中国の8インチライン増加へ
世界の半導体産業の進化は、一つはプロセスの微細化であり、もう一つはウェハサイズの増大である。現在、世界は12 インチ、65nm 時代に突入している中で、中国のIC 製造はまだ初期段階に留まっている。
2006 年は半導体のターニングポイントであった。それは、DRAM の8 インチウェハ生産のコストパフォーマンスが悪くなりラインの閉鎖へと向かったからである。2007 年にはDRAM の8 インチ生産ラインは、他のIC の生産に転用されるだろう。華虹NEC は中国で初めて8 インチウェハ生産工場を立ち上げ、それ以来今日まで中国のIC 産業をリードしてきた。現在、中国にはSMIC の12 インチウェハ生産工場と中国全土の8 インチウェハ生産工場を合わせて、その生産は月間30 万枚以上の生産規模に達している。
確かに中国は12 インチの90nm プロセス技術を有しているが、世界トップのTSMCに比べるとはるかに遅れている。ハイエンドのファウンドリー事業は標準メモリーが中心である。ロジックIC のファウンドリー事業では、90nm プロセスの需要量が少なく、まだ立ち上がっていないため、ファブレスメーカーからの先端プロセス品の大口受注が無い。そのため、新しい12 インチウェハ工場の生産能力拡大への牽引者がなく12 インチウェハの生産は停滞している。
12 インチ生産ラインについては、SMIC の北京Fab4以外に、上海Fab8 に製造装置を導入中であり、武漢にある新工場も前倒しして完成する見込みである。また、無錫Hynix とST マイクロが共同出資したメモリー工場は、2007 年末に8 インチが5 万枚、12 インチが6 万枚の月間生産能力であり、中国における最大規模の最先端IC 工場になる。
これらの12 インチウェハの新工場は、自ら生産するIC やファブレスからの需要を持っているので、新工場稼動に問題はない。
しかし、昨年9月に中国政府関係の中国華虹集団傘下で上海に建設された“華虹国際半導体有限公司”の半導体工場が急遽、半導体設備の納入を中止したのは、12 インチウェハのラインを稼動させるに十分な受注が見込めなかったことが原因のようである。中国オリジナルの最新工場建設と運営は技術面と需要面で難しい。
中国のIC 製造産業では、まだ6 インチと8 インチが主流で利益が確保できている。このため、現在でも引き続き8 インチの生産ラインの工場を増設しているのが現状である。
セミコンダクタポータルのコンテンツパートナー、アレグロ インフォメーション・インク(以下アレグロ)による、中国のエレクトロニクス・半導体・液晶分野のマーケット情報です。アレグロは、同社独自の調査及び、中国国家統計局、CCID、中国電子報、経済参考報、国際金融報などから得たフレッシュな情報をベースに、特に中国のIT、エレクトロニクス、半導体・液晶関連の情報収集・提供、分析、調査を行っています。今回、提供したのは、同社の月刊レポート「中国レポート:Electronics and Semiconductor China」の2007年4月号からの一部抜粋です。