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自動車業界にウーバー化の波

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ウーバライゼーション(Uberization:ウーバー化)の波は自動車産業にやってきた。ウーバライゼーションとは、アプリ企業のウーバーがタクシー業界に大打撃を与えたように、見知らぬ企業が突然自分の業界にやってきて大きな影響を与える現象を指す。自動車産業にグーグルやアップル、アマゾンが参入し、その危機感がトヨタとマツダの提携を生んだ。

8月5日の日本経済新聞は、「車、110年目の大転換;トヨタ「前例なき戦い」グーグル・アップルと競う」と題した記事を掲載した。前日の4日にトヨタとマツダの提携話がリークされ、「トヨタ、マツダに出資、EVを共同開発、米に乗用車の新工場,5%前後、マツダも出資」と題する記事が4日の日経朝刊に載り、同日記者会見を開いたもの。実際の会見では、ウーバライゼーションに対処するためだったことが明らかになった。

トヨタの豊田章男社長、マツダの小飼雅道社長の現状認識は、T型フォードが誕生し、移動手段が馬から自動車へ変わった110年前と重なるという。実際、電気自動車(EV)だけではなく、コネクテッドカーや自動運転、カーシェアリングなど、さまざまなテクノロジーやサービスが新たに誕生し、自動車を巡る環境にAI、IoT、クラウド、無線通信などが入ってきて業界は激変している。トヨタは、お金がない中でどうすべきかをよく考えているマツダから学び、マツダはトヨタの研究開発体制を利用したい。マツダの17年度計画の研究開発費は1400億円だが、トヨタの13%にすぎないという。自動車のEV化の他にITのさまざまな技術を取り込むのにもはや1社だけでは難しくなってきたという事情がある。

さらにEV化ではフランス政府、続いて英国政府が2040年までに化石燃料を使う車の販売を禁止するという目標を掲げた。EV化が進むと従来の石油産業は大打撃を被ることになる。ガソリン、軽油、天然ガスなどの化石燃料を扱ってきた商社にとって将来のかじ取りが問われている。7日の日経は、ビジネスを見極めるためにも自動車ビジネスには関与し続ける、という三菱商事の垣内威彦社長のコメントを掲載している。

4日の日経産業新聞は、コネクテッドカーの連載最終回を掲載した。その中でトヨタがKDDI、NTTとの提携をはじめ、Microsoftともデータ保管・分析のための合弁会社を設立したことを報じた。またスマートフォンのアプリ企業のLINEとも提携、クルマでの活用を検討する。ホンダはクレジットカードのVISAと提携、自動決済システムを開発した。ITの世界ではスピードが命なので他社よりも早く開発しタイムリーに出すことを重視する。

EVへ向かう中、NECは車載用の電池事業から撤退することを決めた、と3日の日経が報じた。NEC本体が通信やAI、社会サービスなどのITにエネルギー事業を加えたはずだったが、自動車用バッテリ事業がまだ主流になりえない現状でITとの相乗効果が見込めなくなったと言える。

また、4〜6月期の決算発表が相次いでいるが、スマホ向けの部品を提供している企業の業績が良い。ソニーのCMOS画像センサが好調で、前年同期比2.8倍の1576億円の連結営業利益に膨らんだと2日の日経産業が報じた。画像センサの8割をスマホに依存するが、スマホがカメラを複数個搭載することで、出荷が増えた。連結売上額は同15%増の1兆8581億円で、純利益は808億円となった。

電子部品5社(京セラ、ローム、アルプス電気、日本電産、日東電工)も増益でスマホとクルマが追い風となったと2日の日経は伝えている。ただ、減益となった村田製作所とTDKでさえ、スマホの高機能化や自動車の電装化による製品の引き合いは強いとしている。

スマホ関係では、アプリケーションプロセッサやモデムチップで、これまでQualcommの次にいたMediaTekの4〜6月期は、売上額が580億台湾元(2080億円)で前年同期比2割減、純利益は67%減の22億台湾元(80億円)となった。中国市場では、地場のSpreadtrumやHiSiliconなどのファブレス企業がMediaTekと同じアプリケーションプロセッサとモデムを中国スマホメーカーに向けて出してきており、まともにぶつかっている。

(2017/08/07)

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