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Western Digitalがクルマのストレージ市場に大きな自信

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東芝の四日市工場でコラボレーションしているWestern DigitalがNANDフラッシュのクルマ応用に力を入れている。昨年のクルマ関係の展示会でも、温度規格を満たす信頼性試験データなどを公開してきた。WDがなぜ3D-NAND方式でも車載に使えるメモリを実現できたのか、その理由を同社Automotive & Connected Solution部門製品マーケティングマネージャーのRussell Ruben氏(図1)が明らかにした。

図1 Western Digital Automotive & Connected Solution部門製品マーケティングマネージャーのRussell Ruben氏

図1 Western Digital Automotive & Connected Solution部門製品マーケティングマネージャーのRussell Ruben氏


車載用半導体チップは、高温動作などの温度保証だけではなく、半導体チップの動作状況に応じて正常動作していることを確認する必要がある。例えば、書き込み性能よりも読み出しやリテンションが重要なデジタルクラスタ(インパネ)では、高温でも正しく読み出せることや、メモリ内容の保持特性の信頼性は必須だ。一方、ドライブレコーダーでは書き込み特性が重要で、温度が上がっても劣化しないことが求められる。Western Digitalは、ストレージ要件と課題を整理し、まず用途に応じて信頼性を高める設計に注いできた。

もちろん、クルマがデジタル化を推し進めている以上、それに使うストレージメモリは増加の一途をたどる。例えば、これからの地図は従来のカーナビゲーションに使う地図と比べ、もっと高精細になり、しかも平面だけではなく高速道路のインターチェンジのような立体的な地図も必要になる(図2)。このためストレージ容量はこれまでよりも増え、64〜128GB(バイト)にもなると予想している。また、前方にある物体をもっとクリアに見せるためにAR(拡張現実)を使うというアイデアもある。ARシステムなら16〜128GBが必要という。その他、ドライブレコーダー、車載カメラ、車体・車両の制御などは8〜64GBとしている。


車載NAND要件の高度化 / 1台あたり1TB以上

図2 車載向けNANDフラッシュの大容量化が求められる 出典:Western Digital


WDはこのほど、車載用に32〜256GBのNANDフラッシュメモリ、「iNAND AT EM132」をリリースした(図3)。このNANDフラッシュは、強力なECC(誤り訂正回路)を持ち、ウェアレベリング(メモリアレイ内の同じところばかり書き込み消去せずに平均化するための技術)、アルファ粒子・中性子保護、温度管理、不良ブロックや障害の管理など高信頼設計となっている。


iNAND AT EM132 製品概要 / e.MMC 5.1 : 次世代先進アプリケーション向けの設計

図3 新製品iNAND AT EM132の特長 出典:Western Digital


加えて、クルマの寿命データをモニターするため、高度なヘルスステータスモニタリング機能を設けた。これはホストコンピュータからコマンドを発行し、寿命データを読み出すことで判断する。またECUに電源を供給するが、その電源の瞬断耐性も必須だ。さらに、3ビット/セルのTLCと1ビット/セルのSLCの部分をそれぞれ切り替えることができるパーティショニング機能もある。6月から提供する。


Western Digital 3D TLC NANDの信頼性は最新の2D MLC NAND技術を超える

図4 3D-NANDでは電荷量を増やし信頼性を上げた 出典:Western Digital


WDは自動車という劣悪な環境で確実に動作できるようにするため、3D-NANDフラッシュには40nmに近い緩いデザインルールを用いたとRuben氏は言う。ここでは64層の3D-NANDアーキテクチャを採用(図4)、デザインルールが15nmプロセスの2DのMLC(2ビット/セル)NANDよりもたくさんの電子電荷を使えるようにした。3D-NANDでは、従来の浮遊ゲート方式からMNOS電荷とラッピング方式に東芝やSamsungと同様に変えたが、読み書きの電荷をより多くとるためだったとしている。これによって、3D-NANDアーキテクチャでもクルマ用途にも十分信頼性のある製品を提供できるようになった。1個の物理セルで、より多くの電荷を出し入れできるようになったため、隣接セル間の干渉は少なくなり、データ保持期間も向上した。

ECUも仮想化技術に
今後、クルマにおけるデータ量需要が増えるにつれ、さまざまな機能に応じてデータ量やECU数も増えていくことになる。ただ、ECU数が増えすぎるようになると、クルマ1台の中に、複数のECUをまとめた「ドメイン」というコンセプトが出てくる。1台のドメインには複数台のECUやそれを動かすOSなどを搭載する仮想化技術が導入されるようになる。ドメインアーキテクチャは、まるで小さなデータセンターのようになる。複数のECUを1台のコンピュータが扱うかのように仮想化するのである。クルマ市場を狙うIntelも仮想化技術へのドメインアーキテクチャを提案している。

こうなると本格的なストレージシステムの導入となり、それぞれの仮想マシンを制御するためのハイパーバイザや複数OSなどを格納するメモリが必要になる。ドメイン構成と仮想化システムでは自動運転OSやアプリケーションスタックも求められる。複数のOSとハイパーバイザで8〜64GB、自動運転とアプリケーションスタックで32〜512GBといった容量が必要になるとルーベン氏は見ている。

(2019/06/13)

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