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テレワークは国内に定着するか

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「ピンチをチャンスに」。よく言われる言葉だが、新型コロナウイルスに関してはどうチャンスに変えるべきだろうか。その一つが働き方改革の中のテレワークだ。テレワークは決して休みではない。オフィスに行かずに仕事することだ。これにはIT化が強力なツールになる。テレ会議システムやITデバイスなどが好調だ。

4月27日の日経産業新聞は、リモートワークに通じた企業を紹介している。午前9時には社員がネットオフィスに出勤する。画面上に仮想オフィスの様子を映し出し、社員全てが仮想オフィスで業務を行う。リアルのオフィスを持たないシステム開発のソニックガーデン社では、リアルタイムで離席中や取り込み中がわかるという。リアルの職場では雑談は許されない所が多いが、むしろ雑談を積極的に許容し、孤独になりやすい社員をフォローする。従来の会社では「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が推奨されたが。この会社は、「雑談・相談」を推奨しているという。社員の安心感がチームワークを強めるからだという社長のコメントも掲載されている。

テレワークの環境を整えるための手当てを支給している企業もある。人事・労務ソフトウエアを提供するスマートHR社は、今回一人当たり一律2万5000円を支給し在宅環境に必要な設備を揃えられるようにした。ウェブサイト構築システムのシックス・アパート社は、4年前から月に1万5000円のテレワーク手当てを全社員に支給しながら、交通費を支払わない、という仕組みを導入している。本社を移転し家賃を削減したとしている。

モニター越しにオンライン営業で効果を上げている企業もある。業務管理システムを手掛けるコドモン社は、受注件数の52%がオンライン営業だという。資料を提示しながら話をすることでわかりやすさを追求できるとしている。

テレワークでは、ビデオ会議やパソコンは欠かせない。ビデオ会議システム「Zoom」はテレワーク前の利用者が1000万人程度だったが、この4月には30倍の3億人に達したと、27日の日経が報じた。コラム「経営の視点」では、Zoomで起きたサイバー攻撃の問題点を取り上げていたが、セキュリティを強化するとZoomは述べており、セキュリティの専門家を招き入れている。

パソコンは国内出荷が急成長し、2019年度の出荷台数は前年度比28.1%増の947万5000台に達したとJEITAが発表した。Windows 7のサポート終了に伴う買い替え需要だけではなく、テレワークが追い風になっていると日経産業は報じた。文部科学省の小中高等学校・特別支援学校に一人1台のパソコンを配備する「GIGAスクール」構想では20年度中に、校内LANの整備に費用の半額を、パソコンは4.5万円/人を支給するとしている。このGIGAスクールもパソコン売り上げに追い風となるとしている。

テレワークに直接関係しないが、東日本大震災でピンチをチャンスに変えた、仙台に本社を持つアイリスオーヤマの大山健太郎会長のインタビューを22日の日経産業が掲載している。大震災では節電対策にLED照明を増産したが、今回の新型コロナでは、もともと中国で生産していたマスクを国内でも増産することを決めたことを紹介している。さらに「マイナス面に目を向けるよりも、新しい需要をつかむチャレンジをすべきだ」と述べている。

シャープがマスクを生産・提供しているが、日立とリコーはフェイスシールドを、ブリジストンはウレタン製の簡易マスクを生産したというニュースもある。NECは自社のAIシステムで製薬会社と共に新型コロナのワクチン開発に乗り出すと発表した。NECはすでに新型ウイルスの数千種類もの遺伝子情報を解析したという。

テレワークは、業種によってはできないものもあろう。だが、「できない」を連発しても何も始まらない。「できる」を実行するためにどうすべきか、という発想に転換する必要がある。これがピンチをチャンスに変えるための発想になる。

(2020/04/27)

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