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商用電源をもっと賢く制御しよう

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電力を今よりスマート(賢く)に制御することがスマートグリッドのはず。家庭の電力もより賢く制御することがスマートホームのはず。ところが実際には見える化するだけで何も賢く制御していない。英国BBG(Bristol Blue Green)社が開発した、その製品「BlueGreen」(図1)は、家庭や企業の分電盤で賢く制御し正確な商用電圧を得る機器だ。さらに生産されるデータも積極的に利用しようとしている。

図1 パソコンサイズのBlueGreen製品

図1 パソコンサイズのBlueGreen製品


スマートホームでは、磁気センサを使って電流をモニターし電力を見える化しているだけ。決してスマート(賢い)ではない。人間が各部屋の電力をモニターで見て、電気をこまめに消すなど無駄を削っているだけで、賢いのは人間ということになる。人間が見えない部分を自動的に制御して気づかなかった部分の無駄を省くのがスマートなマシンである。

家庭の電源電圧(実効値)は実は、必ずしも100Vではない。95Vだったり105Vだったりする。しかも瞬時で見ると±10V程度の変動が常時ある。しかし、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品は100Vで動作するように設計されている。これまで通り使っていれば、家電製品に余計な負荷を与え、寿命を縮めるとBBGは言う。また100Vピタリに制御する装置なので、絶えず変動を繰り返している電源と比べると、消費電力は常に安定でしかも少ない。100Vに最大の効率になるように設計しているためである。

BBGは2013年にブリストル市(ロンドンの西190kmにある都市)で設立されたベンチャー企業。BBGはこれまで英国を中心に販売してきたが、このほど日本でも売り込みに来た。彼らのビジネスモデルは、ARMと同様、ライセンスとロイヤルティが主な収入源。日本国内の家電メーカーに狙いを定め、ライセンスして生産を日本メーカーが受け持つという仕組み。もちろん、生産委託だけではなく、装置そのものの少量販売もする。特に常に24時間電力を使っているコンビニやホテルなどの運転コストを下げる効果があるとみている。

しかしこれだけでは、家電のライセンシングと販売のビジネスにすぎない。スマートホームやスマートオフィスで重要な価値は、データである。BBGの次の狙いは、データを収集・分析すること。BBG会長で、投資会社のBeagle PartnersのパートナーでもあるAnthony Parker氏は、「名前はまだ言えないが(と断りながら)、すでにデータを価値とするビジネスに動き出している大企業がいる」と述べ、電気製品を単に売るだけではない、ビジネスへの広がりに期待している。

データビジネスはまさにIoTビジネスそのものである。BlueGreen製品内に蓄えられたデータを利用する。IoTシステムでは文字通りデータこそが価値を生む。電気の使用状況のデータを細かく取りクラウドに上げると、ユーザーはどのような時期や時間帯に、どのような温度や湿度の時に、どれだけの電力を使い制御されているか、といった使用状況パターンを正確につかむことができる。これらをディープラーニングなどのAI(人工知能)で分析すると、電力需要のより正確な予測ができるようになり、データが「情報」に変換され価値を生むことになる。

こういった電力の稼働状況ビッグデータからさまざまなデータパターンが生まれてくる。電力の使用状況パターンだ。「まだ誰もこういったパターンを知らない」(Parker会長)からこそ、価値がある。これをマネタイズすることで、ビジネスが広がる、というのだ。これこそ、IoTビジネスそのものだ。

(2017/03/24)

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