CPU RISC-Vコアをカスタマイズするビジネスに注力するKeysom
米国と中国、さらには欧州まで広がっているRISC-V CPUコア。3月、東京大学で開催されたRISC-V DayにやってきたフランスのスタートアップKeysomのビジネスモデルはユニークだ。RISC-Vコアは元々命令セットが47個と極めて少ないアーキテクチャで、カスタマイズするのに向いている。しかし実際にCPUコアビジネスを展開している半導体IP企業には、使えるレベルまでさまざまな回路をCPUに集積したところが多い。
図1 KeysomのRISC-Vはカスタマイズが前提のCPUコア 出典:Keysom
確かに、使えるレベルのCPUコアが欲しいと思うユーザーにはさまざまな汎用の命令を組み込むCPUは使いやすい。しかし、自分だけのCPUを求めるユーザーには無駄な機能がつくことになる。RISC-Vコアの大手IP企業のSiFiveやAndess Technologyが用意しているCPUコアは、使えるレベルだが汎用品に近い標準品といえそうだ。CPUは本来ソフトウエアで差別化するチップである。ハードウエアは汎用品のはずだが、実際には不要な命令セットも多い。Reduced Instruction Set Computer(RISC)のArmのCPUでは500命令もコアがあると言われている。ましてやComplex Instruction Set Computer (CISC)のx86アーキテクチャだと1500命令という膨大な命令セットのCPUがあるようだ。
これに対して、KeysomのCPUコアはどちらかといえばまっさらに近い(図1)。必要最小限の命令セットでCPUを作り込むことができるため、PPA(性能・消費電力・CPUコア面積)は優れていることが「ウリ」になっている。
このため、カスタム製品であるASIC(特定用途向けの専用ロジックIC)を作り込むときのような作業が求められる。そこで、Keysomは顧客が自分だけのCPUコアを作り込めるようにソフトウエア&開発ツールであるCoreXplorerを顧客に提供する。

図2 Keysom COO(最高執行責任者)兼創業者のLuca Testa氏
CoreXplorerは、何百万ものプロセッサ派生品を比較し顧客の求めるプロセッサに近い命令を組み込む。コード不要のインターフェイスで操作できるという。GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)の画面を通して対話しながら必要な命令や、パイプラインの段数や分岐命令の数など入力すると、複数のカスタムアーキテクチャを生成する、と同社COO(最高執行責任者)兼創業者のLuca Testa氏(図2)は語っている。PPAを比較した後に、RTL(Register Transfer Level)コードを生成する。最後にはFPGAを使ってテストしてみることもできるという。
この開発ツールは、既存のEDAツールとも統合でき、スムーズに効率的なワークフローを提供するとしている。直感的に理解しやすいGUIで、さまざまな専門知識を活用して設計できるという。
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