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2μm厚のGaAsエピをCMOSICに集積したLEDプリントヘッドを沖が月産20万個量産

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CMOSドライバICの上にAlGaAs LEDを搭載したLEDプリントヘッドを、沖デジタルイメージング(Oki Digital Imaging Corp www.odij.co.jp/indexe.html)が月産10〜20万個量産していることを、INC4 (Fourth International Nanotechnology Conference on Communication and Corporation)において明らかにした。

この技術は、LEDをドライブするためのシリコンCMOSドライバウェーハの上にエピタキシャル成長した厚さ2μmのGaAs LEDを集積するもの。この技術を使えば、各LEDとドライバをボンディングワイヤーでつなぐ必要がないため、実装面積が小さくなるだけではなく、1枚のGaAsウェーハから取れるLEDチップの数を5倍以上とれるため生産性が上がった。

これまでのLEDプリンタヘッドは、CMOSドライバとGaAsのLEDを一つの基板上に載せ、それぞれをボンディングワイヤーで1本ずつつないでいた。ボンディングワイヤーの数は膨大になり、使用するGaAsLEDチップはボンディングパッドを設けなければならないため、大きくならざるを得なかった。LED発光部のサイズが例えば20μmであるのに対して、LEDアレイチップの幅が350〜400μmにもなっていた。

沖デジタルがエピフィルムボンディング(EFB)と呼ぶこの技術は、GaAs基板上に形成する厚さ2μmのLEDエピタキシャル層をチップとして剥がし、シリコンのCMOSチップの上に張り合わせることでシリコン上のLEDを形成する。この技術は、LEDにボンディングパッドを設ける必要がないためアレイの幅を70μm程度ですむ。この結果、GaAsウェーハ1枚当たりに使えるLEDチップの数が5倍以上、実際には10倍程度増えたという。LEDとCMOSチップとは、CMOSプロセスの通常のAl配線形成により接続する。


INC4講演資料から。沖デジタルイメージング

出典:INC4講演資料から。沖デジタルイメージング


LEDエピタキシャル層をGaAs基板からはがす場合には、エピ層と基板との間にある犠牲層をエッチングで除去することで、LEDエピ層を取る。その後、シリコンのCMOSドライバICに接着する訳だが、Siウェーハの張り合わせ技術と同様、ファンデアワールス分子間力で接着するとしている。シリコンとLEDエピ層との間にバッファ層(スムージング層)を導入しているのは言うまでもない。実際の生産工程では、生産性を上げるため多数のLEDエピ層を一度にボンディングしているが、その詳細は明らかにしない。

LEDプリンタヘッドへの応用では、LEDをこれまでよりも密に並べることができるため、分解能の高い印字が可能になる。600dpiのA4サイズのLEDプリントヘッドでは、192個のLEDを並べたLEDアレイチップを26個並べている。このため、192ドット×26チップ=4992ドット、すなわち約5000ドットのLEDが1列に並んでいる。新型LEDアレイでは192個のLEDが配列できる長さ(約8mm)のドライバICチップの上にエピフィルムLEDアレイをボンディングしている。

LEDプリントヘッドの量産では、約5000ドットを構成する全てのLEDが良好な特性と高い信頼性を持たなければ、製品として不合格となるため、月産で10万〜20万個のプリントヘッドを量産しているということは、この技術が高い品質と信頼性を持つLEDアレイを作製できる実用技術として確立していることになる。市販のLEDプリンタにこのLEDプリントヘッドが搭載されている。

今回の技術は、「エピフィルムボンディング技術の開発初期の段階で、ナノテク支援の拠点である広島大学(Hiroshima University www.hiroshima-u.ac.jp/index.html)のナノデバイス・システム研究センターとの共同研究により開発を推進していた」と同社開発部部長の荻原光彦氏は言う。文部科学省(Ministry of Education, Culture, Sports, Science & Technology)(www.mext.go.jp/english/index.htm)はナノテク支援プロジェクトで、文部科学省が拠点となる大学に資金を提供し、拠点となる大学の施設を利用した研究開発を支援する、というシステムを利用した。

2μmと薄いエピ層をシリコンチップに集積するというこの技術は、熱伝導率の高い基板あるいはフレキシブル基板へ搭載するといった、新しい応用もありうる。また、プリントヘッドは1次元アレイだが、2次元アレイにLEDを集積して解像度の高いディスプレイへの応用も可能だ。今後の応用は広い。


INC4講演資料から。沖デジタルイメージング

出典:INC4講演資料から。沖デジタルイメージング

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