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メモリーテスターから製品ポートフォリオを拡充するアドバンテスト

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DRAMメモリーテスターで定評あるアドバンテストが、DRAMテスターを強化すると同時にミクストシグナル、あるいは2チャンネル同期をとりながら観測できるスペクトラムアナライザ、パワーICの耐圧150Vを測定できるパワーIC向けテスター、などメモリーテスターから製品ポートフォリオを広げつつある。テスターだけではない。デバイスまでも。。

アドバンテストは、高速処理が必要な量産向けのテスターを支える、高周波デバイスHEMTやメカニカルリレーを置き換えるMEMSリレーなど特殊なデバイス製作までも展示した。6月3日から3日間、東京国際フォーラムで開催された、「アドバンテスト展2008」では、このような底力をアドバンテストが見せつけた。

メモリーテスターでは、DRAM専用、フラッシュ専用というこれまでのメモリーテスターに加え、DRAMとフラッシュを1パッケージに内蔵するMCP(マルチチップパッケージ)の混載メモリーも測定できるテスターT5781を展示した。256個を同時に測定できる。フラッシュ2~3枚、SDRAM1枚のチップを積層したMCPパッケージのメモリーの場合、1時間当たりに測定できるデバイスの数はテストハンドラと組み合わせて4万個だという。テストパターンを266MHzで動作させる。


T5781 MCPメモリーテスター

T5781 MCPメモリーテスター


もちろん、MCPだけではなくNANDフラッシュだけのメモリーも測定でき、こちらは最大768個同時に測定できる。チップを積層したメモリーの場合のテストは、CE(チップイネーブル)端子をオンさせることでチップ1枚ごとにテストしていく方式をとっている。ただし、フラッシュメモリーのテストでは、不良ビットのメモリーセルが発見された場合は、ブロックごとにごっそり取り換えるため、その機能が付く。テストパターンの作成はユーザー側でもテスターメーカー側でもプログラムできる。

DRAM専用のメモリーでは、高速データレートを特長とするDDR3 SDRAMを測定できるT5503が展示された。DDR3の3.2Gbpsとこれまでの最高速の2Gbpsを記録したT5501よりもかなり速い。DDR3はビデオ転送や高速に大量のデータを転送する用途のDRAMで市場に出てくるのは、早くて今年の暮れになる。×8構成のDRAMテストなら、5501では最大64個同時測定しかできなかったが、今回の5503は128個同時測定できる。×16ビット構成だと64個同時測定可能。しかも床面積が40%小さく、消費電力も40%低い。


T5503 DDR3対応DRAMテスター

T5503 DDR3対応DRAMテスター


アドバンテストの100%関連会社になった日本エンジニアリングが開発した、300mmウェーハ内のチップ最大768個を一度にバーンインできるテスターB2510が展示された。ウェーハバーンイン装置はBT(バイアス温度)試験などストレスをかけて初期不良をスクリーニングするためのテスト装置である。300mmウェーハで5分間くらい、BTの加速試験を行う。ウェーハ内のメモリーチップ1個当たり250mA、2電源印加できる。


B2510 300mmウェーハバーンインテスター

B2510 300mmウェーハバーンインテスター


ウェーハ状態で合否判定し、しかも信頼性加速試験で初期不良を取り除くという考えは、携帯電話などに使われるMCPパッケージにDRAMを封止する前に裸の良品チップを出荷せざるをえなくなってきたから生まれた。合否判定をウェーハで行い、不良品はマーキングしておく。そうするとKGD(known good die)として独立系あるいは半導体メーカーのMCPパッケージ組み立て工場で使用できる。

これまでの300mm対応のウェーハバーンインテスターは、最大128個しかテストドライバピンがついていなかったため、1枚のウェーハ上を6回程度順に当たってテストしなければならず時間がかかった。300mmウェーハにはDRAMチップは720~730個程度搭載されている。今回のB2510は768個同時にテストするドライバピンがあるため、1枚のウェーハ内のメモリーを全部一度にテストできる。この結果スループットは5~6倍上がったとしている。

メモリー以外のテスターでは、パワー半導体向け高耐圧テスターT7723が展示された。これは、例えばモーター駆動用のパワー半導体(IGBTやMOSFETなど)のゲートを駆動するためのドライバICのテストに使う。もちろん、それ以外にミクストシグナルICにも使える。このため耐圧が高く、しかも多チャンネル出力対応である。また従来、電圧は固定だったが、今回は±60Vの範囲で最大150Vまで(+150V〜+30V)あるいは-150V(-30V〜-150V)まで変化させることができる。高耐圧駆動は8チャンネル分あるが、デジタル回路部分は256チャンネル同時測定が可能である。

また、スペクトラムアナライザでは、2信号を同時に入れ、同期をとり周波数軸で強度を表示するスペクトラムアナライザの参考出品もあった。デモでは、低雑音アンプ(LNA)への入力と、出力を同時に表示させ、スプリアス成分を観測している。仕様を微調整して、今年末には発売したいとしている。

こういったテスターを支えるための部品の試作も見せた。GaAsHEMTウェーハを作製し、MMICを試作、さらにLTCC(低温焼成セラミック)にMMIC(マイクロ波IC)や部品を搭載した20mm角のマイクロ波モジュールを試作している。従来ハイブリッドICで作製していたモジュールと比べ大きさが1/15に小型になったとしている。メモリーテスターを12GHzで動作させるのに使っている。

Cu/ヒーター/SiO2のバイモルフ構造を利用するMEMSリレーも展示した。これは小型化というより0.5Ωの低オン抵抗が特長だという。絶縁耐圧は1000Vと、半導体リレーよりも高い。

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