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米ファウンドリ3社が半導体製造サービスの受注獲得活発に

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半導体製造が弱体化していた米国でファウンドリビジネスが前向きに動き出した。Intelのファウンドリ部門が台湾MediTekにファウンドリサービスを提供することで合意した。米ミネソタ州のSkyWater Technologyがインディアナ州、Purdue(パデュー)大学と共同で半導体製造工場を建設する。GlobalFoundriesはSTMicroelectronicsと共同でFD-SOI新工場をクロルに設立することで合意した。

Intelのファウンドリ部門であるIFS(Intel Foundry Services)は台湾のファブレスMediaTekと戦略的パートナーシップを結んだと発表した(参考資料1)。MediaTekはこれにより、米国、欧州の顧客にもすぐ対応できるようになる上に、新しいフォウンドリパートナーを確保できる。MediaTekは、小型エッジデバイス向けのいろいろなチップを扱うことができるようになる。生産実績のあるFinFETをはじめ次世代トランジスタ構造にも広げることができるようになる。

Intelは、高性能や低消費電力で常時接続のデバイスなどに向け幅広い生産プラットフォームを提供できるようになる。IFSのプレジデントであるRadhir Thakur氏は、MediaTekは年間2億個を出荷する大手ファブレスメーカーの1社であり、IFSの次の成長に向けた重要なパートナーだ、と述べている。MediaTekはもとよりマルチソース戦略を取ってきており、5Gのデータカード事業でもIntelをファウンドリとしていたが、今回の提携により、小型エッジデバイス向けチップにも拡張できるようになる。IFSは先端プロセスだけではなく、パッケージング技術や各種IPポートフォリオも備えており生産量を約束できるという強みがあるという。


SkyWater Plans to Build Advanced $1.8B Semiconductor Manufacturing Facility in Partnership with the State of Indiana and Purdue University / SkyWater Technology

図1 SkyWaterとインディアナ州、Purdue大学が協力して18億ドルの工場を設立 出典:SkyWater Technology


SkyWater Technologyは産官学でパートナーシップを組み、18億ドルをかけて先端製造工場をパデュー大学のキャンパス内に設立する(参考資料2)。このインディアナ工場は、SkyWaterの開発サービスと量産サービス、ヘテロ集積ソリューションを提供する。18億ドルという巨額の資金は、SkyWater社とパデュー大学、インディアナ州が協力して(図1)、連邦政府のCHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors)法案による補助金を当てにしたもの。

SkyWaterはこれまで、旧Cypressのミネソタ工場を買収、そこを生産工場としてファウンドリサービスを始めた。さらにフロリダ州にあったネオベーションセンター(旧Florida Advanced Manufacturing Research Center: FAMRC)を先端パッケージング工場として手に入れた。SkyWaterは自らを、信頼のある(Trusted)ファウンドリ専業メーカーと称しており、米国内でファウンドリ生産を確立しようとしている。SkyWaterの今回の新工場によって米国ファブレスや大学の半導体生産を支援し、半導体サプライチェーンをサポートする。一方、大学との協力により、優秀な若手エンジニアを雇用できる。

GlobalFoundriesは、欧州のSTMicroelectronicsと共同で仏グルノーブル近郊のクロルに300mmの新工場(図2)を設立する(参考資料34)。FD-SOI(Fully Deleted Silicon on Insulator)プロセスにより最小寸法18nmまでの自動車、IoT、通信インフラなどに向けた半導体を生産する。FD-SOIによるCMOSトランジスタの性能はバルクCMOSよりも1~2世代分進んだ性能とされており、超微細化せずに高性能・低消費電力を実現する手段としてSTなどの欧州勢が好んでいる。デジタルLSIだけではなく、RF無線技術やこれからのミリ波、さらにセキュリティ回路の集積も可能にする。


図2 STのクロル工場を拡張する 出典:STMicroelectronics

図2 STのクロル工場を拡張する 出典:STMicroelectronics


この工場には数十億ユーロの投資が見込まれており、クロルにあるSTの300mm工場の隣
の敷地に建設する。生産能力は、300mmウェーハで年間62万枚に達することを計画している。投資割合はGFが約58%、STは42%としている。両社が共同で工場運営を行うというビジネスモデルは、実は日本のキオクシアとWestern Digitalが先鞭をつけたもの。

STは、設立予定の新工場がおよそ200億ドル以上の売上額を産み出すと見ており、約1000人の新規雇用を見込んでいる。GFとの共同出資により、早く目標を実現しリスクを下げ、欧州のED-SOIエコシステムを強化する、という。加えて、イタリアのミラノ近郊のアグラテに建設中の工場にも投資し続けており、23年上期に立ち上げ、25年末にフル生産に入る予定だ。また、縦型GaNとSiCの製造も組み込むという。

欧州全体で、現在の半導体メーカーのシェアは日本と同じ10%しかないが2030年までに20%に持ち上げようという明確な目標を掲げている。生産能力を上げるために投資を継続する必要があるが、それを欧州版CHIPS法案がサポートする。研究開発はSTとGFだけではなくフランスの研究機関CEA-LetiとSOIウェーハを提供するSOITECが共同で行う体制を確立した。

参考資料
1. "Intel and MediaTek Form Foundry Partnership", Intel (2022/07/25)
2. "SkyWater Plans to Build Advanced $1.8B Semiconductor Manufacturing Facility in Partnership with the State of Indiana and Purdue University", SkyWater (2022/07/20)
3. "STMicroelectronics and GlobalFoundries to advance FD-SOI ecosystem with new 300mm manufacturing facility in France", STMicroelectronics, (2022/07/11)
4. "STMicroelectronics and GlobalFoundries to advance FD-SOI ecosystem with new 300mm manufacturing facility in France", GlobalFoundries

(2022/08/09)

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