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ムーアの法則の先に来るもの

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半導体産業の好調が持続する中、7月28日の日本経済新聞は、オピニオンというコラムで「ムーアの法則、限界の先は」と題した記事が掲載された。ムーアの法則というより微細化の限界の先を議論している。シリコンチップの微細化の先に来るものは何か。AIや自動運転車、IoTなど未来を見つめた応用、ビジネスモデルを含めた「価値」を模索している。先週のいくつかの記事にもそれが表れている。

DRAMのスポット価格が月はじめより3%上昇したと27日の日経が伝え、東京エレクトロンは2017年4〜6月期の連結決算の売上額が前年同期比60%増の2363億円になり、純利益は同3.3倍の412億円になったと発表した。確かに半導体産業は依然として絶好調である。

半導体産業の真っただ中では数年前からムーアの法則の限界が言われており、28日付け日経のオピニオンは今さら、という感じを受けた読者が多いのではないだろうか。微細化を推進してきたCMOS技術に代わるテクノロジーはまだ見えていない。むしろ、CMOS技術を様々なところに応用展開しようとする動きが強いように感じる。新しいテクノロジーとしてAIやIoT、クルマなどに限界の解がないかと模索しているようだが、AIもIoTもクルマもその最先端のテクノロジーを実現する技術はやはりCMOSである。

31日の日刊工業新聞が富士通のAI技術プラットフォーム「Zinrai(じんらい)」を解説しているが、今後のAI技術に使うTensorFlowやCaffeなどの機械学習のアルゴリズムプラットフォームを実現するのはやはりCMOSチップである。かつてはアナログ回路でニューロンの重みづけ部分を表現する技術が登場したが、アナログあろうとデジタルであろうとCMOS技術で表現することに変わりはない。さらに最適化問題を解くための計算アルゴリズムとして量子アニーリング手法を使う場合でもCMOS技術で行けるはずだ。

総務省がAI開発者に向けた指針をまとめたが、人間が一人ひとり違うようにAIマシンといっても学習させる教材や学習頻度などによって「賢さ」は異なる。だからこそ、悪人がルールやモラルを無視するような犯罪や悪いことを学習させれば、人間に危害を及ぼすAIマシンができてしまう恐れは十分ある。だからこそ世界的にルールを決め、人間に当てはめる犯罪を取り締まる規制や法律を作っていくことが大切になる。AIに対する正しい知識を学ぶための学習講座をNEDOが主催して大阪大学と東京大学で開設する、というニュースを31日の日経産業新聞が報じている。

自動運転車の時代は間違いなく来るが、前方に人やクルマ、自転車などが来たら瞬時に判別し、ブレーキやハンドル動作を行う仕組みを取り入れる。その判断にAIが使われそうだ。25日の日経はトヨタ自動車が2020年前半に市街地を自由に走れる「レベル4」の技術を実現させる計画だと報じている。ここにもCMOS技術が大本命であり、究極の微細化を使わなくてもAI機能を実現できるのなら、現状のCMOSチップで実現することになる。

28日の日経は、EV(電気自動車)が自動車開発に大量に使われ始めるようになることを念頭に電池やモーターなど部品や、それらの部品を作るための材料、部材のメーカーの動きも紹介している。モーターそのものは日本電産、バッテリの正極材料の戸田工業、住友金属鉱山、パワー半導体の富士電機などの企業名が上がっているが、パワー半導体を制御するドライバ回路やマイコンなどはやはりCMOS回路が威力を発揮する。

25日の日経産業は、ソフトバンクがエネルギーデータを分析するベンチャー企業Encored社とその日本法人に出資すると報じた。ソフトバンクの出資比率は50.1%となり小会社化する。米国ではスマートホーム市場が活発で、サーモスタットと呼ばれる温度計を利用して冷暖房を管理する家が多い。EncoredはIoT電力計を設置すると共に見守りサービスや節電アドバイスなどのサービスも提供する。

日本IBMは、メインフレームとオールフラッシュストレージを光ファイバでつなぐ新しい高速インターフェース「zハイパーリンク」を9月から提供する。機械学習の分析に使うとしており、メインフレームからフラッシュストレージに直接アクセスできるようになるとしている。

(2017/07/31)

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