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Micronの広島工場、1β nm製品の量産出荷を祝う

Micron Technologyが世界最初の1β nmプロセスノードの64GビットDRAMをサンプル出荷したが、このDRAMチップを生産する東広島工場で、このほど量産を開始した。それを記念して祝賀式典を開催した(図1)。式典には、広島の行政関係者、顧客、サプライヤ、大学関係者などが出席、米国本社からもCEOやCTOが出席、戦略を語った。

図1 Micronの広島工場での1β製品量産開始の祝賀会 出典:セミコンポータル撮影

図1 Micronの広島工場での1β製品量産開始の祝賀会 出典:セミコンポータル撮影


この式典にも名称がつけられており、「Advancing the Future from Hiroshima」と題して行われた。式典では、経済産業省商務情報政策局長の野原諭氏、広島県知事の湯崎英彦氏、駐日大使のRahm Emanuel氏が祝辞を述べた。

その背景には、日本政府から1β nmのDRAM生産に向け最大助成金465億円が交付されることが決まったため、政府関係者へのお礼という意味がある。1β nmとは、13nm以下、すなわち12〜13nmのプロセスノードとMicronはアジアでのオンライン記者会見で述べており、DRAMのプロセスノードとしては最も先進的だ。現在のロジックでも5nmノードでの実際の最小線幅は14〜15nmであるため、線幅だけで言えば最も微細な半導体チップだといえよう。

DRAMメーカーはこれまで20nm以下のプロセスを、ファウンドリと違って、いきなり14nmや7nmとは言わず、19nm、17〜18nmと少しずつ刻んで表現してきた。それを1x nm、1y nm、1z nm、と表してきた。1z nmの次は1α nm、今回の1β nmと続く。さらにその先は1γ nmとなるが、Micronはここで初めてEUVの登場となるとみている。

NANDフラッシュが3次元方向にセルを積み上げていくことで集積度を上げるのに対して、DRAMは1セルに溜める電荷量を微細化しても減らさないようにするため、シリンダー型のセルをセルトランジスタの上に重ねる構造で3次元化にして高集積化を進めている。今回の1β nmプロセスDRAMは広島で設計し量産も行っている。

広島工場はDRAMだけの工場だが、テクノロジノードとして、1β nm 以外にも1y nm、1z nm、20nm、25nmの製品も製造している。これまでの最先端であった1α nmノードの製品は米国のアイダホ州ボイジーで開発され、台湾工場で生産している。広島工場はDDR5やGDDR6x、LPDDR5xなどDDR製品に加え、DRAMダイを複数枚重ねたHBM2eも生産している。

今回、Micronはクリーンルームの外側からだが、クリーンルームで動く搬送ロボット(Foupを搭載)やマルチチャンバ装置などを見せている。しかし、写真撮影は禁止されている。天井を走る搬送ロボットの搬送レールは2層構造になっており、上のレールはハイウェイと呼び、製造装置から離れており高速で動く。その下にはシティウェイと呼ばれるレールで製造装置に近い通路となっている。この2段構成の搬送システムをAMHS(Advanced Material Handling System)と呼んでいる。搬送レールを2層構造にしたのは、搬送効率を高めるためだとしている。つまり、衝突せず、待つこともせず、常に搬送ロボットが動いている状態を保つ。

もちろん、スマートマニュファクチュアリングを推進しており、製品ウェーハをカメラでモニターしており、異常が起これば検出する。製造装置からの大量のビッグデータを収集しており、データを解析し予知保全に努めている。搬送ロボットのモータードライバからデータを収集し、インターフェイスを経て、工場内のネットワークでつながれ、コンピュータで処理されたデータをモニターする。これによって歩留まりを向上させている。Applied Materialsや東京エレクトロン、SCREENなどの装置が設置されているが、人手を介さずウェーハを流している。

マイクロンジャパンは積極的にDEI(Diversity, Equality, Inclusion)を推進しており、女性や外国人の採用を進めている。例えば2017年度には採用した人員の中に占める女性の割合は10%しかいなかったが、2022年度は43.6%にも達した。マイクロンジャパンは働きやすい職場として大企業部門の中では20位、ハイテク企業の中では1位に選定されている。外国籍の従業員は、全体の30%程度占めるという。

ただ、短期的にはDRAMやNANDフラッシュなどの製品は在庫が多く、当分は在庫調整を進めなければならない。すでに20%の減産を最近、発表している。これから来年前半にかけて生産量を増やせないため、年度内の投資を減らさざるを得ないが、Micronは財務状況を見ながら投資を継続する姿勢は変わらない。

(2022/11/22)
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