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ザイリンクス、Spirit仕様をベースにした共通開発プラットフォームを開発中

米ザイリンクス社は、これまでのような個別の製品ごとの開発環境ではなく、設計者がもっとなじみのある一般的な開発手法や開発ツールなどを扱えるような「ターゲットデザインプラットフォーム」を構築中である。そのプラットフォームの基本として働くFPGAデバイスである、ハイエンドタイプのVirtex-6とローコストタイプのSpartan-6ファミリーを発表した。IPを再利用するための標準となるSpiritを使えるようにして、いろいろなIPを集積しやすい開発環境を目指す。

XILINX VIRTEX-6


Spirit(Structure for packaging, integrating and reusing IP within tool flows)は、さまざまなベンダーが作ったIPを集積しやすくするために作成する、各社共通の仕様である。今回の製品は、広いアプリケーション分野をカバーするために、Spartan-6とVirtex-6でカバー範囲を広げようとしている。各ファミリーの搭載機能は以下の通り;
Spartan-6 LX: ローコストのロジック+DSP
Spartan-6 LXT: ローコストロジック+高速シリアルインターフェース
Virtex-6 LXT: 高集積ロジック+シリアルコネクティビティ
Virtex-6 HXT: 超高速シリアルコネクティビティ+ロジック
Virtex-6 SXT: DSP+ロジック+シリアルコネクティビティ

各FPGAにはロジック、RAM、DSP、パラレルI/O、シリアルI/Oを含むがその比率と規模が異なる。それぞれの機能を調整して、数百に渡るアプリケーション分野をカバーしようとしている。こういった広範囲の応用をカバーするターゲットデザインプラットフォームを作る目的を、同社先端製品グループシリコンディフィニション部門シニアディレクタのCharles Tralka氏は「これまではFPGAのコンポーネントごとに開発ツールを提供してきた。15年間こういったASICで、スケーラブルなプラットフォームを提供するにはどうすべきかを検討してきた。今回のターゲットデザインプラットフォームは、Spirit仕様を用いてIPの再利用を可能とするプラットフォームになる」と述べている。

ターゲットデザインプラットフォームには次の5つのキーコンポーネンツを統合している;1)FPGAデバイス、2)各種のIPコア、3)業界で検証された手法を使った設計環境、4)強力なリファレンスデザイン、5)拡張可能なボードとキット。ザイリンクスはFPGAを提供するが、それ以外の4つのコンポーネンツはザイリンクスかサードパーティのいずれかが提供する。

開発中のターゲットデザインプラットフォームは、次の模式図の最も下に位置する基本プラットフォームに当たる。その上のドメイン特化部分は、これまで製品ごとに提供してきたFPGAのプラットフォームである。さらに上の部分が市場に特化したデザインであり、最も上の部分が顧客ごとに差別化を図る部分の設計となる。


ザイリンクスが目指す、ターゲットデザインプラットフォームのコンセプト

ザイリンクスが目指す、ターゲットデザインプラットフォームのコンセプト

なお、今回ザイリンクスが提供する製品について簡単に触れておくと、Virtex-6 FPGAは、最先端の40nmプロセス、3層酸化膜、300mmウェーハを用いた12メタル層、という製造技術で作った。コア電圧は1.0V、低消費電力しようとして0.9V動作品もある。Spartan-6 FPGAは、やや習熟した低消費電力版45nmプロセスを使い、9メタル層、2層酸化膜技術を使う。いずれのファミリーも速度は従来品よりも20%速く、コストは40%低く、消費電力は65%小さい。ロジックの集積度は2倍、レジスタ集積度は3倍、DSPのバンド幅は2倍、シリアルI/Oのバンド幅は2倍高速化した。共に出荷時期は2009年第3四半期。


(2009/02/16 セミコンポータル編集室)

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