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サムスンのNANDフラッシュ工場を中国に建設のニュースがセミコンJの話題に

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先週、サムスンが中国でNANDフラッシュ工場を建てるというニュースが飛び、業界内ではかなりの噂になっていた。これは中国で工場を建設するための許可申請を韓国の知識経済省に提出しというニュースを12月7日の日経産業新聞が伝えたもの。セミコンジャパンでのプレジデントパーティでもこのニュースが駆け巡った。

日経産業によると、新工場の場所や投資規模、生産能力、合弁条件などはいずれも明らかではないが2012年に着工し、13年に稼働するとしている。さらに、当初は現在の最先端の技術である回路線幅20nm台の技術を用いるという。2013年で20nm台ということはおそらく28nm前後という意味だろう。中国への機械の輸出に関しては旧ココムに代わるワッセナール条約によって制限され、最先端の機械を中国へ輸出できない。しかし、1世代前の機械は導入できる。このため、2013年で最先端になる22/20nm以下のプロセスを導入できないことは明確であるが、13年時点で28nmは最先端ではないことを韓国政府に理解させる必要がある。

NANDフラッシュは、微細化の最先端をけん引するデバイスでは必ずしもない。要は競争力さえあればいいのであって、競争力=微細化という図式はもはや崩れつつある。新聞では東芝に対して危機感を煽っているが、これは必ずしも当てはまらない。というのは中国ではインフラコストは安いが、まだ総じて安かろう悪かろうの世界である。停電や電力の品質(高調波や力率、電力送受信の制御など)は日本とは比較にならない。半導体前工場では、例えばプラズマエッチやCVD、レジスト剥離などの工程では瞬時停電さえ許されない。瞬停時にはプラズマが暴れて、ウェーハ内、間のバラつきが大きくなり、歩留まりが極端に悪くなり、下手をすると廃棄せざるを得ないこともありうる。これでは競争力はつかない。

サムスンはおそらく自前の電力制御施設を導入することになり、変電所からの系統と、大きな自家発電を含む系統をしっかり管理しなければ現地の電力網はとても使い物にならない。逆に言えば、サムスン工場内でスマートグリッド(マイクログリッド)の実験を兼ねながら、半導体工場を運営していくと考えることもできる。このことがコスト的に有利かどうか、もっとち密な原価計算が必要となる。

もう一つのニュースは、やたらとSiC関連のニュースが多かった。12月9日の日経産業によると、東芝は鉄道車両向けに耐圧4500VのSiCダイオードを用いたインバータを採用したと発表した。SiCダイオードと永久磁石をモータに採用することで体積6割、消費電力は2割削減されるという。新日本製鉄は直径6インチのSiCウェーハを開発したと、7日の日経産業が伝えた。2013年度をメドに量産化するとしているが、SiCのMOSFETの表面欠陥問題の解決はまだ十分なレベルに至っていない。同日の日刊工業新聞では、富士電機とルネサスエレクトロニクスが6インチのSiCウェーハの検討に入ったと伝えている。パワートランジスタやダイオードはLSI並みにチップ面積が大きいため、数量が増えてくると大口径化はマストになる。まずショットキダイオードを製品化し、MOSFETは次の時代になる。6日の日経産業はロームがトレンチ構造のMOSFETで電力損失を7割削減したと報じたが、9月にセミコンポータルが伝えた記事(参考資料1)と代わり映えしない。

SiCと競合する材料として、GaNのパワーチップがある。9日の日刊工業によると、日本ガイシはGaN結晶を開発、2014年から量産を開始する。液相成長法を使うとしているが、その詳細は不明である。GaNはパワーデバイスのほか、LEDの基板にもなる。

最後に先週開催されたセミコンジャパンからのニュースとして、学生向けの説明会が開かれたことを日経、日刊工業共報じている。学生と共にセミコン参加企業のブースを回り、各会社の説明を学生に聞かせる訳だが、12年度に卒業予定の学生、院生、高専卒を対象にしている。この企画に参加したあるメーカーは、B2C企業は知名度があるが、B2B企業は知られていない、会社について詳しく説明するための場になっている、と語る。展示会はリクルーティングの舞台にもなるという新しい展示会ビジネスの企画といえる。

参考資料
1. ローム、SiCトレンチMOSFETで250℃動作、モータへの内蔵ボードを実現 (2011/09/13)

(2011/12/12)

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