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試作・少量生産向けファウンドリサービスで日本市場狙うSVTC Technologies

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「試作、少量生産の半導体ウェーハラインが欲しい」、「これまで使ったことのない新しい材料を半導体ウェーハラインで使ってみたい」、「設計したIC回路を早くシリコンに焼き込みたい」。このような要望を持つファブレスメーカーやIDM、チップユーザーに理想的な試作ファウンドリが、顧客を探しに日本へやってきた。これまで米国の顧客が中心だった米SVTC Technologies社は日本市場を開拓、国内のファブレスやIDMを応援する、試作・小規模生産のファウンドリ企業だ。

SVTC Technologies


SVTC Technologiesは、メモリー、3Dトランジスタ、MEMS、バイオデバイス、イメージセンサー、高耐圧デバイス、太陽電池、アナログ/デジタルのミクストシグナルICなど、ありとあらゆるプロセスに対応するのが特長だ。「米国にもパイロットラインを持つファウンドリ企業はあるが、当社ほど広いプロセスに対応しているところはない」と、同社バイスプレジデントのDavid Anderson氏はその優位性を主張する。

潜在的なユーザーには、大手半導体メーカーのIDMや、ファブレス、IPベンダー、ICチップユーザー、装置メーカー、材料メーカーなどがある。「例えば大手半導体メーカーだと、これまでの半導体プロセスで使ったことのないような新材料をウェーハプロセスで試してみたい、という要求があっても量産ラインでは試作できない。どのようなコンタミが含まれているかどうかわからないためだ。またHigh-k材料やメタルゲートのプロセスを開発する場合のリスクを回避するのにも有効だ」とAnderson氏は言う。

新しい材料を使った製造装置を開発するメーカーにとっても実際のウェーハプロセスに使えるかどうかを試してみることもできる。さらには、MEMSとCMOS回路を別チップあるいはモノリシックに製作してほしいと願うユーザーにも対応できる。もちろん、従来のファブレス企業が設計したCMOS回路を早く焼き付けたいという要望にも対応できる。大手ファウンドリでは対応できないような少量生産を特長とする。

ファブレス半導体が最初から大量生産を依頼するにはリスクが伴う。まず、少量ウェーハで試してみて顧客の反応を見るのに有効だ。顧客の大きな需要が見込めることがわかったら、大手のファウンドリに依頼すればよい。SVTCはさまざまなプロセスに対応でき、しかも少ししか作らない、といった用途にフォーカスしたファウンドリ企業である。

SVTC Technologiesがこのビジネスを立ち上げてから、まだそれほど月日はたっていない。SVTC (Silicon Valley Technology Center)はもともと米Cypress Semiconductor社のプロセス開発拠点だった。それを二つの投資会社Tallwood Venture CapitalとOak Hill Capital PartnersがCypressから購入、SVTC Technologiesとして独立のファウンドリとなったのが2007年3月。Cypress社は「No More Moore」として微細化に頼らず賢いアーキテクチャや機能を持つICチップ(pSoCなど)で勝負することを決めていたため、投資会社が購入するのは渡りに船だった。SVTC Technologiesは2007年12月にはSEMATECHのプロセス開発会社ATDF(Advanced Technology Development Facility)を買収して、サンノゼとテキサス州オースチンの2ヵ所に工場を持つようになった。2008年の6月には太陽電池ビジネスにも参入し、ガラス基板上に薄膜を形成する技術も持った。

現在、二つの工場を合わせて従業員は250名。うち80%がエンジニアだという。いろいろな顧客からさまざまなICチップの依頼を受けるため、社内ではその顧客をコード名で呼び、秘密保持を徹底している。24時間稼働しており、セキュアなプロセスIPを確保している。4000ものプロセスレシピからなるプロセスライブラリを持ち、これらはすべて特性評価されたものばかりだとしている。さらに統計的なプロセス制御手法も使いプロセスを揃えている。8インチの65nmラインを持つ。


SVTC Technologies顧客


公表を許されている顧客は、上記のとおりだが、他にも合わせると全部で100社近くに及ぶとしている。

プロセス開発だけではない。解析サービスも始めた。SEMやTEMなどの電子顕微鏡、材料解析、プロセス評価、不良解析、インライン測定サービスなどをはじめ、ウェーハ状態での電気的テストによりプロセス性能を詳細に評価するサービスもある。台湾TSMCともパートナーシップを結び、TSMCの新しいプロセス評価を支援する。SVTCは研究開発と量産との間を結ぶ新しいファウンドリサービス会社といえる。


(2009/03/10 セミコンポータル編集室)

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