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Intel、オッテリーニ氏が退任、新CEOと新社長が誕生

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先週、ゴールデンウィークのさなかにもいくつかニュースはあった。Intelの経営トップが交替するという人事があった。企業の構造改革待ったなしのシャープも経営陣が変わる。市場では、スマートフォンに向けた部品を増産する動きがある。

図1 Intelの新CEOクルザニッチ氏(左)と新社長ジェームズ氏(右) 出典:Intel

図1 Intelの新CEOクルザニッチ氏(左)と新社長ジェームズ氏(右) 出典:Intel


IntelのCEO兼社長がこれまでのポール・オッテリーニ氏からCEO(最高経営責任者)をブライアン・クルザニッチ氏(編集注)に、社長をレニー・ジェームズ氏に交替するという人事をIntelが発表した。5月16日(米国時間)に開催される年次株主総会で正式に承認される。

クルザニッチ氏は、技術と製造畑を歩いてきた元プロセスエンジニア。2012年1月にCOOに任命されて以来、技術開発のリーダーシップを発揮してきた。ロバート・ノイス、ゴードン・ムーア、アンドリュー・グローブ、クレイグ・バレット、そしてポール・オッテリーニの各氏に次ぐ6代目のCEOとなる。ジェームズ氏はIntelのソフトウエアやサービス部門のCEOを経験しており、 McAfeeやWind Riverを買収した実績を持つ。いわば2人は、ハードとソフトの両輪で次のIntelを率いて行く。

パソコン市場が飽和し、マイクロプロセッサの成長にも陰りが見え始めていた。このためIntelはパソコン用プロセッサに加えて、組み込み系プロセッサ(Atom)の開発やワイヤレス技術の開発、セキュリティにも力を入れていた。Atomは、単体のプロセッサではなく、マルチコアとしてSoCやアプリケーションプロセッサ向けのCPUコアとしての位置付けとなる。組み込み系プロセッサでは、ハードウエアだけではなく、ソフトウエアをチップに取り込むことが欠かせなくなる。ソフトウエア開発を容易にするため、Intelは組み込みシステム向けのソフトウエア開発ツールSystem Studioを出荷し始めている。LinuxやAndroidベースのSoCのソフトウエアを開発・検証するためのデバッガやアナライザ、コンパイラ、ライブラリなどを備えたツールである。

シャープは、片山幹雄会長が退任し、相談役や特別顧問といった社長経験者の役職も廃止する方向だと5月6日の日刊工業新聞が伝えた。奥田隆司社長に権限を集中し経営再建を加速させる狙いだとしている。ちなみにパナソニックは大坪文雄会長が6月末に特別顧問に就く。

スマートフォンは世界市場で好調なため、使用する電子部品を相次いで増産する動きがみられると4日の日経が1面トップで報じた。村田製作所はSAWフィルタの生産能力を2割増強し、東光は電源回路に使う小型コイルの生産を昨年の2倍以上の4億個に増やす。エルピーダメモリは広島工場での生産が追い付かないため台湾のRexchipでスマホ向けのモバイル用DRAMの生産を始めたとしている。ソニーもCMOSイメージセンサを増産する。

スマホ向けの半導体製品の活況を支えるため、川崎重工業は半導体製造用ロボットの生産能力を4割上げると2日の日経が伝えた。ロボットはクリーンルーム内のウェーハ搬送に使う。川重によるとクリーンロボットの受注は今年1月ごろから回復しているという。

もう一つ、好調な半導体の話題として、三菱電機はSiCパワー半導体の医療機器への展開を図っていく。特に、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)やCT(コンピュータ断層撮影装置)スキャナーなどに効率の高いSiC半導体を使うと装置を小型化することができる、と3日の日刊工業新聞が報じた。2014年2月には福岡市にあるパワーデバイス製作所内に総額25億円を投じて設計技術棟を新設し、敷地内に分散している開発・設計部門をそこに集約する方針。

編集注)英語のスペルはKrzanich氏で、Intel Corpのビデオでは、(Krah-ZAN-nitch)と発音すると述べられている。「ザン」にアクセントを持ち、カタカナ表記としては、「クラーザンニッチ」が発音により近い。しかし、同社日本法人であるインテル社の日本語のプレスリリースでは「クルザニッチ」としているため、敢てこれを採用することにする。

(2013/05/07)

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