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グローバルファウンドリーズ、MEMS-ASICとカーエレで日本に攻勢

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GlobalFoundriesの日本法人、グローバルファウンドリーズ・ジャパン(GFジャパン)が国内市場に向けて攻勢をかけている。特に、MEMS-ASICとカーエレクトロニクスは日本のメーカーが得意とするところ。これらの市場を攻めていく。

図1 グローバルファウンドリーズ・ジャパン代表取締役の島内秀氏

図1 グローバルファウンドリーズ・ジャパン代表取締役の島内秀氏


GlobalFoundriesは、0.35μmから28nmまで幅広いプロセスを提供する。この点はUMC(参考資料1)と同じである。しかし、UMCと比べ、28nmプロセスに対してアグレッシブに投資してきた。ドイツのドレスデンと米国ニューヨーク州アルバニーに28nmのラインがある。しかもプロセスノードが2拠点で必ずオーバーラップするようにラインを持つのがGFの特長だ、とGFジャパン代表取締役の島内秀氏は述べる。リスク分散のためである。もちろん、カントリーリスクは、台湾にもシンガポールにもある。この点、台湾に集中しているTSMCとは違う。TSMCも最近は中国工場を稼働させているが、中国はリスクが大きい。

アナログやパワー関係では、TowerJazzも日本市場を狙ってきた(参考資料2)。幅広くそろえているという点でTowerJazzとは違う。しかも、0.18μm〜0.13μmといった成熟したノードのファウンドリでは今でも、Tower Jazzよりも生産数が多いという。GFはSingapore Vision 2015プロジェクトに沿って、8インチから12インチ(300mm)への強化を図っている。現在5万枚/月のウェーハをそれまでに8万枚/月以上に増強する。ただし、製品ポートフォリオが広いという点ではTSMC、UMCと同じだ。

では、日本市場では何を狙うのか。UMCは日本のIDMがやってきたプロセスのカスタマイゼーションを得意とする。これに対してGFジャパンは、まずMEMS-ASICを狙う。これはMEMSそのものではなく、MEMSセンサからの出力信号を処理するためのASIC、電子コンパスやジャイロスコープからの信号処理である。国内では旭化成エレクトロニクス(AKM)や、ロームなどが得意とする分野であり、彼らの生産を請け負いたい。

また、産業用のMEMSのファブレスとしては米InvenSenseがいる。MEMSのジャイロスコープを得意としている。これからは、民生用のスマートフォンやタブレットのカメラ用に手ぶれ補正用のジャイロが注目されている。デジカメやカムコーダと同様にジャイロでメカ的にレンズを動かす。今後は、スマホやタブレットのカメラに搭載されていくと予想されている。こういったLSIの製造を狙っていく。

アナログやミクストシグナルは微細化する必要がない分野である。国内の中堅のファブレスやシステムメーカーに加え、GFはIDMのアナログ分野をも顧客として狙っている。

もう一つの顧客は、微細化分野を狙うIDMのデジタルIC分野である。ただし、国内大手IDMのルネサスエレクトロニクスや、富士通セミコンダクターは産業再編に巻き込まれている。ビジネスとしては、PDK(プロセス開発キット)を提供してウェーハ加工を提供すべきなのか、今は静観しているようだ。

個別の分野としては、日本の強いカーエレクトロニクスが狙い目だ。例えばルネサスの持つフラッシュマイコンを生産拡張する場合にGFを使ってもらいたいと思っている。GFはSST(Silicon Storage Technology:2010年にMicrochip Technologyが買収)と55nm世代の組み込みメモリとして共同開発している。その次の世代の共同開発も決まっており、フラッシュマイコンを製造できる力を持っているという。

微細化プロセスでは、AMDをパートナーとしている点が強みとなっており、サーバーやスーパーコンピュータなどの高性能コンピュータ(HPC)分野から大量に使われるAPU(アプリケーションプロセッサ)まで広範囲に渡るプロセスを備えている。島内氏によると、28nm/20nmプロセスの量産化は順調に進んでおり、テープアウト数はかなり多く入ってきているという。28nmプロセスではQualcommがユーザーで、他にも数社APUメーカーから受注しているという。

その先の14nmFINFETプロセスに関しては(参考資料3)、すでにシャトルを特定ユーザー向けに走らせているという。GFは、HPC分野ではAMDが最初の顧客になっているため、プロセスのバグだしをAMDに担ってもらい、プロセスが安定してから一般ユーザーに使ってもらうことを特長としてきた。14nmFINFETのシャトルサービスが今、バグだしの時期に来ている。一般向けには、今年の年末から来年初めにかけてシャトルサービスを行う予定になっている。

さらに、今後、重要な市場として、通信ネットワーク分野があるが、日本はこの分野が弱いため、デジタルテレビのエンジンなどが日本市場に向いているとしている。ただし、今はサムスンやLGが4K方式のテレビで先行しているが、日本でも放送が始まれば普及すると期待している。

今後のGFジャパンの目標は、GF全体の売り上げの5%を達成したいと意気込んでいる。

参考資料
1. 台湾UMC,20nmをスキップ、14nmFINFETプロセスで巻き返し狙う (2013/05/30)
2. TowerJazz、デザインセンターを社内に置きサポートの充実図る (2013/08/02)
3. GlobalFoundries、10年間のfinFET開発を経て14nmプロセスで実現へ (2012/10/02)

(2013/08/22)

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