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19年世界半導体トップ15社、キオクシアが東芝から分離した売上額なら?

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米市場調査会社のIC Insightsが今年の世界半導体トップ15社を発表した。それによると、予想通り、Intelが首位に返り咲いた。2017年、18年とメモリバブルに沸いた年の反動が2019年にやってきたため、メモリメーカーの下落は大きかった。メモリだけのSK Hynixは38%減、Micronは35%減だったが、ファウンドリも手掛けているSamsungは29%減ですんだ。キオクシア(旧東芝メモリ)の数字は公表されていない。

表1 2019年における世界半導体トップ15社 出典:IC Insights

2019F Top 15 Semiconductor Sales Leaders ($M, Including Foundries


メモリメーカーの下落に引きずられて半導体全体も15%減と低下した。もっとも17年、18年は、すでに大きな産業となったメモリだけがそれぞれ62%増、27%増と異常ともいえるくらいの高い成長を示した以上、その反動が来るのは当然であり、35%減としても2016年レベルよりはまだ43%程度も高い(WSTSの2019年6月の見通し発表数字で比較、参考資料1)。

9位に東芝が入っているが、ここでは従来通りの計算を行い、東芝本体の半導体部門である、東芝デバイス&ストレージ社とキオクシアの合計の数字が含まれている。本来ならキオクシアは東芝の連結対象から外れており、財務上は含まれず持ち分法適用の会社になっている。キオクシアは特定株主だけの未上場企業であるため、財務上ではこの2社を分けて表示すべきであるが、10月に社名変更し、ようやく分離した形をスタートさせたばかり。来年は分離することになろう。

もし来年、東芝がキオクシアと分離するなら、東芝はよほど大きな改革を行い幸運に恵まれない限り圏外に去る可能性が高い。キオクシアの売り上げの方がデバイス&ストレージ社のそれよりも多いからだ。キオクシアでさえぎりぎりに位置するだろう。他のメモリメーカーは全てNANDフラッシュだけではなくDRAMも生産しているからだ。例えば、ある見積もりによると、2019年のキオクシアの売上額は7511億円だと見ている(参考資料2)。

上位の表1の15位がMediaTekであるから、キオクシアはそれよりも下にくる。IC Insightsによると、MediaTekの下には華為科技の子会社であるHiSiliconが付けており、その売上額は前年比24%増の75億ドルだというから、キオクシアでさえ、売上額が大きく増加しない限り圏外に落ちる恐れがある。ただし、20年にはNANDメモリ価格は上昇に転じるから、売上額増は間違いないだろう。

上位15社の中で最も高い成長率を示したのはソニー(正確にはソニーセミコンダクタソリューションズ社)である。24%増の95億5200万ドルとなり、108円として計算すると、1兆316億円の売上額になる。ソニーの次が1%増のTSMCとMediaTekだからソニーの売上額成長率は極めて大きい。これはスマートフォンがカメラを2眼から3眼へ増やし、長距離、中距離、近距離と焦点をきれいに結ぶようにしたからだ。スマートフォンの出荷台数がほぼ横ばいでも、全てのスマホが3眼シフトならCMOSイメージセンサのカメラは1.5倍に増えることになる。もちろん全てのスマホが3眼にシフトしたわけではないため、ソニーの24%増は納得のいく数字である。

参考資料
1. WSTS 2019年春季半導体市場予測について (2019/06/04)
2. キオクシア(旧 東芝メモリ) 売上高と業績推移のグラフで財務諸表の内訳を比較分析 2019 (2019/11/07)

(2019/11/21)

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