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レイアウトデータやマスク検査用EDAツールを提供するインドの「ソフト人」

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Nachiket Urdhwareshe氏、インドSoftjin Technologies社CEO

「Softjinという社名は『ソフト人』という日本語の意味からとった」。こう語るのはインドのバンガロールに拠点を置くソフトジンテクノロジーズ(Softjin Technologies)のCEO、ナチケット・ウルダワレッシェ氏。セミコンポータルはインドと直接、電話インタビューすることに成功、このEDAベンダーを取材した。

図1 ソフトジンのCEO、ナチケット・ウルダワレッシェ氏

図1 ソフトジンのCEO、ナチケット・ウルダワレッシェ氏


インドには多くのデザインセンターがあり、LSI設計では評判の高い地域だ。これまではテキサスインスツルメンツやSTマイクロエレクトロニクスなどからLSI設計を請け負い、設計データを提供するというデザインハウスのようなサービス企業が多かった。設計の技術力が上がり、今やEDAツールを提供するEDAベンダーが現れた。ソフトジンテクノロジーズはこれまで培った設計技術を生かし、EDAツールの製品製造販売や、カスタマイズサービス、IPのカスタマイズなどを手掛ける。

ソフトジンがインドの設計会社とは違うところは何か。「常に新しい技術を開発し、先端分野、例えばプログラマブルロジックアーキテクチャや、3次元集積ICなどのデザインをサービス提供すると共に、EDAツールも提供する。ここがインドの他のデザインハウスとは違う。しかもソフトウエア技術でカスタマイズする、という初めてのビジネスモデルが他社とは違う」(ウルダワレッシェCEO)。

半導体の世界は絶えず新しい技術が登場する。それに合わせてソフトジンは顧客ごとにカスタマイズサービスを提供できるようにEDAソフトを改良していく。インドの多くの企業は設計請負サービスだけに終始しているが、「われわれは違う。設計作業工程のバリューチェーンに注目し、EDAツールや設計のR&Dサービスを提供する」と同氏は言う。だからこそ、LSI設計のデザインフローに沿ってRTL論理設計から、ハード・ソフトの協調設計、協調シミュレーション、TSV(through silicon via)などの3D集積、スタックチップに向けた設計を手掛ける。さらにクロックツリー、チッププランニングなどの工程も扱う。ネットリストからのデザインフローに沿って、パーティショニングなども含め、寄生容量や熱の分布や伝導についても計算シミュレーションする。要はLSI設計の全てを手掛け、熟知している。このようなことができるのは、長年デザインハウスとして実績を積んできただけではなく、より良い設計を顧客に提案してきた技術力があるためだ。

この技術力を活用して、ソフトウエアデザインを保存し、再利用できるように作り直す。クロックデザインにも長けているため、動作スピードを落とさないようなデザインが得意だという。これからの20nm、30nmという設計データはギガバイトの上のテラバイトへと巨大化するが、スケーラビリティ概念を利用して巨大なデータを切り分けながら扱うこともできるとしている。

EDAベンダーとして優れた製品は、ポストレイアウトツールだという。このツールには2種類あり、一つは2つのレイアウトデータやマスクデータを高速に比較するツールNxCompareであり、もう一つはマスク検査装置で見つけた欠陥を解析するツールNxDATである。


図2 NxCompareの構造

図2 NxCompareの構造


NXCompareは、従来のDRC(デザインルールチェック)ツールと比べさらに巨大なレイアウト・マスクデータに対応できるという特長がある。同社はすでに30nm台、20nm台のマスクデータについて顧客とディスカッションをしており、20〜30nmという微細なLSIのマスクはテラバイトのオーダーの巨大なデータになる。同社は巨大なデータに対処するため、データをパーティショニングで分割し、元のデータと比較しマルチプロセッサの分散処理によってそれぞれをチェックし、後で合成する。


図3 NxDATの典型的な画面

図3 NxDATの典型的な画面


もう一つのNxDATは、DAT(defect analytic technology)といってマスク検査装置に組み込んで使うソフトである。これは、欠陥を見つけたら、その欠陥がクリティカルか、クリティカルではないかを判断し解析するソフトである。欠陥をディスプレイ上に見える化し、それらを分類し、クリティカルな大きさ(CD)を集め解析する。欠陥の傾向を捉え、複数の検査装置の解析も行う。このソフトを利用し自動化することで、欠陥の報告や図示化によりマスク検査の生産性を上げ、不要なマスクリペアや設計し直しを減らすことができる。

これらのツールを使えば、検査時間は「処理するハードウエアとデータ量によるのではっきりとは言えないが、典型的な例ではトータルな時間の30%時間をセーブできている」とウルダワレッシェCEOは言う。検査時間の短縮は、むしろ実際の顧客からのフィードバックによって知ることが多いとしている。

ソフトジンが、EDA製品の提供と、デザインサービスという二つのビジネスを手掛けたのは、歴史的な経緯によるという。当初はデザインサービスをやってきた。EDAを使いながら顧客と話をし、使いこなしている内に顧客のR&Dの要求を理解するようになった。その要求を満たすためにEDAツールを改良した。特に強い要求はポストデータ処理あるいはポストレイアウト処理に多かった。同社にはチャレンジングな問題だったが、重要だとCEOは理解した。

顧客には、IDM(カスタマイズする顧客)、マスクショップはマスク検査装置メーカー、さらにファウンドリもいる。

IPコアもライセンスしているが、これは同社にとっては新ビジネス分野である。同社は多くのIDMと一緒にIPを開発してきたが、半導体メーカーの要求する仕様はカスタマイズされたものが多かったため、共通項を抽出し、JPEGとか標準的な回路をIPとして揃えた。種類としてはオーディオやビデオ処理と一部の通信にフォーカスした。IPをカスタマイズすることで、顧客の望む放送受信や、HDMIなどのインターフェースなども作った。ユーザーはセットトップボックス(STB)やフレームレートの高いビデオも可能にした。

日本に代理店はすでにいるが、直接顧客とやり取りすることが多いという。「代理店には、さらに多くの顧客を開拓するためにセールスチャネルを通じたパートナー探しをお願いしたい」とウルダワレッシェCEOは期待する。不況が来る前の日本での売り上げは全体の30%くらいだとしている。Softjin(ソフト人)という社名から想像されるように日本の比率が比較的多い。

「今後、自分でネットワークを広げ、チャンネルパートナーを通じて広げる、という方向で拡大していきたい。さらに、製品ポートフォリオを広げ、強みであるポストレイアウトツールを拡充していきたい。いろいろなカスタマにマスク検査用のソフトウエアを広げたい」と意欲的だ。

(2010/12/24)

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