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東芝、メモリを売って債務超過を避ける方針

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東芝は2016年度第3四半期決算を2月14日に発表する予定だが、日本経済新聞が12日に、第3四半期までの連結最終損益が4000億円の赤字になったようだと伝えている。メモリ事業の分社化を含め、東芝の状況を整理してみる。

週末の日経は、東芝の財務状況をレポートしているが、11日の日経は、米国の原子力事業で発生する損失額が50億ドル(約5700億円)規模になった模様だと伝えている。これはすでに伝えられているように、米国のWestinghouse社を買収した後、2015年末にその子会社の原子力サービス会社を買収した。この子会社が合計4基の原発建設を予定しているが、工事が大幅に遅れ人件費や材料費などのコストが想定よりも10倍以上も膨らんだ。このため買収金額と純資産額の差である「のれん代」の価値が大きく下げる必要が出てきた。東芝の連結対象であるWestinghouseが巨額の損失を計上せざるを得なくなった。

この損失額が50億ドル規模だとしている。このため、Westinghouseの損失分が連結決算に反映されるため、東芝は大赤字に見舞われる可能性が高くなってきた。それも半端な額ではない。東芝本体が稼いだ分を打ち消して、連結最終損益が4000億円になる見込みだという訳である。これに対して東芝は13日に、「昨日の日本経済新聞において、『東芝、最終赤字4,000億円』との報道がなされましたが、すでに公表の通り、2月14日の公表に向けて、2016年度第3四半期決算の確定作業を継続中です」とIRニュースを流した。つまり否定も肯定もしていない。

東芝の自己資本が昨年9月末で約3600億円と日経が報じたように、4000億円の赤字によって債務超過になるリスクが高まっている。債務超過を避けるため、利益の出ている半導体部門のうち利益の大きなメモリ部門を分社化し、その株式の一部を売却することで債務超過を避けようとしている。東芝の半導体事業は、メモリが利益の大きな事業であり、他の半導体デバイス部門はそれほど多くの利益は出ていない。例えば、2016年上期(4月〜9月期)決算を見る限り、メモリの売上額は4045億円、営業利益は501億円、営業利益率12.4%、メモリ以外のデバイス他部門の売上額は1735億円、営業利益は144億円、営業利益率8.3%となっている。2015年上期では、メモリ部門の売上額は4274億円、営業利益781億円、デバイス他部門では売上額1850億円、営業損益は70億円の赤字だった。つまり、メモリ以外の東芝の半導体はそれほど儲かっていないことを示している。

東芝はメモリ以外の半導体部門を残した理由は、高く売れないと思ったからだろう。東芝本体は、半導体を成長させることよりも本体の債務超過を避ける、という一時しのぎの策を優先した。メモリ部門を積極的に分離させるということではなく、一部を売って売却益を得たいという狙いであろう。

メディアはメモリを分社化することで誰が買うかという話題に終始しているが、それは本末転倒で、誰が買うかということはメモリ事業にとって経営に係わることではない。東芝が手放すメモリ事業部門の株式は19.9%しかないからだ。つまり経営権は握れない。債務超過を避けるためだけの分社化である。しかも、分社化によって東芝メモリが独自に経営して生きていく、というグローバルな半導体産業の方向には向いていない。

これは、分社化で成功した海外企業の事例とは全く異なる。オランダのPhilipsから分社化した半導体のNXP Semiconductor、リソグラフィのASML、LED照明のOSRAM、いずれもフィリップスの株はもはや持っていない。全て自己責任の経営で我が道を切り開いた。ドイツのSiemensから独立したInfineon Technologiesも同様、元の親会社はInfineonの株式を今は持っていない。米Motorolaから分社化されたON Semiconductorもモトローラの株式はなく、完全独立で、製品ポートフォリオを増やし成長してきた企業だ。完全独立の自己責任方式こそが世界で生き残る半導体経営の神髄ではないだろうか。海外ではいまや半導体専門企業がほとんどで、Samsungを除き完全独立、自己責任経営で成長させてきたところが多い。日本の半導体企業が海外と大きく違うところは親会社がいつまでも子会社扱いしている、という点である。

(2017/02/13)

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