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チップ化、ソフト利用などAIの開発・利用進む

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先週、ルネサスエレクトロニクスが自社イベント「DevCon」を開催、AI(人工知能)の半導体チップ化を正式表明したが、AIもIoT同様、成長のエンジンとなる。ルネサスだけではない。TSMCもまた、AIチップへの市場に期待している。今やIoTとAIはセットになってきている。

セミコンポータルでレポートしたように(参考資料1)、日本経済新聞も4月12日にルネサスのイベントを報じている。前回(2年前)のDevConと同様、ADAS(先進ドライバ支援システム)や自動運転を強調したが、今回は組み込みAIすなわちe-AIを工業用IoTのデータ解析に活用していくことがニュースだ。Intersil買収についてルネサスのマイコンとセットで安定動作が求められる市場に向けて相乗効果を上げていく。東芝メモリに関する記者からの質問に対しては、相乗効果がほとんどなく全く検討していない、と呉文精社長は答えている。

AIに関してはようやくだが、経済産業省と文部科学省がAIに関する人材育成に向け、産業界と大学との連携を強化する、と13日の日経が報じた。ただし、国立大学の幹部が参加する大学協議体と、経団連など産業界と定期的に意見を交換したり教育プログラムで協力したりするという程度にとどまっている。民間では、専門的なAIに対して、その先の汎用AIを研究する研究会(参考資料2)もすでに組織されており、官庁主体の会合の組織化は極めて動きが遅い。

食品大手のキユーピーは、AIを使った原料の検査装置を導入すると11日の日経産業新聞が報じた。従来、従業員が目視で良品・不良品を選別していた作業にAIを使う。ベルトコンベアに流れるジャガイモをカメラで撮影し、AIを組み込んだシステムで画像解析する。黒ずんだ部分があったり、サイズが大きすぎたりする不良品を見つけると音が鳴り、作業者が取り除くという。この段階ではまだ人間が関与する半自動のレベルだが、将来は不良品の除去作業も自動化したいとしている。このAIシステムでは、データ分析サービスを手掛けるブレインパッドと組み、不良品を判定するアルゴリズムを開発した。ディープラーニングのソフトウエアとしてはGoogleが提供するオープンソースのTensorFlowを用いたとしている。

TensorFlowは、データフローのグラフを用いて数値計算を行うためのソフトウエアライブラリ(参考資料3)。このグラフの各ノードが数値演算を表しており、一方でグラフのエッジはエッジ同士でやり取りする多次元のデータアレイすなわちテンソルを表している。演算はマルチCPUでもGPUでも可能で、フレキシブルに対応する。ルネサスのe-AIでもクラウドベースの学習ではTensorFlowをサポートしている。

半導体の受託製造のファウンドリでトップを行く台湾のTSMCが世界シェアの過半数を握り時価総額は約18兆円とIntelに迫っていると14日の日経が伝えた。そのTSMCも今後の成長エンジンをAI、自動運転、5G通信ととらえている。TSMCはiPhone 6用のアプリケーションプロセッサ(APU)の製造をSamsungと二分して受注していたが、技術力でSamsungを超え、iPhone 7では100%受注した。QualcommやMediaTekのAPUもずっと手掛けている。同社は、生産工場を新竹、台中、台南にも持っており、2社購買を要求する顧客には別工場での生産でリスクを分散している。

AI開発に力を注ぐのは家電メーカーも同じ。英国に本社を多くDysonは、マシンビジョンやAIのソフトウエア開発に力を入れていることに加え、この1月にはシンガポールに技術センターを開設した。ここに技術センターと既存のモータの製造工場を合わせて1100名を採用しており、今後も技術者をシンガポール国立大学などと連携して増やしていく。

パナソニックはシンガポールに冷蔵庫のコンプレッサー事業部の本社機能を移転したと発表した。これまでの滋賀県草津市の拠点から、研究開発や営業・マーケティング、規格・人事・会計などの本社機能を移した。主力市場のアジアで迅速な意思決定をするため。シンガポールはアジアの中心都市国家だけに人材が集まってくる。

参考資料
1. ルネサス、組み込みAIを前面に (2017/04/13)
2. 「汎用人工知能と技術的特異点」ホームページ
3. TensorFlow; An open-source software library for machine intelligence ホームページ

(2017/04/17)

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