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景気後退の中に活路を見つけ次の上昇に備える、半導体製造装置産業

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先週はWSTS(世界半導体市場統計)が今年の半導体市場を2.5%増と下方修正し、2009年の半導体市場は8年ぶりに減少、2.2%減になる見通しを発表した。このニュースは、世界の景気後退が押し寄せ、半導体市場にもひたひたとやってきたことを伝えている。2008年の前半は良かったが後半は見通しが暗いとする企業はまだましで、前半も悪かった企業は来年生き残りを賭ける覚悟が必要かもしれない。ただし、長期的には半導体は成長し続ける産業であることを忘れてはいけない。

従来の景気後退パターンだと、世の中全般の不況→エレクトロニクスの不況→半導体市況→半導体製造装置不況、という食物連鎖のパターンに沿って、好不況の波がやってきていた。しかし、今回の不況は金融不況が先にやってきたため、設備投資資金を握る金融業界が金を貸さない→設備投資できない、という逆のパターンが先にやってきてその後、経済全体の不況がやってきた。このため半導体市況はわずかにプラスながら製造装置産業は大きくマイナス30%減という見通しになった。この延長で考えると、2009年以降は金融問題が解決しない限り、半導体市況がいくら回復しても製造装置産業への投資を抑えることになる。製造装置業界は2009年も厳しいだろう。

とはいえ、製造装置産業は次世代の要求に沿った製品の開発に力を入れ、次の上昇に備えなければならない。12月3日から始まるSEMICON Japan2008に向けた新しい装置の発表が相次いで登場してきた1週間でもあった。

日立ハイテクノロジーズのM-8170XTはポンプの作動電力が半分で、エッチング速度も向上、アイドリング時間も短縮し、運転コストCOOを減らしたエッチング装置。アプライドや東京エレクトロンといった2強をこれで追いかけると見られる。

オランダのASMLは、ダブルパターニング用の32nmスキャナーを2009年第1四半期に初出荷すると発表した。32nmではダブルパターニング技術が本命と見られており、ニコンおよびキャノンという2大ライバルも2009年には出荷する見通しだが、ASMLが一歩先んじることになる。ASMLがこれまで出荷してきたTWINSCAN露光装置の出荷台数は76台にも達し、12カ月の間に100万枚以上のウェーハを処理してきたことになるとしている。

東レは感光性のポリイミド樹脂を改良し感光性を2倍に上げたと発表している。ポリイミド樹脂は耐熱性の樹脂であり、半導体基板のコーティングに使うとしている。

LED用の動きも活発だ。先週はエッチング装置とウェーハ切断機の発表があった。サムコはGaN基板を使ったLEDのエッチング装置の生産性を上げた装置を発表している。GaN基板ウェーハを載せるトレーの直径を33cmとし、直径5cmの半導体基板が27枚載せられるとしている。これまでのエッチング装置は21枚どまりだったという。スループットは81枚/時であり、真空チャンバ内に5枚のトレーを搭載できる。この量産機の製品名はRIE-330iPC。

ウェーハ切断機を開発したのは、「切る」、「削る」、「磨く」を標榜するディスコ。装置の横幅を半分に縮め床面積を削減できる。サファイヤなどの硬い基板をレーザーカッティングするのに適しているとしている。サファイヤ基板もGaN白色・青色LEDを成長する基板の一つである。

アドバンテストはフラッシュ内蔵マイコンのメモリーをテストする装置T5782を発表した。フラッシュとDRAMを搭載したマルチチップパッケージ(MCP)のテスト装置T5781の後継機となる。試験周波数は266MHzと前機種と同じ。

米AMDは米Intermolecular社と共同で、メタル層のキャッピング材料を開発することを発表している。銅配線、Low-k材料の多層配線の上をカバーするための材料で、MML (Molecular Masking Layer)と呼び、メタルキャッピングプロセスを容易にするためウェーハ上の誘電体表面状態を選択的に変える「分子自己アセンブリ技術」を利用するとしている。Intermolecular社は、1枚のウェーハ上で数百ものプロセス条件を変えられるHPC(高生産性のコンビナトリアル)技術を開発した2004年設立のベンチャー。

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