Semiconductor Portal

HOME » ブログ » インサイダーズ » 長見晃の海外トピックス

SIA発表&賀詞交歓から/市場実態PickUp/グローバル雑学王−79

「成長エンジンのアジア」、「環境技術」といったフレーズが、新春の業界会合で共通に出てくる印象である。またここまで高度化してきたconsumer electronics機器の世界を始め、各個人個人の切磋琢磨によりグローバルな消費者市場の支持、共感を捉えることが、今後のビジネス拡大には重要になってきている、という論調を強く感じている。

≪SIA発表&賀詞交歓から≫

早々に米SIAから発表された11月の世界半導体販売高は、次の通りである。
回復基調が続いており、9ヶ月連続の前月比増となっている。

☆☆☆↓↓↓↓↓
○SIAが11月の半導体販売高を発表   …1月4日付けSIAプレスリリース

11月の世界半導体販売高は$22.6 billionで、前月、10月の$21.8 billionから3.7%増加した、とSemiconductor Industry Association(SIA)が本日発表した。この販売高は、前年同月、2008年11月の$20.9 billionを8.5%上回っている。2009年の1月から11月の販売高総計は$202.1 billionであり、2008年同期間の$232.7 billionから13.2%の減少である。これら月次の販売高の数値はすべて、グローバル半導体販売高の3ヶ月移動平均で表わされている。

「2009年で初めてのこと、11月の世界半導体販売高は1年前に比べてプラスの領域に入った。」とSIA President、George Scalise氏は言う。「2009年は、以前の見通しより良く事が運んだ多くのITおよびconsumer製品の売上げで終わっている。パソコン販売は最近の見通しに一致して引き続き強含みであり、ビジネス分野からも需要が戻り始めている兆候が伺える。10月のWindows 7 OSのリリースはプラスの要因となっている。handsetsの販売数量は、大体2008年水準になると見られる。consumer関係はいくつか明るい材料が出てきており、2009年に台数で25-30%増加のLCD TVsなどがある。」

「前月比3.7%の増加で、11月は9ヶ月連続で半導体販売高が増大する月となった。地域別にもすべてで販売高は前月比増えている。」とScalise氏は締め括った。

※11月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
http://www.sia-online.org/galleries/gsrfiles/GSR_0911.pdf
★★★↑↑↑↑↑

SIAの月次データは3ヶ月平均で示してあるが、実際の単月の値で見ると次のようになる。前年2008年11月は経済危機を受けて最も落ち込んだ期間に入り、大きく持ち直しているように見えるが、それ以前の高水準、2006年11月には僅かながら達していない。

◇November chip sales up 27.5% on a year ago (1月6日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)からのグローバル半導体市場"actual"データ:
 2009年11月  2008年11月  2006年11月
  $21.63B    $16.96B   $22.05B

新春第1週、恒例の業界会合より以下の手元メモによるキーフレーズである。

仕事始め初日開催のある社の2010年大発会から:
[代表挨拶より経済情勢]
・世界の成長エンジン、中国
ドバイショック
・日本経済の問題 −2009年11月、デフレ宣言
・政権交代
・円高・デフレ対策 →日銀、10兆円の金融緩和策
・14年間のゼロ金利政策
[政界来賓]
民主党 参院議員、自民党 都議会議員 →政権交代の色濃し
[各界ゲスト]
女優
 「今の世の中には明るさを増すことがなにより。自分も結婚はまだ、今は自分を磨いて魅力を増して、皆様に喜んでいただくことに専心、頑張ります!」
プロレスラー団体の面々 社長がメンバーに対し、
 「お前たちそれぞれが自分を鍛えて、強さの魅力をつけて、自分でお客さんをお呼びすること。」

⇒上記の女優さんの挨拶には会場から自然と起こる拍手である。まさにからだを張った個々の頑張り、なかりせば、という雰囲気を感じさせられている。

我が業界については如何ということで、
(社)電子情報技術産業協会(JEITA) 平成22年 新年賀詞交歓会から:
[大坪 JEITA会長] 
・世界同時不況 2007年比15%減
・エコポイント:中国の家電 →先行きは不透明
・政府への働きかけ
・環境技術 COP15 コペンハーゲン協定
 成長エンジンのアジア
・地デジ放送への移行
[経済産業省 松下副大臣(国民新党)]
・本当に勝負の年 大不況の渦中
・今度の通常国会での補正予算成立
・我が国の成長戦略
・鳩山首相指示の4点:
 −成長するアジアの活力取り込み
 −中小企業の支援
 −資源エネルギーの安定確保
 −環境問題への取り組み

⇒ここでも政権交代の色濃さを感じるとともに、経済情勢については、中国、アジア、環境、日本の環境技術、といったグローバルな外に向かわざるを得ない現状が強く表れている。


≪市場実態PickUp≫

まずは半導体業界の2010年を見ていく上で予測関心事25項目である。細かく語らなくても伝わるところがある。

【2010年予測項目】

◇Top 25 predictions for semis in 2010 (1月3日付け EE Times)
→EE TimesのMark LaPedus氏による半導体など2010年予測25項目:
 1. IC forecast: Funny money demand?
 2. Yawn. Another fab tool downturn
 3. Solar hype--again?
 4. DRAM blues
 5. Micron's fate
 6. Intel and NAND
 7. Samsung to turn upside down
 8. Toshiba exits foundry biz
 9. Foundry fools
 10. China's foundry industry flops
 11. x86 wars
 12. Advanced Middle East Devices rolls
 13. Legal bill blues
 14. National goes national
 15. Let's Free Scale!
 16. NXP sells itself this time
 17. Microcontroller mess
 18. 450-mm on ice
 19. EUV does not see the light
 20. Immersion is not wet
 21. New packages
 22. Solar or bust
 23. New lows for high-k
 24. Fab tool consolidation frenzy
 25. Who's on the hot seat?

恒例の新春イベント、CES。三次元テレビ、netbook/smartphoneなどどうなっていくか、これはアプリ業界の予測項目、最重点となろう。

【CES(Consumer Electronics Show(Las Vegas)から】

◇家電市場、アジアが欧米に並ぶ、米協会10年予測、中国10%増。(1月6日付け NIKKEI NET)  
→米家電協会(CEA)が5日、2010年の世界の家電市場で日本や中国を含むアジアの市場規模が初めて欧米(北米と西欧)と並ぶとの予測を発表、2010年の市場規模は2009年比横ばいの6810億ドル(約62兆円)、米欧は需要低迷や価格下落で伸び悩むが、アジアでは好調を維持、電機市場の牽引役がアジアに移る構図が鮮明になる旨。

◇2010年のCESが開幕へ,テレビ,Android,次世代インタフェース技術などに注目。(1月6日付け Tech-On! 日経BP)

◇多角化の成果、実機で披露、インテルCEO講演、CES2010。(1月9日付け NIKKEI NET)
→インテルのポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)の基調講演の切り出し:「パソコンはいま、Seamless(継ぎ目なく)、Anydevice(どんな端末でも)、Anywhere(どこでも)の時代の時代に突入」

Abu Dhabiの動きも今年の焦点の一つ。早速の以下の動きである。

【Qualcomm社とGlobalFoundries社の連携】

◇GlobalFoundries, Qualcomm ink foundry deal (1月7日付け EE Times)
→Qualcomm社がGlobalFoundries社との取引を発表、ファウンドリー・名簿リストを拡大、先端技術ノードおよびdie-package interaction、3D packaging技術などのコラボで他の領域も探究する意向の旨。

何かの力を借りなくても、2010年市場、以下のように言ってみたいものである。

【2010年市場】

◇Prepare for 2010 demand surge, says analyst (1月7日付け EE Times)
→IC Insights(Scottsdale, Ariz.)のBill McClean氏、2010年への期待。PCおよび携帯電話ともに出荷数量が二桁増の見込み、IC市場ブーム到来を示している旨。

netbooks、smart books始め乱立に見える現状、チップセット市場が賑わいそうな様相である。

【cellular broadbandチップセット】

◇Cellular broadband chipsets to show 35% CAGR, says IDC(1月8日付け EE Times)
→IDCの予測。notebooks, netbooks/smart books, mobile internet devices(MIDs)およびeReadersなどnon-mobile phoneアプリ数増大に煽られて、cellular broadbandチップセットについて35% year over yearの伸びを見込む旨。

  

≪グローバル雑学王−79≫

日々のニュースでは耳に入るものの本当に理解するためには我が身に響かないと、いうのが人情かもしれない。ここ数年ガソリンの値段は気にせざるを得なくなったが、グローバルな問題が普段の生活にますます沁み入ってくる現在である。

『知らないと恥をかく世界の大問題』(池上 彰 著:角川SSC新書 081)
 …2009年11月 第1刷

より、原油価格はじめ様々な問題の解説である。


第4章 待ったなし! 世界全体が抱える問題点

■資源が投機の対象にされてしまった
・資源問題 …今のペースで石油を使い続けると、あと40年ほどでなくなってしまう
・大きく3つの世界の原油取引の指標
 北アメリカの「WTI原油」→「WTI原油先物」が「世界の原油の指標価格」
 中東の「ドバイ原油」
 ヨーロッパの「北海原油」
・「実需」ではなく、原油が「投機」の対象にも
・低金利に流れる投機資金 
 「円キャリートレード」、「米ドル・キャリートレード」

※上記の新春会合で、我が国の14年間のゼロ金利政策が触れてあるが、2回前の本欄≪グローバル雑学王−77≫にて、米国がついに追随せざるを得なくなった背景の下りがある。

■食べるか、燃やすか、それが問題だ
・2007年のメキシコ、トルティーヤ(トウモロコシの粉を生地にして焼いた、薄いクレープのようなもの)が1週間で25%も値上がり
 →「バイオエタノール」が脚光を浴びたのが原因
・先進国が車を走らせるために、人口が増え続けている発展途上国の人々の食料がなくなる、そんな事態がすぐそこまで

※まさにエネルギー&経済問題。世界的な仕分けが必要になってくる。

■二酸化炭素(CO2)がカネになる
・2009年12月、コペンハーゲンで国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)開催
・各国が協力して目標を達成するための経済的な仕組み(京都メカニズム)
・「排出権取引」 →経済原理の導入
        ⇒CO2が「金融商品」に

※COP3(京都)がエネルギー&経済問題の先鞭を切ったということか。

■基軸通貨「米ドル」に取って代わるのは「SDR」?
[当初経過]
・1944年のブレトンウッズ会議 
 …「米ドルを基軸通貨にする」ということで押し切り
 →金1オンス=35米ドル、必ず金と交換可
・1971年、アメリカは米ドルと金の交換を停止 …ニクソン・ショック
・その後、スミソニアン合意を経て、現在の変動相場制に
・以降、ひたすら米ドル安の傾向

・アメリカ以外の主要国は、ブレトンウッズ2体制を築こうとの考え
 →基軸通貨構想「SDR」…IMF(国際通貨基金)の特別引き出し権
  →米ドル(44%)、ユーロ(34%)、日本円(11%)、英ポンド(11%)

・2001年には世界の外貨準備の60%を保有していた先進国のシェア
 →2007年末には37%に低下
・NIES(新興工業国・地域)4カ国(シンガポール、台湾、香港、韓国)を除くアジア途上国のシェア
 →18%から33%に増加

※この10年足らずでの外貨準備の様変わりに改めて驚かされるところがある。

■新型インフルエンザで経済がマヒ?
・今や飛行機でどこへでも行ける時代、インフルエンザもグローバル化の時代
・"インフルエンザウイルス" …ウイルスは細菌ではないので抗生物質は効かず、対策は基本的にワクチンしかない
・インフルエンザウイルスは毎年、少しずつ変化 
 →決め打ちして、それに効くワクチンを増産
 ⇒たまにとてつもなく変化をするのが「新型」
  →有名なのが第1次世界大戦中に大流行したスペイン風邪
・インフルエンザと風邪はまったくの別物。企業としての対応も問われる。
 →「休め!」が常識

※まさに現在進行の問題である。

ご意見・ご感想