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Xilinx、用途をやや限定したソフト/ハード開発キットを6種類提供

ザイリンクス(Xilinx)がFPGAを使ってシステムを開発しやすいようにコネクティビティ用途、DSP込みのFPGA、組み込み系FPGAと、用途を限定した開発キットを発表した。同社の高性能FPGAのVertex-6ファミリー向けと、低価格のSpartan-6ファミリー向け。チップを売るだけではもはやビジネスにならない。チップユーザーがユーザーのシステムにそのチップを使ってもらうため、開発ツールも用意することは欠かせなくなってきた。

Xilinx 開発キット


ザイリンクスは開発キットを品種ごとに応用ごとに開発するのではなく、できるだけ共通化した開発キット(ベースプラットフォーム)を作ることを2009年2月に発表していたが、今回発表した開発キットは共通のベースプラットフォームの上にドーターボードとして乗るドメイン特化の開発キットという位置付けになる。この開発キットをパソコンにつなぎ、ソフトウエアとドキュメントをUSBメモリーで供給する。

今回、用途を主に3種類、FPGAの品種を2種類の計6種類の開発キットを提供する。それぞれのキットは似ており、基本となるベースのプラットフォームを拡張できるようにした。用途をある程度絞り込んだのは、アプリケーションが複雑になってきたからだという。

Virtex-6、Spartan-6のコネクティビティ開発キットの狙う用途は、それぞれ高速データレートのシリアル通信であり、シリアルトランシーバで装置を小型にしたい用途、である。例えばPCIeからXAUIブリッジへの接続や、PCIeからGbEへの変換などを行う用途だ。また、DSP開発キットでは、MRI/CTなど医療機器の映像処理など高速の超並列動作向けのVertex-6向け、標準的なDSPを含むFPGA開発にはSpartan-6向けを用意している。もっと一般的な組み込みシステム向けにはVirtex-6/Spartan-6エンベデッドデザインキットを使う。ユーザーはソフトウエア開発とハードウエア開発を最初からできる。

例えば、インドのソフトウエア開発会社タタ・エレクシーは通信システムを開発する場合にSpartan-6組み込み用開発キットを使ってみたという。従来はネットワーク用プロセッサの負荷が重すぎてほしいバンド幅が得られなかったが、この開発キットを使って独自の圧縮アルゴリズムを組み込むことで、所望のバンド幅をFPGAで実現できた、と同社製品マーケティング担当ディレクタのBrent Przybus氏は言う。これは独自の圧縮アルゴリズムをFPGAのハードウエアロジックで組むことによって実現したわけだが、そのハードウエア回路のアドレス番号をソフトウエア開発の際にマッピングして与えておけばよい。ユーザーは自分の得意な開発に集中できるため、開発期間の短縮につながったとしている。これまでだと6ヵ月かかったがこの開発キットを使うことによって4ヵ月で済んだという。


Xilinx


2品種のエンベッデッドキットとSpartan-6コネクティビティキットは入手可能だが、Vertex-6コネクティビティキットは2010年1月から受注、DSP開発キットは2010年第1四半期に受注を開始する予定。

(2009/12/14)

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