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半導体とOS/ミドルウエアで進むデジタル機器の進展

半導体集積回路の消費をドライブするのはその応用であることに間違いはない。特に最近はデジタル化の進展がめざましい。そのデジタル技術を推進するコアはもちろん、半導体回路にほかならない。良質なデジタル技術は高速スイッチ、軽薄短小を実現する小さい空間占有特性、省電力性そして高信頼性である。これらの特性を半導体以外で実現させる能動素子は存在しない。最近のデジタル製品として、スマートフォン、電子書籍端末、携帯ゲーム、デジタル音楽プレーヤー、アップルのiPadなどがある。

さらに、電子手形が最近、話題に上ってきている。電子手形は今まで使われてきた紙の手形をデジタル情報として扱いネットで送受信できるようにしたものだ。全国銀行協会は電子債権記録機関を2012年にスタートさせるとこの1月末に新聞に発表した。全国の銀行や信金等が参加するので全国に400万強ある大中小企業が利用するだろう。手形の紛失、盗難、保管、偽物予防等々の管理が容易になる利便性は大きい。紙手形では出来なかった小口分割ができるようになる点は大きな進歩だ。即ち、一億円の手形があれば分割して十万円の支払ができるようになる。これは紙手形ではできない。

デジタル製品に勝る米国は設計力や企画力でアジア勢をしのぐ戦略だ。インターネット経由でソフトを取り込む携帯性の高い端末の市場が伸びて来た。スマートフォンと言われるアップルのiPhoneや最新のiPadはその線上にある。アマゾンが出した電子書籍端末キンドル、任天堂の携帯ゲーム機そしてデジタル音楽プレーヤーもこの定義でくくられる。

米グーグルは本年1月アンドロイド・プラットフォームを備えた新しい携帯電話モデルであるネクサス・ワンを発表し米国で発売した。Daily Yomiuriの2010年 1月31日付けの報道によればこの機種は、クアルコムが設計した動作周波数1GHzのSnapdragonと称するCPUを搭載している。電話機能における操作プロセスの制御ができるのはもちろん、パワーマネージメントにも優れ電池寿命を延ばす工夫が施されたCPUとされる。グーグルは製造業でないのに自社ブランドで電話機を売り出した。裏で支えるのはモトローラや台湾企業HTCだ。昨今、台韓中などアジアは戦略的にデジタル製品の製造業に参入して来ている。

当然、ネクサス・ワンではグーグルのホームページを利用出来る訳で例えば地図などを画面に表わせるだろう。アップルのiPhoneは簡単なカーナビのアプリケーションをダウンロードして使えるが、ネクサス・ワンも地図を活用できるのだから新たにナビゲーターのアプリケーションを加えると思われる。この動きは我国のカーナビメーカーには競争上、相当の脅威になる。実は数年前にPND (Personal Navigation Device)と呼ばれる簡易型のカーナビが開発されていた。廉価版のために画面寸法は4〜8インチでGPSを備え欧州やBRICs諸国で普及すると言う人もいる。国内ではブロードゾーンやエディアなどの新興メーカーが扱う。

半導体とデジタル技術の進展で競争はこのように激しくなる昨今であり苦労してハイエンドの伝統的なカーナビを開発製造販売してきた日本の各社はPNDの出現で厳しい競争にさらされている。

デジタル化はOS(オペレーティングシステム)やミドルウエアと、CPUやメモリーなどで実現する。アプリケーションソフトを開発して販売する第三者群はOSなどの情報の開示を受けて多数のアプリケーションソフトを開発する。このようなモノづくりはモジュール型と呼ばれる。

これと対極にあるのが擦りあわせ型モノづくりと言われ、日本が最も得意とする手法だ。例として、床の間に使う床柱や梁に自然木の美しさを出す和室の建築は擦り合わせ型である。これに従事する大工のスキルは高くなくてはならない。

一方、モジュール型の家は、わかりやすく言えばプレハブだろう。部材を厳格に標準化しなくてはならないが作業は簡単で、マニュアルが読めれば作業者は家を組み立てることができる。標準化された部材は型番が付与されそのキットをBOM (Bill of Material)と呼ぶ。家の設計は厳格に行なわれ設計図からBOMを書き出すのは専門職だ。BOMを見ながら部材を正確に手配する。結果、現場作業はマニュアルによって簡単化される。

デジタル製品はモジュール型の手法が多用されている。思考実験のために筆者の思い付きの製品として、ネットで使えるマイク付きの音楽プレーヤーを考える。OS やCPUを備えた環境でユーザーはアプリケーションソフトをダウンロードする。例えば英会話練習ソフトをユーザーは聴くことができる。次には、マイクに向かい自己流の発声をする。発声は録音できる上、ネットを通して英会話サービス業者に送付することもできる。その声をネイティブが聴き、アドバイスを返してくれその上模範的な発音を示してくれる。思考実験の一例なので決して優れたアイデアではないが、このように至極、簡単にデジタル製品は作られる。もちろん売れるかどうかは別であるが。

このようにして多数の開発者群が開発に参加し新しいアプリケーションを市場に出せる環境が整った。これがデジタル製品のモジュール型による開発製造販売手法である。このスキームでリーダーシップを取る企業が強い製品を産み出せば利益を上げられるのだろうと思っている。日本企業もこの手法を行っている例もあると感じているが、更に磨きをかけるべきだと思う。

エイデム 代表取締役 大和田敦之

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