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UMC、風林火山で顧客を成功に導きたい

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P.W. Yen氏、UMC CEO (最高経営責任者)

UMCは日本市場にIoTと自動車を期待する。日本はIDM(垂直統合メーカー)が多いが、生産能力拡充や28nm以降のプロセスなどはUMCが受け持つ。日本とはフレンドリな関係を築きたい同社CEOのP.W. Yen氏に日本戦略を聞いた。

P.W. Yen氏、UMC CEO (最高経営責任者)


セミコンポータル: 自動車向けの応用として参入した目的は何でしょうか
P.W. Yen氏: 急成長している分野としてIoTと自動車を選びました(図1)。また、自動車市場は日本が強いため、日本に成長の機会があると考えます。もう一つ日本にはIDM企業が多いですが、IDMの製造戦略の変更によって、IDMはUMCの顧客になりえます。また、自動車以外でも工業オートメーションや、CMOSイメージセンサなど特殊なプロセスにも日本は強いです。日本のIDMの戦略変更とUMCの戦略とが一致しています。


図1 IoTと自動車向けで成長へ 出典:UMC

図1 IoTと自動車向けで成長へ 出典:UMC


セミコンポータル: UMCにとって日本のIDMの立ち位置は何でしょうか?顧客ですか、パートナーですか?
Yen氏: 個人的な見解ですが、日本では顧客とサプライヤとの関係でもありますが、一緒にソリューションを求めていきます。もちろん、パートナーでもあります。日本のIDMの経営層には友人が多くいます。彼らとはパートナーとしての関係も保っています。装置メーカーや材料メーカーともパートナーとして見ています。他の台湾のファウンドリは、垂直統合型を目指しておりますので、対等なパートナーという関係ではありません。自社のマスクを使い、バックエンドサービスも開発し、閉鎖的なシステムを作っています。しかし、UMCは水平分業で完全にオープンなエコシステムを作っています(編集室注)。社風として、もっと環境に優しいグリーンな会社で、日本のIDMに対してフレンドリです。

セミコンポータル: 自動車産業では名古屋地区が強いので、名古屋地区になぜオフィスや拠点を置かないのですか。
Yen氏: 名古屋の近くにUMCの拠点の一つでもある三重富士通セミコンダクターがあります。名古屋地区の三重富士通とは生産能力を上げたり、ライセンスしたりするだけではなく、日本のコンテンツ、メイドインジャパン製品を生産する意味も自動車メーカーにあります。日本の顧客の要求を日本語でくみ取れるというメリットもあります。三重工場があると顧客ともっとフレンドリな関係を築けます。顧客であるティア1企業も歓迎していまして、近くに工場があることを喜んでいます。

セミコンポータル: 自動車分野では、シャーシや車両制御、ADAS(先進ドライバー支援システム)、ネットワーキングなど多岐に渡ります。自動車のどこにフォーカスするつもりですか。
Yen氏: まずいくつかの分野ですでにビジネスを始めています。フォーカスする分野の一つがADASです。UMC Autoは一つの製品サービス分野にすぎません。UMCは幅広いクルマの応用に向けていきます。というのはクルマ用半導体を製造する工場には公的な認定が必要です。当社はAEC-Q100の中でも最も品質レベルの高いGrade 0を取得している工場もあります。この工場以外のファブでもGrade 1レベルの認定は取得しています。
加えて、IoTも自動車もセキュリティに力を入れています。特に自動運転となると、セキュリティは欠かせません。自分の車をハッキングして情報を盗まれたら大変です。だから、全ての工場に自動車品質を要求しています。さもなければその工場からは製品として出荷させません。UMCだけが自動車グレードを取得したファウンドリです。セキュリティは、ICカードや銀行カード用IC、モバイルペイメントにも重要で、レベルの最も高いEAL 6セキュリティ認証(ISO15408-EAL6)も取得しています。これによりプライバシ管理、セキュリティを担保します。シンガポール工場と台湾の工場は取得済みで、中国の工場はこれから取得していきます。これらは緊急の課題で、特に自動運転には必須です。三重工場も自動車認証は済ませており、ティア1サプライヤに製品を出荷しています。

セミコンポータル: BCP(事業継続計画)に関しての質問ですが、地震や台風などの災害などのリスクを減らすためにUMCは台湾、シンガポール、中国、そして日本と各地に工場を持っています(図2)。リスクに遭遇した場合に他の工場でも生産できるように同じ品質を確保していますか?
Yen氏: はい。これは計画中です。顧客からも望まれています。


図2 UMCの工場 出典:UMC

図2 UMCの工場 出典:UMC


セミコンポータル: 台湾の工場が微細化技術で最も進んでいます。BCPを徹底するなら、先端プロセスを他の工場にも移植しますか?
Yen氏: はい。日本とシンガポールでは何も規制がありませんので可能です。ただし、中国工場への先端プロセスの移転には台湾政府の許可が必要です。特にシンガポールでは台風はなく、地震も少ないです。政治的にも安定していますので、リスク分散にはシンガポールは良い所です。自動車向けのプロセスに力を入れています。UMCだけが自動車向けにBCPを確立しています。UMCは日本とも親しく、個人的ですが私の父は日本で学びました。

セミコンポータル: 16/14nmプロセスのような先端技術に対しても投資していきますか?
Yen氏: 先端技術は開発からリターンまで時間がかかりますが、先端技術はある分野には求められますので、投資を継続していきます。しかし、当社は先端技術投資と特殊技術(IoTと自動車)とのバランスが重要だと思います。今の所、最も急速に成長している分野はIoTと自動車ですから、こちらへの投資が優先すると思います。IoTだと低消費電力にフォーカスしていきます。

セミコンポータル: IoTと言っても、センサ端末用途と、ゲートウェイからクラウドまでのハイエンド用とがあります。この二つは全く仕様が違います。どれを狙いますか?
Yen氏: まず、低消費電力のセンサ端末の分野から入っていきます。もちろん、ハイエンドの分野もありますが、低消費電力の分野は共通しますので、超低消費電力にフォーカスします。当社が半導体エネルギー研究所と結晶IGZOプロセスを共同開発するのは、そのためです。また、ハイエンド応用は競争が激しく、投資も大きいです。しかも1〜2社の大企業が支配します。だから、優先度は低いのです。むしろ長期的に製品を供給するロングテールの製品にも力を入れていきます。自動車分野はその一つですから、日本とドイツにフォーカスしていきます。

セミコンポータル: 自動車産業は品質レベルが非常に高いと思いますが、UMCは自動車品質を高めていますか?
Yen氏: はい。昨年欧州のティア1企業にGrade 0の認証を取得しました。またパワートランジスタでは、ある企業と6インチのGaNラインを共同開発中です。電気自動車や燃料電池車にも力を入れています。UMCはこの分野でもソリューションを提供していきます。

セミコンポータル: 3次元ICは後工程サービスのOSAT(Out-Sourced Semiconductor Assembly and Test)なども手掛けています。一方で、TSMCはウェーハレベルパッケージの一種であるInFO(Integrated Fan-Out)を手掛けています。そのような場合、競合しませんか?
Yen氏: UMCはInFOをやりませんが、 3次元ICやTSVは提供します。というのは、3次元ICやTSVは成熟したプロセスを使ってUMCは安く作れる自信があるからです。ただし、OSATと一緒にソリューションを認定していきます。このことは顧客にとってプラスになると思います。
UMCは顧客とのバリヤを低めるためにエコシステムを構築し、出来るだけ標準渇しています。OSATや製造装置メーカー、マスクサプライヤなどは全てパートナーです。このオープンな立場とコラボレーションする対等なパートナーによるエコシステムがUMCの特長です。垂直統合を目指す企業とは違います。


図3 UMCのP.W. Yen氏が座右の銘とする「風林火山」 出典:UMC

図3 UMCのP.W. Yen氏が座右の銘とする「風林火山」 出典:UMC


最後に、私の好きな日本の言葉として戦国武将、武田信玄の「風林火山」があります(図3)。「風のごとく早く対応し、静かに林のように十分な技術を提供し、市場攻略への情熱(火)を持ち、ファウンドリパートナーへのコミットは山のように揺るがない」と解釈しています。顧客を成功に導くためにUMCは風林火山をモットーとします。


編集室注)ファウンドリが主催するコンファレンスにおいても、UMCの講演資料は参加者なら自由にダウンロードさせてもらえるが、TSMCの講演資料はスライドで見せるだけにとどまっている。しかもメディアは日本に限りシャットアウトである。

(2015/06/04)

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