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半導体製造装置展示会から大きく外れたセミコンジャパン2018

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セミコンジャパン2018(図1)は、大きく変貌を遂げている。従来は、半導体製造装置が展示され、それを買いに来る半導体プロセス関係者でにぎわってきた。ここ数年、日本の半導体メーカーが弱体化し、海外市場へ向かっている半導体製造装置や検査装置などのメーカーは強いものの、今年は少し変調をきたしている。

図1 セミコンジャパン2018の光景

図1 セミコンジャパン2018の光景


今年のセミコンジャパンは、東京ビッグサイトの東館1〜6館の内、1〜5館にとどまった。初日の来場者は昨年よりも18.3%も少ない1万7632名と大きく減少した。一方、セミナーはほぼ横ばいの3842名を維持した。出展社が昨年の752社から727社と減らしたものの、出展小間数は昨年の1760小間よりは多い1881小間となった。

なぜか。ざっと回った感想だが、半導体製造装置の展示が少なくなり、またブースの中身は展示ではなく、会社説明や製品説明のポスター展示や商談ブースになり、大手は自社のブースで顧客との懇談や接待に終始していた。一方で、半導体製造装置に使う部材や部品などは活発で、半導体工場に使うEtherCATやワイヤレス充電などに加え、ディープラーニング、IoT組み込みシステムなど、さまざまな応用の展示が出ていた。日本でAIの第一人者であるプリファードネットワークス社もブースを構えている。

数年前からセミコンジャパンは、半導体そのものの応用に力を入れ、IoTを指向してきた。昨年まではIoTからIoTチップへとIoTを掲げても半導体チップと関係するブースもあったが、今年は半導体応用が浮いており、組み込みシステムの展示会のような様相を示してきた。

IoTシステムを使って工場の生産性を上げるといった応用ではなく、データを握る業界からの展示やその応用などもあった。例えば、データセンターを運営してサーバーのホスティングサービスをやっていたさくらインターネットは、玄関のキーロックにIoTを使って物理的なカギを持たない仕組みをtsumug社と共同で提案した(図2)。カギを開けるのは人間の顔、指紋、声紋など個人を認識できるバイオセンサであればなんでもかまわない。同社の狙いはあくまでも、カギをかけた回数や日時、認証失敗の数などカギに関するあらゆるデータを収集しクラウドに上げることにある。


図2 さくらインターネットがtsumug社と共同で提案するデジタルカギ

図2 さくらインターネットがtsumug社と共同で提案するデジタルカギ


さくらインターネットは、IoT端末そのものは持っていないため、端末メーカーとコラボし、この仕組みとなるIoTデータプラットフォームを作ろうとしている。tsumug社以外では、MIKAWAYA21社とのコラボで一人暮らしの高齢者が使えるボタン付きのIoT端末も提案した。このようなIoTシステムでは、サードパーティのソフトウエアベンダーや通信ベンダーなどともコラボが必要となる。

変わったところでは、スポーツジムを運営する、東急スポーツオアシスが出展した。同社は、Webgymと呼ぶスマートフォンのアプリを提供しており、このアプリをインストールすると自宅でも画面を見ながらダイエットなどのエクササイズをできる上に、スタジオで行うレッスン内容を24時間使える。自分の運動メニューを作成することもできるが、ここでもやはり運動した履歴や歩数、摂取カロリーなどが記録され、ログデータとして使える。同社は、IoT端末側の業界の人たちを会うために今回出展したと言っている。しかし、さくらインターネットにせよ、東急スポーツオアシスにせよ、IoT端末を応用する先の業界であり、半導体製造装置業界とはきわめて遠い存在である。むしろ、組み込みシステム見解の業界と結びつきたいと思っているため、半導体製造装置業界とはやはり遠すぎるだろう。

このような中、半導体製造装置との共存を図る部材業界は健在だ。産業用ワイヤレス充電装置の得意なB&PLUS社は工場内の自動搬送車(AGV)の充電ステーション用ワイヤレス充電器や、ターンテーブル上の小さなワークの充電、溶接器具のワーク着座でのワイヤレス充電など、工業用で必要なワイヤレス充電を提案している。

ガスセンサ業界の大手、新コスモス電機は、半導体製造装置内のガス配管に取り付けるガスの検知器を提案している。半導体ガス検知器は、カセットと呼ぶセンサユニットを取り付けるだけで、モノシランガス(SiH4)やアルシン(AsH3)、フォスフィン(PH3)など半導体プロセスに不可欠なガスを数十種類測定でき、その感度は毒性の強いガスほど高く、アルシンはフルスケールで0.25ppm、モノシランは同25ppmなどの特性に調整している。小型で可搬型ながら、モジュール方式でさまざまな種類のガスに対応できる。センサを取り付ける配線を少なくするため、Ethernetケーブル上に電源ラインも載せるPoE(Power on Ethernet)方式のガス検出器も今回揃えた。

半導体製造装置同士をつなぐ工業用のEthernet規格のEtherCAT推進団体もブースを出し、さまざまな機器をつなぐためのEtherCATボードをずらりと並べて展示していた。半導体製造装置メーカーを顧客とする展示会を指向するなら、半導体メーカーは展示する側に回り、製造装置への部材の一部品として扱ってもよい。機械・機器部品産業を取材してわかったことだが、実は工業用・産業用の機器市場の中で最も成長が見込める分野は、半導体製造装置業界なのである。

(2018/12/14)

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