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ファブレス半導体ランキング、Broadcomのトップ続く

直近ともいえる2017年第2四半期におけるファブレス半導体トップ10位ランキングが発表された。それによると、1位は前年同期と同様、Broadcomで、2位は昨年同様Qualcommと続き、3位にはNvidiaが入った。これは台湾をベースにする市場調査会社TrendForceの最新の調査に基づくもの。

表1 2017年第2四半期におけるファブレス半導体のトップ10社 出典:TrendForce

表1 2017年第2四半期におけるファブレス半導体のトップ10社 出典:TrendForce


ファブレス半導体のランキングであるため、QualcommやNvidiaからライセンスビジネスやOEMビジネスなどからの収入を除いた数字である。1位になったBroadcomは、前年同期比17.3%増の43億6700万ドルとなった。同社はネットワークやデータセンター向けのチップに強く、個人向けのIoTビジネス部門をCypressに売却し、産業向けをまい進する。クルマ用のEthernetネットワーク規格のチップでもリードしており、これらのB2B(Business to Business)向けのチップで大成功した。

2位のQualcommは、最近は中国勢の攻勢に会い苦戦しているが、この四半期は前年同期比13.1%増の40億5200万ドルとなり少し戻ってきた。中国では政府の掛け声で、中国製品を購入することが進められており、地場のSpreadtrumやHiSiliconなどがQualcommの持つ3G/LTEモデムとアプリケーションプロセッサの分野で大きく伸ばしている。また、中国メーカーのスマホ市場進出によって、Qualcommよりもっと苦しんでいるMediaTekは前年同期比19.9%減の18億7400万ドルと大きく落ち込んでいる。このためハイエンド品へシフトしているところだ。

Qualcommは最新アプリケーションプロセッサSnapdragon 660/630/450/835などを発売、MediaTekもP23を立ち上げた。これらの新プロセッサの影響が出るのは第3四半期になる見込みで、売り上げが上がるかどうかはこれらにかかっている。P23はハイエンドからミッドレンジのスマートフォン向けに低価格で出している。ハイエンドではQualcomm、ローエンドでは中国勢にそれぞれ挟まれており、MediaTekは苦しい立場に置かれている。

最も伸び率の大きいのはNvidiaで、56.7%増の19億1300万ドルを達成し、MediaTekと入れ替わり3位に躍り出た。TrendForceによると、最新の需要はネットワークインフラやデータセンター、カーエレクトロニクスに強く、これらの市場がチップをけん引しているとみる。

ファブレス半導体メーカーでは、これまでスマホ向けの半導体メーカーがリードしてきたが、これからはネットワークインフラやデータセンター、自動車エレクトロニクスなど産業分野の中のIT系がけん引する様子を見せている。

(2017/08/18)
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