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5G通信、チップの複雑さで、威力を発揮するNIの半導体テスター

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ソフトウエアベースの測定器メーカーである米National Instrumentsが半導体用のテスターSTS(Semiconductor Test System)を発表したのが2014年。アナログやミクストシグナル、RFなどデジタル以外の半導体チップをテストするテスターとして独自の地位を確立しつつある。STSは今、どのようなレベルに来ているのか、STSのマーケティングを担当するDavid Hall氏に最新状況を聞いた。

図1 National Instruments社STSマーケティング担当責任者のDavid Hall氏

図1 National Instruments社STSマーケティング担当責任者のDavid Hall氏


STSの進化で特に急速な進化がみられるのは、5Gであろうとみる。NXP Semiconductorが次世代通信5Gのフロントエンドデバイスの測定にSTSを使っていることを今年のNIWeekで明らかにした。しかし、5Gのようなこれからの技術を含め、光センサやIoTデバイス向けでは、早くテストしたりコストを下げたりするためのニーズが加速しているという。特にIoTデバイスでは、マイコンとBluetooth LE(Low Energy)を組み合わせて搭載しているが、これらをテストするニーズが高まっている。ただし、量産用のATEとしてのSTSは、価格が高いため経営判断に時間がかかってしまう。

IoT向けの通信として、NB-IoTやCAT-M1などセルラー通信や、SigfoxやLoraのようなIoT専用通信があり、それらにも対応していくことになる。NIの顧客である半導体メーカーは、MCUにこれらの通信規格をバンドルしていく形になる。だからチップのテスターとしても対応していくのだ。さらに、顧客である半導体メーカーは、テストコストに制限があるため、テスト時間の短縮あるいはスループットの工場が関心事となる。

IoT向けのチップでは、主にBluetoothやWi-Fi、NB-IoTなどの規格を標準としてチップに集積しているが、さらにほかのIoT標準規格を導入する顧客には、パートナーシップを交わし対応していくとする。

IoTでは今は、Bluetooth Low Energy (LE)規格では、まずはインターオペラビリティ(相互運用性:A社の製品もB社の製品もきちんとつながることを標準化団体が確認する作業)のテストがある。民生用ではあまりにもたくさんの通信技術が存在している中で、Wi-FiとBluetoothが標準となったのは、やはりインターオペラビリティテストをきちんと行ってきたからだという。

コネクテッドカーでも自動車業界は、無線技術のキャパシティを増加させようとしている。ドイツのVolkswagenはQualcommのSnapdragonアプリケーションプロセッサを全てのクルマに搭載しようとしている。このため、3Gから4G、さらに5Gの無線モデムを全車種に搭載することになる。自動車産業はいろいろな無線技術を増やしていると同時に、自動車産業は信頼性の面でも民生産業とは大きく違う。民生では求められないような温度範囲や振動試験などテストカバレージも増えていく。

アナログ・デジタル混在チップが増えていく

また、半導体ICにとっての大きなトレンドは、アナログとデジタルの混在ICが増えてくることだという。IoTで代表されるようにマイコンと通信回路(Bluetoothや4G/5Gなど)、パワーマネジメント回路などを一つのパッケージに集積するミクストシグナルIC化の流れが強くなる。このため多ピンのアナログ回路が増えていく。半導体メーカーにとっても他チップの1パッケージへの集積化と多ピン化は、顧客にとって低コスト化につながるからだ。だからNIのSTSはアナログ回路のテストに注力しているのだという。

どうやってテストするか。アナログICのウェーハテストでは、ウェーハプロービングで行うが、問題は5Gのウェーハプロービングテストだろうという。チップになれば、I-V(電流-電圧)特性やスイープ特性、Bluetoothや4G、Wi-Fiなどの通信RFパラメトリックテストは容易になる。パワーマネジメントIC(PMIC)などのアナログのテストは、ピン間でテストするので容易だという。

NIはSMU(ソースメジャメントユニット)モジュールを提供しているので、これを使って非常に高精度に測定できる。量産レベルのテストになっても、STSだと試作で評価したSMUなどの測定器と全く同じものをSTSの内部に備えているので、特性評価も量産試験も測定器を変えることなくそのまま使える。STS内部に特性評価で使ったPXIシャーシを入れているからだ。ただし、PMICはSoCチップに集積されている場合もあり、その場合は複雑になる。

操作ソフトを改良、直感的なわかりやすさ

今回のNIWeekでは、半導体メーカーにとって直感的で使いやすくなったソフトウエア新製品が発表された。「InstrumentStudio」という新製品は、モジュールごとのインタラクティブな操作パネルのような従来のソフト「ソフトフロントパネル」を進化させたもの。従来のソフトだと、PXIシャーシに差し込まれている、オシロスコープやSMUなど複数の測定モジュールごとに立ち上げなければならなかった。今回のInstrumentStudioだと、全ての測定モジュール用の操作ソフトを同時に立ち上げるため、使いやすい。

半導体メーカーはパッケージサイズの小型化と、高集積化を進めているため、テストが複雑になりがちだ。テストの自動化が必須になる。従来のテスターでは例えばテストプログラムのデバッグが大変だったが、InstrumentStudioを使えば簡単になる。10年以上前の3G携帯通信のパワーアンプのテストでは自動化されていなかった。この測定だけでもDCからRF、パラメトリック測定など大変だったが、この10年で2G/3G/4Gと多数の異なる方式の通信のアンプを扱わなければならないほど複雑になり、自動化せざるを得なくなっていた。

BluetoothのようなRFとモデム、PMICを1チップに集積したSoCでは、DC測定からデジタル回路測定、デジタルインタフェース測定、RF測定など、測定が非常に複雑になっている。こういった半導体のテストにはPXIシャーシが適している。PXIシャーシに、SMUやオシロスコープやスペクトラムアナライザなどの測定モジュールを差し込み、DCからRFまで1ストップで測定できるため、テストの自動化に向く。さらにテストプログラムの作成などのソフトウエアもInstrumentStudioで使いやすくなった。

RFはどこまでの周波数を測定できるか。5Gの後半にはミリ波利用の通信が期待されているが、NIのPXI単独で現在最大26.5GHzまで対応できている。NIはミリ波モジュールも提供しており、PXIの前段にこれを差し込めば、70~80GHzのミリ波測定も可能だという。ただし、高周波になればなるほど信号端子をDUT(被測定デバイス)に近づける必要がある。ミリ波モジュールからの信号をPXIで周波数をダウンコンバートしてから計測する。

今はNTTドコモ、ソフトバンク、チャイナモバイルなどもサブ6GHzに力を入れており、移動することよりも固定無線から使われるようだ。家庭やオフィス内のWi-Fiなどの固定無線だ。

STSには、その内部にPXIシャーシを搭載しているため、PXIで測定評価したテスト法をそのまま量産現場に持っていくことができる。このメリットが半導体メーカーには大きいようだ。

(2018/06/21)

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