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DRAMの値下がりはQ3でも10〜15%マイナスが続く

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DRAM単価の値下がりが止まらない。半導体市場調査会社のTrendForceはこの第3四半期(7〜9月)のモバイルDRAMは単体、eMCP(Embedded Multi-Chip Package)/ µMCPも含め、10〜15%値下がりしそうだと発表した。半導体市場全体が回復の兆しを見せてきた中で、DRAMだけが回復が遅れそうだ。

モバイルDRAMの値下がりが止まらない最大の原因は、製品在庫が予想以上に溜まっているため。これまで在庫を減らすため、価格を下げてきたが、まだはけ切れていないようだ。モバイルDRAMはこれにより、2019年第1四半期から3四半期連続10〜15%値下げしてきたことになる。

モバイルDRAMの主用途であるスマートフォン市場の今年の見通しは、5%減であることに変わりないと見る。DRAM単価が2017年、2018年と値上がりが続き、DRAMビジネスはバブルといえる状況を生み出した。その間生産量をあまり増やさなかったため、商社やスマホメーカーは二重、三重の発注でDRAMの数量を確保した。今回は立場が逆転し、買い手市場となっている。

在庫削減の見通しが立たないため、DRAMメーカーは生産調整に入った。しかし、実際は発表するほど大量に減産することはなく、古いプロセスラインの生産能力を減らし、新しいプロセスへの切り替えを進めている。DRAMメーカーは主力製品の損失が出るまでに、生産能力を大きく減らすことはなさそうだ、とTrendForceは見ている。

DRAMプロセスの先端は1X nmプロセス(Xは9ないし8)だが、トップのSamsungはその次の1Y nmプロセスを早く立ち上げ、トップを維持したいとしている(参考資料1)。2位のSK Hynixも1X nmプロセスと1Y nmプロセスを合わせて年末までに80%にしたいと考えており、今年後半から1Y nmプロセスのDRAMを生産していく。SKはさらに韓国の仁川にあるM10工場をDRAM生産からCMOSイメージセンサの生産へ切り替え、今年の後半には量産する計画だ(参考資料2)。

新しいプロセスを導入することで、モバイルDRAMの性能をもっと上げ、LPDDR4シリーズへと転換していく。従来のLPDDR3の供給に対してはあまり積極的ではなく、LPDDR4は今年中に75%まで広がると見ている。LPDDR3は2020年には15%に減少するだろうという。先端のスマートフォンは次世代製品のLPDDR5を採用すると見られており、2020年には市場へ投入されそうだ。ただし、当初の価格はLPDDR4よりも20〜25%高いため、市場でも10%程度に留まるだろうという。


表1 Samsungが発表した2019年第2四半期の部門別P/L 出典:Samsung Electronics

 Samsung Electronics Announces Second Quarter 2019 Results


DRAMの低迷する様子は、本日発表されたSamsungの第2四半期の決算報告(表1)にも現れている。これによると、全社売上額は56兆1300億ウォン(1ウォン=0.092円)、営業利益が6兆6000億ウォンとなり、このうち半導体部門は売上額が前年同期比27%減の16兆900億ウォンで、営業利益は71%減の3兆4000億ウォンとなった。前期比では半導体の売上額、営業利益は、それぞれ11%増、17.4%減と低迷は続いている。それでも、まだ赤字にはなっていない。

参考資料
1. Samsung Electronics Announces Second Quarter 2019 Results (2019/07/31)
2. SK Hynix Inc. Reports Second Quarter 2019 Results (2019/07/25)

(2019/07/31)

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