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LEAP、不揮発性メモリTRAMの設計指針を確立

超低電圧デバイス技術研究組合(LEAP)は、Te(テルル)を使うカルコゲナイド材料を超格子に積層させた抵抗型メモリであるTRAMの理論モデルを構築、性能や消費電力向上のための設計指針を確立した。これをIEDM(International Electron Device Meeting)でレポートした。

図1 カルコゲナイド超格子を使ったメモリの原理モデル 出典:LEAP

図1 カルコゲナイド超格子を使ったメモリの原理モデル 出典:LEAP


GeTe/Sb2Te3の超格子構造のメモリが動作電圧の低減と高速スイッチングが可能であることを、セミコンポータルはすでにレポートした(参考資料1)。これまでは、Geが超格子内を移動することで、低抵抗と高抵抗の状態を遷移する、という定性的な理解であった。今回、Ge原子が超格子の中を移動する時の最小のエネルギー経路と、超格子内の電荷との関係を第一原理計算によって求めた。この結果、初期状態のGe-Ge間の距離が短い状態では、電子はGe-Ge間にたまり、抵抗が高くなり、バイアスをかけてGe原子同士が引き離される状態になるとGeの移動方向に電子が両者間で減少する、ことを確認した(図1)。

これを実証するため、LEAPは厚さ数十nmと試料を薄く削り、TEM(透過型電子顕微鏡)を通して観察した(図2)。するとGe-Te結合のねじれた状態が見られ、Ge原子が移動している様子がわかった。


図2 GeTeの層にGe原子配列のねじれを観測 出典:LEAP

図2 GeTeの層にGe原子配列のねじれを観測 出典:LEAP


このことから、Ge原子がTe原子よりも少なく、原子空孔が多い超格子だとGe原子が移動しやすく、低エネルギーでの遷移がおこりやすい、とLEAPは考えた。このため、GexTe1-x/Sb2Te3という超格子構造で、x > 0.5ないしx = 0.5よりもx < 0.5にしてGe原子の空孔をある程度作る方がGe原子は動きやすいはずだと考えた。そこで、従来組成のx = 0.5とx < 0.5の超格子を作製、比較し、電気的特性を測定した(図3)。


図3 Geの空孔を作ると動きやすくなり遷移電圧を下げられる 出典:LEAP

図3 Geの空孔を作ると動きやすくなり遷移電圧を下げられる 出典:LEAP


図3に示すように、低抵抗から高抵抗、そしてその逆の過程に必要な電圧はいずれの場合も、従来のx = 0.5の材料よりも電圧は低くなった。低抵抗から高抵抗へは、従来組成だと1Vだったのが0.7Vに下がり、高抵抗から低抵抗へは従来1Vだったが、ここでは0.6Vに下がった。

加えて、熱による影響ではないことを確認するため、熱伝導率の異なる材料を変えてみた。その結果、高抵抗になる電圧はどの熱伝導率の材料を用いてもほとんど変わらなかった。

LEAPは今後、メモリとしての動作を確認する作業に着手する。この方式でメガビット級のメモリは製作可能だという。ただし、大容量メモリを作る前に、隣接セルとの干渉や、変化する領域としない領域の有無、バラつきなどについても確認していく。NANDフラッシュのSSDよりも100倍高速という特長を生かした応用をLEAPは探っていくとしている。

参考資料
1. 新型相変化メモリをTRAMとLEAPが命名 (2014/02/18)

(2014/12/16)

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