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TSMCの日本進出の事実は、この記事にある

本日もTSMCが日本に拠点を作ることが報じられたが、経済産業省が小まめにリークするため、全貌が捉えにくい。しかし、セミコンポータルが1月28日のSPI会員限定Free Webinar「TSMCは本当に日本に工場を設立するか」(図1)で議論したように、半導体パッケージングのR&Dセンターを作ることは間違いなさそうだ。ただし工場は作らない。

図1 SPI 会員限定 Free Webinar 今月の重要ニュース(2020年1月)

「TSMCは本当に日本に工場を設立するか」

図1 SPI 会員限定 Free Webinar 今月の重要ニュース(2020年1月)


TSMCの日本進出に関する情報は、日本の視点だけで考えると疑問だらけになってしまうが、TSMCの視点に立って考えてみると、報道とも合わせて、事実に迫ることができる。TSMCは1月14日に決算発表を控えていた。TSMCの日本に工場を作るという話は1月5日に流された(リークされた)。しかし、誰がTSMCに尋ねても14日まではもちろん一切何も答えない。決算前の情報によって株価が操作される恐れがあるからだ。

インサイダー情報によって株価を変動させることは違法行為、犯罪である。このため、決算報告の前にはどのような情報でも、対象とする企業が発表することはありえない。だが、今回の場合は、その前に情報が漏れたために、TSMCはもはやリークした当事者を信用しなくなった。

その証拠に、1月15日に報じられた新竹中央社のフォーカス台湾メディアの記事によると、TSMCは、材料の研究開発センターを日本に設置する件は検討中だとしており、サプライチェーンのパートナーと共同で3D-ICの材料について探っていくと説明した。今後、日本に材料の研究開発センターを設置することになった場合は、単独出資の形式を採用する方針だと明らかにした、という。また、この時点では、まだ最終決定していないとしている。単独出資を行うと言明したことは、リークした交渉相手を信用していないことを示す。

この記事に真実味があることは、Webinarで説明したように、TSMCが活動してきた事実を積み上げると、納得がいく。

(2021/02/09)
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