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SoC後工程企業を求める華為、最先端需要が多いTSMC

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米中貿易戦争関連のニュースが多い1週間だった。華為科技は中国での先端パッケージングを求め、TSMCは需要の多さを享受している。両社に割って入るSamsungの漁夫の利説、MediaTekの好調、IPベンダーの雄Armの不可解な解任劇やEDAベンダーへの影響などが議論された。ホンダの世界9工場でのサイバー攻撃もあった。

華為(ファーウェイ)は、取引先に対し、半導体の最終のパッケージング+テスト工程を中国内で手掛けるように要請している、と6月11日の日本経済新聞が報じた。半導体の最終工程である後工程は、シリコンチップを基板にマウントしワイヤーやボールなどを介してパッドに接続し、モールド樹脂に封止する。最後に、検査を行い出荷する。最後の工程を経て晴れて中国製となるため、華為は取引先に呼びかけているが、日経によると一部の取引先は生産移転に難色を示しているという。

これは、後工程の中でも高集積SoCは実は、中国ではあまり進められていないからだ。もともと後工程の工場は中国内にたくさんあり生産額も多いのであるが、SoCのようなハイテク半導体チップの組み立ては中国ではほとんどない。IntelなどのCPUやSoCチップは、多ピンであり、小さなプリント回路基板上に実装するが、最小配線幅10〜20µmと微細加工が必要なため日本の新光電気工業やイビデンのような技術力のある企業が担当する。HiSiliconのAPUシリコンチップのように最小線幅7nmを利用するSoCも同様だ。中国内には実装できる業者がいないため、華為が後工程業者に依頼し、数百名のエンジニアを派遣しているという。すでに1年前から派遣しているが、スムーズに進んでいないとしている。

台湾のファウンドリTSMCは、今後、中国から米国市場へシフトすることを株主総会で明らかにした、と10日の日経が伝えた。2020年の12月期の2割増に近い売り上げ目標と、150〜160億ドルの設備投資額は変更しないという。華為へ新規受注を止めた穴埋めに米国企業からの需要を見込んでいるからだ。AMDなど米ファブレス半導体大手からサーバー向けなどの製品の増産要請が殺到しているという。むしろ、受注増に生産が追い付いていないようだ。それでもインセンティブを米国政府に要求する。TSMCは元々米国のファブレスを相手にビジネスを進めてきて、最近中国のHiSiliconに供給するようになっただけで、ビジネスの相手を元に戻すことになる。

TSMCと同様、ファウンドリビジネスで7nmプロセスを手掛けるSamsungは、米中戦争の間で漁夫の利を得るという見方もある。特にSamsungのスマートフォンビジネスである。HiSiliconの半導体が7nmを使えないとなると、スマホの機能や性能が低下せざるを得ない。このためSamsungが漁夫の利を得る、という訳だ。しかし、半導体ではそうはいかない。むしろ7nmプロセスではTSMCの方が進んでいると言われ、さらにEUVを使いこなせるメーカーはTSMCしかいないとも言われている。Samsungは今年になってEUVを積極的に強化しているが、その結果が出るのはこれからだ。

5GスマホのAPUでトップを行くQualcommをはじめ、HiSilicon、MediaTek、Apple、Samsungの内、MediaTekが好調だ。2020年1〜6月期の売上額は前年同期比1割増になる見込みだと12日の日経が報じた。新型コロナウイルスによるスマホの落ち込みあるものの、5G向けAPUは高い競争力があるとしている。

米国の華為制裁の要求の中に、米国製半導体製造装置とソフトウエアを使って生産した製品を華為に出荷してはならない、という事項があった。この場合のソフトウエアとしてEDAベンダーが華為に対して出荷できなくなる。これまでに公開されているIR(Investor Relations)資料、例えば、1〜3月期の決算資料ではその影響は全く出ていない。しかし今後は、出てくる可能性はある。すでに中国が入手しているEDAソフトに関しては、そのまま使えるだろうが、新製品や新しいIPは使えなくなる恐れはある。このためEDAベンダーに影響が出てくるのはこれからということになる。

IPベンダーのトップ、Armの中国法人であるArm ChinaのCEOのアレン・ウー氏の解任を巡って英国とArm Chinaの言い分が食い違っている、と12日の日経が報じた。英国のArmはウー氏の不適切な行為が確認されたとして、同氏を解任したと発表したが、Arm Chinaは、ウー氏は職務を続けると全く異なる発表をした。Arm Chinaは2018年に英国Armが100%出資した子会社から、51%を中国政府系ファンドなどが作るコンソーシアムに売却して合弁となった。このため現在、Armの出資比率は49%になっている。こういった状況もチャイナリスクの一つである。

最後に11日に日経がホンダのサイバー攻撃の経過をレポートしたニュースだが、ホンダの世界に散らばる9工場がサイバー攻撃を受け、一時停止した。ホンダはそのうちの7工場を復旧させたが、米オハイオ州の乗用車工場とブラジルの二輪工場は6月10日も停止したままだという。

この事例は、セキュリティが甘かったと言わざるを得ない。工場間をつなぐ場合に認証システムの導入、データの暗号化、カギの管理など、セキュリティを強化する提案が増えている。しかし、日本企業の中には、セキュリティにかけるコストを無駄とみなすところも多いことも事実である。「いま正常に動いているのに、なぜわざわざセキュアな仕組みを導入しなければならないのか」、と顧客から言われる企業は多い。攻撃を受けた時の損害を考慮したコストの計算を組み入れる必要があろう。日本では、セキュリティに対する認識がまだ低いようだ。

(2020/06/15)

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