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ペロブスカイト太陽電池はシリコンと重ねて30%効率へ

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ベルギーIMECが効率27.1%のペロブスカイト構造太陽電池を開発した。ペロブスカイト構造の太陽電池とは何か。なぜIMECはペロブスカイト太陽電池を開発したのか。代表的なペロブスカイト構造は、PbTiO3やBaTiO3のような強誘電体結晶で見られる。立方晶系の単位格子の各頂点に金属(PbやBa)原子、体心にもう一つの金属原子Tiを配置し、立方晶系の面心中央にOを配置した結晶構造の一種。なぜこれが安く高い効率のセルを作れるのか、探る。

図1 IMECがシリコン+ペロブスカイト太陽電池で27%の効率を実現 出典:IMEC

図1 IMECがシリコン+ペロブスカイト太陽電池で27%の効率を実現 出典:IMEC


フォトダイオードの一種である太陽電池は、半導体材料から見ると単結晶シリコンの独壇場で、それも石油並みの価格に近付いてきている。引き上げるシリコン結晶のインゴットのアタマとしっぽ部分は結晶性が悪く半導体LSIグレードには達しない。これらの安い部分を切り取り加工したのが太陽電池だ。今や、石油の価格に近付くほど安価になり、これに代わる新材料はもはやないと思われていた。

ところが、ポリマーを溶液に溶かして塗るだけの材料でペロブスカイト構造を持つものができることがわかり、その材料を塗って乾かして太陽電池を作ってみると、シリコン並みの構造を持つことがわかった。桐蔭横浜大学の宮坂力教授が見つけた。有機溶剤に溶かして塗るだけで済むため安価にできる可能性は高い。

この材料として代表的なものはPb(CH3NH3)I3という分子式の結晶である。粉末のPbI2試薬と、粉末のCH3NH3I試薬を混合し、溶媒に溶かして常温で塗布する。さらに40〜100℃の温度を加え、溶媒を揮発させ乾燥させることで結晶が析出する、というもの。加熱して析出した結晶は、比較的容易にペロブスカイト構造になる。チタン酸バリウム(BaTiO3)のBaがPb、TiがCH3NH3、OがIにそれぞれ相当する。複雑なわりにはペロブスカイト構造を構成するらしい。

ペロブスカイト太陽電池がシリコン並みの効率が得られるからといって、シリコンと同じ太陽光スペクトルを持つわけではない。シリコンは赤外線を吸収するように、可視光から赤外光にかけて吸収スペクトルがある。一方のペロブスカイトポリマーはむしろ紫外光から可視光に吸収スペクトルを持つ。ならば、両者を重ねて、紫外光から赤外光までフルレンジをカバーできるタンデム構造(縦積み構造)にすれば効率はもっと高くなるはずだ。こう考えて実現したのが今回のIMECの太陽電池である。

従来のペロブスカイト太陽電池は、プラスチックエレクトロニクス、フレキシブルエレクトロニクスとしてシリコンに負けないものを作ろうとしていた。しかし、今段階ではシリコン並みの大きさでシリコン並みの効率は得られていない。シリコンよりずっと小さな面積のセルで10%を超える太陽電池ができた、というだけである。シリコンよりも高い効率が得られたという実証結果はない。しかし、シリコンとペロブスカイトポリマーの両者のいいとこ取りをすれば、最高の効率を安い製造法で作れる可能性が高くなる。

今回、IMECが開発したセルは、4端子構成の大きさ4cm2のシリコンソーラーセルの上にスピン塗布で形成した0.13cm2と小さなセルである。同様に4cm2のシリコンソーラーセル上に4cm2の大きさのペロブスカイトモジュールを構成すると効率は25.3%と少し落ちたものの、シリコンだけのトップデータよりは高い。

IMECはペロブスカイト材料の製造法をもっと最適化しながら作れば研究ベースで30%を超えるだろうと期待している。

(2018/07/27)

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