セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

世界のEV出荷台数が急増、上位20社にBYDとTeslaがランク入り

|

電気自動車(EV)が急速に出荷台数を伸ばしている。2022年の上半期でEV専門メーカーTeslaやBYDの出荷台数がマツダやSUBARUのそれを上回った。米国のEV補助金法案が下院を通過した。クルマのサイバー攻撃対策の国際規制が始まった、と日経が報じた。EV、コネクテッドカー、自動運転などクルマ向け半導体はますます増える傾向がある。

図1 最新のTesla社のModel Y 航続距離595km 出典:Tesla

図1 最新のTesla社のModel Y 航続距離595km 出典:Tesla


8月19日付けの日本経済新聞は、2022年上半期の世界新車販売台数を報じた。クルマ専門の市場調査会社マークラインズのデータや各社の発表を基に日経が世界の販売台数を集計したもの。これによると、1位はトヨタ自動車、2位VWグループ、3位現代自動車グループ、4位ルノー・日産・三菱自グループ、5位ステランティス(仏PSAと伊Fiat-Chrysler Automobilesとの合弁)となった。これら上位5社は全て前年同期比でマイナス成長となった。

中国BYDは14位の64万台、米Teslaは17位の56万台となり、18位マツダの55万台と21位SUBARUの37万台を超えた。BYDは前年同期比2.6倍に増え、Teslaは同46%増、といずれもプラス成長している。上位20社の新車販売台数の内、TeslaやBYDなどのEVメーカーが占める割合は、前年同期の1.8%から4%へと上昇した。日経は英調査会社LMCオートモーティブを引用し、2017年に85万台しかなかったEV車は22年には700万台に成長し、30年には3500万台になる見通しを報じた。22年の自動車全体の世界販売は8125万台と見ており、EVの台数は22年で約8.6%となっている。

自動車用半導体不足の影響と、中国市場の低迷の影響を受けてきたが、半導体不足の解消は24年ごろになるというアナリストの見方を紹介している。中国市場はOEM(自動車メーカー)によってばらつきが大きく、特にフォルクスワーゲン(VW)は中国市場では前年同期比20%減の146万台だったが、7位のFordは全世界で9%増の199万台となり中国販売の割合が少なかったことが奏功した。

米下院がEVの新たな普及促進策を含む法案を可決した、と22日の日経が報じた。EVやプラグインハイブリッド(PHV)の購入に補助金を出すが、支援の対象となるのは北米生産車のみだという。北米で自動車を生産しているトヨタは、EVを生産していないため、今の所、補助金の対象にならない。新たな支援策では、新車を買う消費者に対し、最大7500ドル(約100万円)の税額控除を実施、中古車でも4000ドルを控除する、というもの。ただし、電池に含まれる「重要鉱物」の一定割合が、米国が自由貿易協定を結ぶ国などから調達されたことが条件になる。このためレアメタルを中国から調達する場合は対象とならない。北米のOEMでさえも厳しい条件である。

将来のクルマの機能はACES(Autonomy:自動運転、Connectivity:インターネットなどの無線接続、Electricity:電動化、Sharing:カーシェア)の方向に向かっているが、コネクテッドカーに対するセキュリティ認証は必須である。コネクテッドカーは外部と無線でつながりソフトウエアの自動更新(OTA: Over The Air)や事故時の救急対応など便利な反面、サイバー攻撃の対象となる。

19日の日経によると、国連欧州経済委員会は自動車にサイバー攻撃対策を義務付ける基準を採択し22年7月から適用された。ソフトウエアのOTA自動更新を備えた新車には販売前に認証が必要となる。この規制車種を徐々に拡大し、26年までには販売済みのクルマも含め全車種が対象となる見通しだという。Tesla車にはOTA機能が搭載されているが、この新基準には日本を含む98か国が参加するが、米国は参加しないという。今年1月にはドイツの19歳のセキュリティ技術者が、世界13ヵ国にあるTesla車25台以上のハッキングに成功したことが話題となっている。Tesla車に搭載されているソフトウエアの脆弱性を見つけ、ハッキングしたという(参考資料1)。

参考資料
1. "Third-Party Software for Teslas Can Be Hacked, German Teen Says", Bloomberg (2022/01/12)

(2022/08/22)

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.