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SMIC、TSMCともTowerJazzとも違う独自戦略を明らかに

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中国のファウンドリSMICがその最新状況について明らかにした。かつてDRAMメーカーの増産支援という形のファウンドリをやっていたが、浮き沈みの激しいDRAMに引きずられ業績も浮き沈みが激しかった。6〜7年前にDRAMから撤退し、ロジックや増産支援でNANDフラッシュも手掛ける。そのポジショニングを明らかにする。

図1 SMIC Evening 2017の開催前の一コマ

図1 SMIC Evening 2017の開催前の一コマ


SMICは都内で「SMIC Evening 2017(SMICの夕べ)」を開催し(図1)、その戦略と位置づけを明確にした。

中国では、半導体製品の莫大な輸入超過を見過ごせないことから、半導体産業への投資を活発化させてきた。2014年の輸出入統計では1500億ドル(16.5兆円)という巨額の貿易赤字を半導体で計上した。このため国家を上げて、内製化を強化し貿易赤字の減少に努めてきた。5年間で4兆円とも言われる投資は、毎年16〜17兆円の赤字額から見ると決して大きくない数字である。

当初、中国は外国の半導体企業を買収しようとしてきたが、米国政府の強い反対に会いほぼ断念した。わずかに、小規模の半導体企業や、中堅装置メーカーを買収しただけにとどまる。そこで、中国政府系ファンドは国内のDRAMとNANDフラッシュの工場に投資することに切り替えた。まだメモリ工場は稼働していない状況だ。そのような中、SMICは2000年前後の中国における最初の半導体ブームに投資し、生き残ってきた唯一の大手半導体企業である。

SMICは、TSMCやSamsungのような10nm以下の超最先端プロセスには、Wassenaar Arrangement(旧ココムに代わる武器輸出禁止の申し合わせ)による制約から投資できないが、それでも14nm FinFETプロセスまで開発途上にある。28nmプロセスは一部量産に入っている。最先端プロセスを使わないファウンドリとしてTower Jazzなどもあるが、90nm〜65nmまでで、28nm製品を量産する能力はない。しかもSMICはSiプロセスにこだわる。GaNやSiGeは手掛けないが、MEMS(Micro Electro Mechanical System)やSOI(Silicon on Insulator)プロセスは提供する。

対応できるプロセスは、ロジックが28nmプロセスで一部量産しているが、RF向けの28nmプロセスも開発中だ。NANDフラッシュも24nmを開発中で38nmを量産している。組み込みフラッシュは55nmプロセスでルネサスに次ぐ先端を行く。フラッシュを手掛けるのはDRAMと違い、ロジックプロセスとの互換性かあるからだと、同社Euro/Asia Sales DirectorのMike Guo氏(図2)。は語る。また、NANDフラッシュ単体も生産するが、顧客の生産能力を上げるための一時的な増産支援が目的で、NANDフラッシュの専用ラインを作るつもりはないとする。


図2 SMIC Euro/Asia Sales DirectorのMike Guo氏

図2 SMIC Euro/Asia Sales DirectorのMike Guo氏


半導体製品は今や微細化プロセスが差別化するテクノロジーではなく、ユーザーエクスペリエンスが差別化の強い要因になっている。このため、40/45nmプロセスでも十分、競争力はある。ただし、RFのように、遮断周波数(fTやfMAX)を高めるためにある程度微細化が必要な応用には28nmプロセスを使う。SMICがこれからも独自の地位をキープできるのは、10nm以下の微細化投資でTSMCやSamsung、GlobalFoundriesなどと競争しなくても済むようなサービスポートフォリオを揃えているからだ。

スマートフォン市場でもAPU(Application Processor Unit)以外はそれほど微細な先端プロセスを使わないため、スマホビジネスでも勝機があるとする。もちろんスマホ以外のビジネスで成長を見込めるところはAIだとして、SMICはAIの応用分野の一つであるパターン認識を利用する顔認証やサーベイランスの監視カメラ用、物流モニター、ロボットなどの用途も今後の成長分野として期待している。

SMICはプロセス以外でも、SMICのPDKに沿ったデザインを手掛けるデザインハウスが増えたことも特徴だとGuo氏は語り、また基本的にPDK(プロセス開発キット)しか認めないTSMCとは違い、顧客からのカスタマイズにも対応するという。SMICはTSMC、TowerJazzとも違う独自の地位確立に向けて、この戦略を進めていく。

(2017/09/15)

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