である。さらに従来の報道1本やりから、インターネットブログ、ツイッター、SNSなどのもっと身近なメディアへという新しい手段のメディアが増えてきたこととも符合する。ここへきて、今フリーランスになった記者たちが集まる新しいメディアを立ち上げようという動きもある。だが、旧態依然としたコンテンツではなく、新しいSNSと相補的役割を探るメディアのコンテンツではない限り広い読者に受け入れられないだろう。

このセミコンポータルでも広い読者に受け入れられるコンテンツ(ページビューの高い記事)は、決して記者会見などの発表モノではない。そこに独自の視点を入れて解説した記事、あるいは誰も取材できなかった企業の記事、新しいアイデアを提案する記事など、セミコンポータルにしか載っていない、従来メディアやSNSとの差別化を意識したコンテンツである。

幸いにもこのGlobalpressのコンファレンスに来ると、日本では手に入りにくい企業の取材ができる。テクノロジーの分野でこの1年間最高のPVを獲得した記事はやはり、「サムスンがロジック向けの32nmファウンドリ戦略をセミコンポータルに語る」だった。ファウンドリ事業の最高責任者であるオースチン工場のアナ・ハンターさんが、「エコフレンドリな技術」というテーマのパネルディスカッションのパネリストとしてきているため、そのパネルでの話とは全く異なるファウンドリというテーマでの話を聞くことができた。日本のメディアとして初めての取材機会だった。彼女は3月1日にGSA(Global Semiconductor Association)のメンバーの一人としても来日し、再び会うことができた。GSAの話は3月2日の記事「渡りに船か、半導体企業のグローバルへの進出とそのコラボを助けるGSA」を参照。

今回も、セミコンポータルの会員読者に価値のある情報を提供して、半導体ビジネスの一助になるようなコンテンツを作っていきたい。今回は日本からの出席が私も入れて3名と初めて多い人数になった。EE Times Japanの薩川格広記者と電子ジャーナルのコラムニストである服部毅さんが参加している。メディア同士の競争が生まれるが、それよりもこういった機会から半導体産業の役に立つような記事が次々を作られることを望む。

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