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東大、ハードウエアに特化する起業家向け寄付講座を開設

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東京大学は、学生の起業活動を支援するため、アントレプレナーシップ教育の寄付講座を開設する。この講座は、経営共創基盤とKDDI、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、松尾研究所が寄付企業となり、著名起業家などの講義と、事業会社(ダイキン工業、日本たばこ産業、サントリーなど)の社員を交えたフィールドワークを行う。10月7日から開始する。

東京大学アントレプレナーシップ教育デザイン寄付講座開設

図1 東京大学と参加する寄付企業のトップ


東京大学はこれまでも学生や院生による起業を促進してきた。この結果、「430社の起業を創出した。トップ5社の時価総額は1.5兆円に達している。これからも1兆円ベンチャー企業を創出したい」と東大工学系研究科長・工学部長の染谷隆夫教授は意気込む。手に張り付けるようなウェアラブルデバイスを研究開発してきた染谷教授の研究室からも2社起業したという。

これまでの起業促進では、IT関係のアプリケーションソフト開発が30%、バイオ・ヘルスケアが29%、その他サービスが16%となっており(図2)、ハードウエアやモノづくりが少なかった。ハードウエア関係では、ものづくり13%、環境・エネルギー5%、ITハードが4%、化学・素材2%という構成だ。ソフトとサービスが実に75%を占めており、今回の寄付講座設立の理由に、講座代表で東大工学系研究科の坂田一郎教授は、「ハードウエアが少ないためと、国際市場を目指すものが少ないため」と二つを挙げた。


背景にある東京大学のエコシステムの課題

図2 これまでの起業活動はソフト・サービスが75% 出典:東京大学


特にハードウエアは実装までに長い期間がかかるため、研究室同士や事業会社との連携などが必要だとしている。今回の講座では、学内だけではなく外部から企業の人も講師として依頼する。さらに、ハードウエアは大きな資金が必要なため、連携が重要だとしている。寄付する企業の1社である、経営共創基盤の代表取締役CEOの村岡隆史氏は、「アカデミアと企業・金融業界との連携を作りスタートアップのエコシステムを広げたい」と抱負を述べ、「マネジメントは起業運営と共通しているので、倒産しないために気を付けることは何か」といったノウハウを教えたいとしている。

寄付講座は3年間続け、総額1.2億円を教育活動と情報発信に使っていく。講座は講義とフィールドワークの2本立て(図3)。講義では、資金調達やビジネスプラン、顧客視点、新規テーマ、IPO、M&Aなどのテーマがある。フィールドワークはいわば実習である。


本講座の特徴

図3 今回の寄付講座の特徴 出典:東京大学


ただ、国際市場を目指すとしながらも外部講師は日本人だけとなっており、外国で成功した講師を含め外国人講師は、今後考えていくとしている。

(2021/08/31)

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