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それほど強くなかったカーエレ市場を強力に獲得する戦略を表したナショセミ

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米ナショナルセミコンダクター社が自動車市場を狙って果敢に挑戦してきている。アナログ製品に特化した同社が狙う自動車市場には三つある。インフォテインメントと、LED照明ランプ、電気自動車のバッテリマネージメントシステムである。これらの市場を狙うと定めたことで、内部組織を編成し直し、特長的な製品提供によって成長を図るという戦略だ。

カーエレ用半導体の年平均成長率は7.5%

図1 カーエレ用半導体の年平均成長率は7.5%


世界的な経済不況から脱したナショセミは攻めに転じており、最も成長できる自動車市場に目を向け、その市場に合った自社の得意とする製品を開発し、攻めるための内部の組織を変えるということで、新市場獲得に乗り出している。このナショセミの戦略とその攻め方を見ていこう。

パワーマネジメントチップの得意なナショセミはこれまで自動車市場はそれほど得意ではなかった。しかし、カーエレクトロニクス市場がこれからハイブリッド車や電気自動車へと半導体をたくさん使う市場へと変わりつつあることに目を付けた。この市場で、アナログメーカーであるナショセミが攻めるべき分野はどこかを検討、上に述べた三つの市場にフォーカスすることを決めた。これらの市場を攻めるために組織をこれらの市場ごとにまとまるように変えた。

これまで、セールスとマーケティング、アプリケーションエンジニアはそれぞれ別の組織だったが、これらのスタッフをアプリケーションごとに1本化した。例えば、電気自動車時代には自動車全体に占める電装部品のコストが半分にもなってくるため、自動車市場全体を見なければ攻めどころが変わるためだ、と同社日本法人ナショナルセミコンダクタージャパン代表取締役社長のジェフ・ウォーターズ氏は述べる。


世界中のナショセミ拠点と密なコミュニケーション

図2 世界中のナショセミ拠点と密なコミュニケーション


しかし、LED照明分野ではナショセミはLEDドライバ製品を出してきたが、自動車市場向けとは別の市場に向けてもLEDドライバを出すことになる。となるとLEDドライバの知識を全ての市場分野で持てなくなる恐れが出てくる。これに対して、ウォーターズ社長は日本だけではなく、世界中のデザインセンターやセールスオフィス、製造拠点とグローバルなコミュニケーションを緊密にとるように電話会議などを頻繁に開き、情報を共有することを心がけている、と答えている。

この事業再編成の一環として、自動車のインフォテインメントシステムに向け、同社はこのほどHDビデオ(720p)を圧縮せずに送受信できるSer/Des(直並列変換および並直列変換)チップを開発、LDVS(同社が呼ぶFPD-Link III)準拠で2.975Gビット/秒という高速データの送受信を確認した。LDVS規格は、ケーブルを14本使うHDMIと比べ2本で済み、光ファイバケーブルのMOST規格の150Mビット/秒よりも20倍近く速い。また、遅延を許すIEEE1394でさえ800Mビット/秒どまり。すなわち、LDVSは高速で、ケーブル数がわずか2本で済むという優れたインタフェース規格である。


Ser/Desによって配線を2本に

図3 Ser/Desによって配線を2本に


今回ナショセミが開発したSer/Desチップは、コンテンツ保護規格のHDCP暗号化・解読化回路が義務付けられているBlu-Rayディスク装置にも使えるようにしている。今後、Blu-Rayビデオがクルマ用に続々出てくるため、HDCP暗号化・解読化回路の搭載要求は高まってくると見ている。

FPD-Link IIIはビデオ信号と制御信号を同じ2本の配線上に載せることができる。これまでのFPD-Link IIだと制御信号は別の配線が必要だった。使うプロセスはFPD-Link IIではピュアCMOSだったが、FPD-Link IIIではSiGeプロセスを利用するBiCMOSを使い、チップ面積の増加を抑え、高性能化を実現した。ナショセミのアナログ技術を生かし、パルス波形を保つためのプリエンファシスとイコライザ技術を駆使してシグナルインテグリティを改善すると同時に、コモンモードノイズやEMIの発生を少なくし、さらに静電破壊にも強い回路を搭載した。


Blu-Rayデータを送付しないブランキング期間中に制御データを受け取る

図4 Blu-Rayデータを送付しないブランキング期間中に制御データを受け取る


この結果、Blu-Rayディスクからの信号を送っている時に、信号が途絶える期間(ブランキング期間)に制御信号を受け取ることができる。高速でレイテンシがない上にノイズレベルが小さいためだとしている。

(2010/10/25)

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