2022年第2四半期の半導体ランキング見積り、Intelは3位に転落
7月最終週にカレンダー年を決算年度にしている半導体メーカーから第2四半期(4〜6月)の決算が発表された。ファウンドリ企業、ファブレス企業、メモリ企業からも発表があり、大手で最も高い成長を示したのがAMDで、前年同期比70%増、営業利益率は30%と健全な財務を示した。その結果、最新の世界半導体ランキングの予測ができ、Intelは第3位に落ちた。
図1 左の順位はQ2の業績から順位を見積もったもの、右の表はSemiconductor Intelligence社によるQ1での実績 出典:各社の決算報告を基に筆者作成
7月末までに世界半導体主要各社の決算が発表され、特に大手がほぼ出揃った。決算期が4〜6月ではない企業もあり、月が少しずれるものの、これまでわかっている限りの企業の順位を見積もると、およそ図1のようになる。特にIntelの売上額が17%減の153億ドルとなり、TSMCの182億ドルに抜かれてしまった。
その他成長率が著しいのはルネサスエレクトロニクスで、同73%増の3771億円と大幅に増えた。100億ドル企業の仲間入りする可能性もある。ただし、極端な円安の影響で100億ドルにはいかなくても1兆円を超えることは間違いなさそうだ。
第2四半期で売上額が最も大きかったのはやはりSamsungで、同24%増の219億ドルとなっている。売上額の74%がメモリだが、その成長率は18%増に留まっている。メモリ以外は、ファウンドリ、FPDドライバIC、CMOSセンサ、その他システムLSIとなっており、その内訳については公表していない。また、2022年後半のメモリは軟化しており、特にPCとスマートフォンは需要が弱いと表現する。ただし、データセンターのようなコンピュータインフラは好調だとしている。
TSMCは初めて2位に浮上した。同社はメモリ以外の製品でも特に5nm/7nmの製品が全社売上額の52%を占め、28nm以下の先端製品が75%にも上る。需要のまだ旺盛な自動車向けプロセスは、前四半期比14%増となっており全社売上額の5%を占めるようになった。これまでは3〜4%に留まっていた。同社売上額全体の81%がスマホとHPC(高性能コンピューティング)市場となっている。
3位のIntelは、AMDとAppleに食われっぱなしの様相を示しており、最大売り上げを誇っていたクライアントグループ(パソコン関係)の売上額が2021年2Qの103億ドルから77億ドルに大きく下がり、営業利益も同40億ドルから11億ドルに下がってしまった。データセンターとAIグループの売上額も同55億ドルから46億ドルに低下、営業利益も21億ドルから2億ドルまで落ちた。ネットワークとエッジ部門の売上額は同11%増の23億ドルに増えたが、同社全体では少ない。その他、GPU/FPGAやモービルアイ、ファウンドリ部門は合計しても7.7億にドルしかならない。
図2 7月中旬から下旬にかけて発表のあった半導体メーカー 出典:各社の決算報告を基に筆者作成
7月中旬から下旬にかけて行われた決算発表を図2にまとめた。図1のランキング予想は、図2およびここには記述していない、以前の企業の業績を基に書いたもの。韓国のウォンや台湾の元と米ドルとの為替レートで数字が若干異なるかもしれないが、8月2日時点でのレートで計算した。
6月末にMicronが第3四半期見通しを発表し、それが86億ドルから72億ドルへ下げたために半導体景気に陰りと見られた。しかし、先端ロジックのTSMCや汎用ロジックやアナログのUMCは3Qも2Qと同等レベルと見ており、Micronほどの低下は見られない。ただし、同じメモリメーカーでもSamsungとSK Hynixが見通しを具体的な数字で発表していないため、断定できない面もある。またIntelは3Qをマイナス12〜17%と見ているが、他の企業は同等か少し上と見ており、Micronほどの低下はないようだ。
8月4日のSPIマーケットセミナー「世界半導体市場、2022年後半から1年はどうなるか」においてもこれら図1と2に関するディスカッションをしていく予定だ。
参考資料
1. 「Omdiaの半導体ランキングではIntelがまだ1位」、セミコンポータル (2022/03/30)