シリコンウェーハ面積の2四半期連続で上向き、回復を示す勾配は急
世界の半導体市場が不況から急に回復していることが明らかになった。SEMIのSMG(Silicon Manufacturing Group)によると、2024年第3四半期(3Q)におけるウェーハ面積が2四半期連続プラス成長していた。ウェーハ面積は、前四半期比5.9%増、前年同期比6.8%増の32.14億平方インチとなっており、上向いている。

図1 シリコンウェーハの出荷面積の推移 出典:SEMIの発表数字をベースにセミコンポータルがグラフ化
半年前の2024年5月に第1四半期(1Q)が景況の底ではないか、とセミコンポータルは見ていたが、その見方は間違っていなかったと言えるだろう(参考資料1)。回復のサインがチラホラ見えていたのにも拘わらず、再び落ち込んだ様子を見せたからだ。このため一時的な落ち込みであり、回復のサイン通りに上向きになるはずと見ていた。
出荷されたシリコンウェーハの面積は、歩留まりが変わらず、さらにチップ面積の増加が全体的に顕著でなければ、ほぼICの出荷量に比例するため、半導体市場の様子を表す指標となっている。もちろん、NvidiaのBlackwellという最新のGPUのようにチップ面積がこれまで最大という製品もあるが、数量としてはそれほど多くはないため、ウェーハ面積に対する影響は少ないだろう。ただし、Blackwellは面積最大のダイ(シリコンチップ)を2個真横につないだ構成となっており、1つのAIチップ製品(GB200)では2個のGPUダイと1個のCPUを使っている。
3Qの数字でさえも前回好況のピークだった2022年3Qレベルにはまだ達していないため、回復途上であることは間違いない。SEMI SMGグループの会長でありGlobalWafers社のVP兼チーフ監査役のChungwei Lee氏は、「サプライチェーンを通じて在庫レベルが下がってきたものの、全体的にはまだ高いままだ。AI向けのウェーハ需要は強く、スマートフォンやパソコンなどの民生向け需要が回復しつつあるが、自動車や工業用向けのウェーハ需要がまた浮上していない。その結果2025年は引き続き上向き状態が続くだろう」と見ている。半導体産業は、必ず前回のピークよりも上に来るという成長産業であるため、完全な好況ではなく、回復途上と考えるのが妥当だろう。
ただ、回復途上とはいえ、前四半期比のシリコンウェーハ面積の傾きは、半導体不足が始まった2020年後半よりも急な勾配になっており、回復が急であることを示している。
参考資料
1.「シリコンウェーハ出荷面積、2024年第1四半期が底か」、セミコンポータル、(2024/05/02)
2.「半導体製品の出荷数量が増え始めた、ウェーハ面積が増加に転じる」、セミコンポータル、(2024/08/06)