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Element Six社、GaN on Diamondウェーハで熱抵抗を4割削減

電気的には絶縁体ながら熱伝導率がCuの5倍と高いダイヤモンドウェーハを、英国のElement Six Technologies社が開発しているが、このほど直径4インチのGaN-on-Diamondウェーハを開発、発熱の大きな高周波パワーデバイスに向くことを実証した。このウェーハは今夏に販売するという。

図1 ダイヤモンドウェーハ製品の熱伝導率はCuよりも数倍高い 出典:Element Six Technologies

図1 ダイヤモンドウェーハ製品の熱伝導率はCuよりも数倍高い 出典:Element Six Technologies


昨年、ダイヤモンドCVD膜の販売をElement Six社が始めたことを報じた(参考資料1)が、ダイヤモンド膜は熱伝導率が極めて高く、同社の製品には2000 W/mKというものもある(図1)。

このほど、GaN半導体でHEMTデバイスを試作、GaN-on-SiCで試作したHEMTと高周波パワー動作を比較した。その結果、ダイヤモンドを用いたHEMTは放熱効果が高いことからGaN-on-SiCウェーハと比べ、熱抵抗が40%も低下した。熱抵抗が小さいということは、デバイス内部に熱がこもりにくいということである。このため、高周波の出力特性を改善し動作温度を上げることができる。

HEMTの高周波特性は以下の出力特性が得られている。周波数10GHz、ドレイン電圧40Vで、電力付加効率PAEは20 dBmの時に最大で46.7%、最大出力は31.7 dBm(7.4 W/mm)であった。ドレイン電圧を28Vに下げると、約55%のPAEで最大5 W/mmの出力電力を得た。

GaN-on-Diamondのウェーハは、Si基板上にAlGaN遷移層、さらにGaN層を形成したのち、GaN上にダイヤモンド膜を厚く形成したもの。Si基板とAlGaN遷移層はダイヤモンドをプラズマCVDで形成する前に削り落としておく。この遷移層にある全ての欠陥がここで取り除かれるという。GaNの上に厚さ35 nmのバッファ層を形成しておき、厚さ700 µmのダイヤモンドを形成している。

HEMTデバイスはGaN側に形成する。プラズマCVDによる700 µm厚のダイヤモンドの熱伝導率は1550 W/mKと成膜状態にしても、バルクのCuの熱伝導率の398 W/mKより4倍程度も高い。

参考資料
1. 銅の5倍の熱伝導率を持つ合成ダイヤ薄膜で、日本市場狙うElement Six社 (2013/08/30)

(2014/06/18)
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