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注目3点:中国AIモデル性能急迫、OpenAIサイバー事案、TSMC投資戦略

AI(人工知能)モデル&半導体を巡る米中の凌ぎ合い最前線、およびAI半導体を支える先端半導体製造について、いろいろ切り口がある中の注目3点である。まずは、米国の主要なAIシステムとの性能差を縮めたとする中国の新興、Moonshot AI(月之暗面)の新型モデル「Kimi K3」の登場である。安価でカスタマイズ可能なAIという市場席巻のインパクトを与えている。次に、米国OpenAIが開発中のAIモデルが、人間の意図に反して他社にサイバー攻撃をする事故が起きたと発表、AIに対するより強力な安全性が必要と警鐘が鳴らされている。そして、TSMCの米国での製造に向けた追加投資が発表される一方、最先端は台湾で行うスタンスがまたも謳われている。

≪一層の注目、米中そして台湾≫

Moonshot AIの新型モデル「Kimi K3」が、前週末からの注目であり、反響が引き続いており、以下の通りである。

◇Chinese AI has leveled up, and brought renewed focus on the open weight model shift (7月17日付け CNBC)
→1)*中国のスタートアップ企業、Moonshot AIは、米国の主要なAIシステムとの性能差を縮めたとする新型モデルを発表した。
  *同社によると、「Kimi K3」は総合的な性能面ではAnthropic社の「Claude Fable 5」やOpenAI社の「GPT 5.6 Sol」には依然として及ばないものの、比較対象となった他のモデルを安定して上回る結果を示した。
  *今回の発表は、米国と中国の間でAIの覇権をめぐる競争が激化する中で行われた。
 2)Moonshot AIは、パラメータ数2.8兆を誇るモデル「Kimi K3」を公開し、コーディングやエージェント機能に関するベンチマークにおいて、OpenAIやAnthropicの競合モデルを上回る性能を発揮すると主張している。このモデルの投入により、米中間のAI競争が激化するとともに、より高性能かつ費用対効果の高いAIモデルの提供を競合他社に迫る圧力も高まっている。

◇AI race splits in two as China wages open-weight insurgency (7月18日付け Axios)
→中国におけるAI技術の最新のブレイクスルーは、シリコンバレーにある恐ろしい可能性を突きつけている。それは、世界で最も高性能なモデルを構築するだけでは、もはや勝利には不十分かもしれないという現実である。Moonshot AIのような中国企業が、安価でカスタマイズ可能なAIという市場を席巻しつつあり、米国の誇る高性能モデルを、高価でニッチな製品へと追いやる脅威となっている。今週、Moonshot社の「Kimi K3」が爆発的な注目を集める以前から、企業はすでに、高価格なAIモデルから安価な中国製AIへと乗り換え始めている。

◇中国ムーンショットAI、香港上場を計画 ブルームバーグ報道 (7月19日付け 日経 電子版 20:11)
→中国のAI新興、ムーンショットAIが香港証券取引所に早ければ半年以内に上場する計画があると19日、米ブルームバーグ通信が伝えた。企業評価額は300億ドル(約4兆9000億円)を超す可能性があるという。
 ムーンショットAIは17日、新型モデル「Kimi K3」を発表した。米アンソロピックや米オープンAIが1カ月ほど前に提供を始めた最新モデルに次ぐ性能という。

◇Another ‘DeepSeek moment’- What China’s Kimi K3 means for the global AI industry (7月22日付け South China Morning Post)
→1)Moonshot AIの新型モデルは、シリコンバレーの巨額のコストを投じる戦略に対する懸念を再燃させているが、アナリストは今後も計算資源(コンピュート)への需要が増加し続けると予測している。
 2)Moonshot AIの「Kimi K3」は、最先端モデルに迫る性能を競争力のあるコストで実現し、米中のAI開発競争を激化させている。同モデルは中国のソフトウェア技術の進歩を実証するものであり、AI利用コストの低下は導入を加速させ、長期的には半導体やAIインフラへの需要を押し上げると見込まれる。

AI半導体について、中国国産品使用の引き締めを図る様相があらわされている。

◇Inside China’s All-Out Push to Catch Up With American AI Chips―China ramps up AI chip development amid US restrictions (7月23日付け The Wall Street Journal)
→1)習近平氏の側近が主導し、AI開発競争に勝利すべく国産代替品の導入を猛烈に推進している。中国のAI企業に対しては、国産チップの採用を拒む者は「裏切り者」であるとの警告もなされた。
 2)米国による先端チップの輸出規制を受け、中国はAI向け国産チップの開発を加速させている。特にファーウェイが主導的な役割を果たし、AIチップの海外製品への依存度を2021年の90%から2025年には60%未満へと引き下げた。中国政府はDing Xuexiang副首相の下で委員会を立ち上げ、チップのサプライチェーン掌握と3年以内の自給自足達成を目指している。
  「Ascend950」チップの開発など大きな進展は見られるものの、ハードウェアの性能面では依然として米国に遅れをとっている。

◇Kimiが突きつけたAI「コモディティー化」 トランプ政権で規制論浮上―中国AIは「フェイブル」より7割安 (7月23日付け 日経 電子版 05:41)
→中国発AIの台頭が、米国のAI企業にコモディティー化のリスクを突きつけている。中国新興のムーンショットAIが発表した新型AIモデル「Kimi K3」は、米アンソロピックや米オープンAIの最上位AIに性能で肉薄する。高性能AIを高価格で企業などに提供するビジネスモデルが崩れれば、巨額AI投資の回収シナリオにも黄信号がともりかねない。

◇DeepSeek創業者「米国AIと中国の差、人材でなく計算資源」 (7月23日付け 日経 電子版 17:21)
→中国のAI新興、DeepSeekの創業者、梁文鋒CEOが投資家向け説明会で「米国のAIと中国の差は人材ではなく計算資源だ」と語った。複数の中国メディアが23日までに報じた。
 説明会は5月に開いたとみられる。テンセントなど中国企業や半導体の国策ファンドなどから1兆2000億円規模の資金を調達したとされる。

◇中国AI新興「オープンソース」4強、米優位揺らす 企業価値30兆円超 (7月24日付け 日経 電子版 05:00)
→中国のAI新興4社が米国の優位を揺るがしている。ムーンショットAIは最新モデルの性能で米企業に肉薄した。米国勢とは対照的に技術情報を公開するオープンモデルや低料金で利用者を獲得し、企業評価額は計30兆円を超す。

次に、OpenAIのサイバー事案について、業界各紙の受け止めが以下の通りである。

◇OpenAI、開発中のAIがサイバー攻撃 他社システムに「誤侵入」 (7月22日付け 日経 電子版 10:00)
→米オープンAIは21日、開発中のAIモデルが、人間の意図に反して他社にサイバー攻撃をする事故が起きたと発表した。性能を評価するテスト中、高スコアを取る目的でAIが他社システムで未知の脆弱性(欠陥)を見つけ、侵入したとしている。
 オープンAIは事故について「最先端の技術が関わった前例のないサイバー攻撃事例だと認識している」と危機感を示した。

◇AI暴走、実験環境を脱出 OpenAIがサイバー事故に危機感 (7月22日付け 日経 電子版 18:02)
→米オープンAIが21日、自社で開発中のAIモデルが人間の意図に反して他社にサイバー攻撃した事故を発表した。加速度的に進化するAIの脅威の面と人間がAIを制御することの難しさを浮き彫りにした。
 「モデル評価中、重大なセキュリティー事故が起きた」。オープンAIのサム・アルトマンCEOは同日、SNSに投稿し危機感をあらわにした。

◇OpenAI blamed a hacking event on its AI models going rogue. Here are some things to know (7月23日付け The Associated Press)
→ChatGPTの開発元であるOpenAIは、同社のAIシステムがテスト環境を抜け出し、別のAI企業にハッキングを仕掛けるという「前例のないサイバー事案」について、現在も調査を続けていると発表した。
 OpenAIは火曜21日、AIスタートアップのHugging Faceを標的としたこのサイバー攻撃に、同社の最も高性能なAIモデルのうち2つが関与していたことを明らかにした。この事案は、AIに対するより強力な安全策(ガードレール)の必要性や、AIエージェントがどの程度自律的に行動できるかという点をめぐる議論を巻き起こしている。

◇OpenAI reports ‘unprecedented’ autonomous hack by AI agents (7月23日付け Taipei Times)
→OpenAIは、GPT-5.6 Solを含む自律型AIモデルが、セキュリティテスト中にHugging Faceへの不正侵入を行い、インターネットへのアクセスや評価制限の回避を試みたことを明らかにした。この事案は、サイバーセキュリティリスクの増大と、より強固なAIガバナンスの確立が急務であることを浮き彫りにしている。

◇OpenAI「暴走」サイバー攻撃、防御は中国製頼み 悪用防止機能足かせ (7月24日付け 日経 電子版 05:58)
→米オープンAIで開発中のAIが他社にサイバー攻撃をした問題で、被害企業は中国企業のAIで攻撃に対応していた。米国製とみられる先端AIに付けられた「悪用防止機能」が足かせとなり、防御側は中国AIに頼らざるを得なかった。

そして、TSMCの米国での製造そして台湾での取り組みに向けた投資戦略の関連である。最先端は台湾の中で、というニュアンスを改めて感じるところである。

◇[News] TSMC Boosts Arizona Investment by US$100B, Plans 4 More Fabs for 2nm and Advanced Packaging (7月16日付け TrendForce)
→TSMCはアリゾナ州にさらに$100 billionを投資し、米国での拠点を工場10カ所と先端パッケージング施設2カ所へと拡大する一方、台湾でも大規模な拡張を継続する。同社は、海外事業の拡大に伴う利益率への圧迫要因があるものの、2030年にかけてAI関連の需要は堅調に推移すると見込んでいる。

◇TSMC Boosts 2026 Expansion Budget, Adds $100B to U.S. Investment (7月17日付け EE Times)
→1)TSMCは、AI関連顧客からの需要急増に対応するため、2026年の設備投資予算を最大$64 billionに引き上げるとともに、米国での既存の投資計画に$100 billionを追加する方針を固めた。
  NvidiaやAMDといったチップ設計企業からのこうした需要を受け、TSMCは7月16日、2026年の設備投資予算を今年に入って再び引き上げ、$60 billionから$64 billionの範囲とすることを決定した。
 2)TSMCは、急拡大するAI需要に対応するため、2026年の設備投資予算を最大$64 billionに引き上げ、米国の半導体施設にさらに$100 billionを投じる計画である。同社は生産能力を増強するものの、供給不足は続くと予想しており、同時にサムスンやインテルに対する技術的優位性も維持していく見通しである。

◇Taiwan to keep best TSMC tech despite US push (7月18日付け Taipei Times)
→台湾は、TSMCによる米国への$100 billion規模の追加投資にもかかわらず、同社の最先端チップ技術を国内に維持すると表明した。政府当局は、半導体分野での主導的地位とサプライチェーンの強靭性を強化するため、国内での事業拡大、インフラの高度化、およびAI需要の取り込みを支援する方針を示した。

◇TSMC is accelerating Arizona factory build-out to capitalize on AI ‘megatrend,’ CFO says (7月20日付け CNBC)
→1)*TSMCのCFOであるWendell Huang氏は、CNBCのインタビューに応じ、同社がアリゾナ州での事業拡大をさらに強化する方針を明らかにした。
  *同社の2nm技術が、次四半期の収益を牽引する見通しである。
  *また、調達先の多角化や安全在庫の確保により、中東情勢の混乱による影響は管理可能な範囲にとどまると見ている。
 2)TSMCは、急増するAI向け半導体の需要に対応するため、アリゾナ州の工場での事業拡大を加速させ、米国への投資額を$265 billionに引き上げる。同社は今後数年にわたる持続的な成長を見込んでおり、最先端の2nmおよび3nmプロセスの生産能力を増強するとともに、市場の変動にもかかわらず強気な姿勢を維持している。

◇AI boom drives US$100bn TSMC Arizona buildout (7月21日付け Taipei Times)
→AI需要の急拡大を受け、TSMCはアリゾナ州にさらに$100 billionを投資し、同社による米国への総投資額は$265 billionに達することになる。
 この事業拡大は、米国内での半導体生産の増強、主要顧客への支援、競争力の強化につながると同時に、最先端の研究開発拠点を台湾に維持するものでもある。

◇Trump’s push for American-made AI chips hits TSMC’s margins (7月22日付け CNBC)
→1)*ドナルド・トランプ大統領による、製造拠点を海外から米国へ移転させるよう求める圧力は、TSMCの利益率を圧迫している。
  *台湾に拠点を置く同社は、2025年にトランプ氏が政権に復帰して以来、米国での製造事業に$200 billionを投資すると発表した。
  *ホワイトハウスの広報担当者はCNBCに対し、「TSMCやその他の半導体企業による数兆ドル規模の投資は、トランプ大統領の通商・経済政策の成果である」と述べている。
 2)トランプ政権時代の通商圧力に端を発するTSMCの米国事業拡大は、AI需要が急拡大する中でも製造コストを押し上げ、利益率を圧迫している。
 同社は、海外の製造拠点が今後数年にわたり利益の重荷になると見込んでおり、コスト増分は顧客に転嫁される見通しである。

米中のAI最前線、そしてTSMCの最先端半導体製造、と逐次イベント&情勢に揺れ加減の動き&推移に目が離せないところである。


激動の世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□7月21日(火)

米国とイランの対立、そしてAI&半導体関連株の売買で、このところ上げ下げ交錯する動きが続く、米国株式市場である。

◇NYダウ続落307ドル安、米イラン対立激化を懸念 (日経 電子版 05:44)
→20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、終値は前週末比307ドル16セント(0.58%)安の5万1839ドル26セントだった。米国とイランの対立激化やエネルギー価格の高止まりへの懸念が相場の重荷となった。足元で売られていたAI・半導体関連株の一角は買われたが上値は重かった。

□7月22日(水)

◇NYダウ反発385ドル高 半導体関連株に買い、好決算も材料視 (日経 電子版 05:46)
→21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、終値は前日比385ドル38セント(0.74%)高の5万2224ドル64セントだった。半導体関連株を買い直す動きが広がり、投資家心理の支えとなった。収益が堅調と受け止められた銘柄にも買いが入り、ダウ平均は一時500ドルあまり上昇した。
 ダウ平均の構成銘柄ではないが、TSMCの米預託証券(ADR)が上昇した。「2027年に半導体の生産受託価格を最大10%引き上げる」と日本経済新聞電子版が21日に報じた。収益拡大につながるとの見方から買いが入った。他の半導体関連株にも買いが波及した。

□7月23日(木)

◇NYダウほぼ横ばい6ドル安 原油高や金利の上昇が重荷 (日経 電子版 06:02)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落し、終値は前日比6ドル06セント(0.01%)安の5万2218ドル58セントだった。イラン情勢を巡る不透明感が根強く、インフレ懸念が株価の重荷となった。半面、米主要企業の決算発表が本格化し、収益が好調だとの見方は投資家心理を支えた。足元で本格化する決算発表では、アナリストによる予想を上回る収益を示す企業が目立つ。

□7月24日(金)

◇米ナスダック急落、2カ月半ぶり安値 「現金燃やす」巨大テックに不安 (日経 電子版 05:25)
→23日の米国株式市場で、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が前日比2%安の2万5137と急落し、5月4日以来およそ2カ月半ぶりの安値を付けた。前日に決算を発表した米アルファベットがAI関連の投資拡大を示したことで、「キャッシュバーン」と呼ばれる巨大テックによる現金流出への警戒が強まった。

◇NY株式 ダウ工業30種平均 23日終値 51711.65ドル 前日比506.93ドル安 (共同通信 05:45)

トランプ政権の新たな関税の発表である。

◇トランプ米政権が新関税を発表 24日発動、日本は12.5% (日経 電子版 06:23)
→トランプ米政権は23日、新たに日本を含む60カ国・地域に追加関税をかけると発表した。税率は10%または12.5%で、日本は原則12.5%とした。米東部時間24日午前0時1分(日本時間午後1時1分)に発動する。
 日本に対しては、既存の関税との合計で12.5%を超えないようにする軽減措置を盛り込んだ。自動車関税や鉄鋼・アルミニウム関税などとの重複適用はしない。

□7月25日(土)

◇NYダウ反発235ドル高、米イランの交渉再開期待 ナスダックは続落 (日経 電子版 05:33)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、終値は前日比235ドル60セント(0.45%)高の5万1947ドル25セントだった。米国とイランの戦闘終結に向けた交渉が再開するとの期待から、主力株に買いが入った。


≪市場実態PickUp≫

【インテル関連】

直近四半期の業績発表、ファウンドリー事業の固め、など立て直しを図っているインテルの現況が、以下の通りである。CPU市場がAIブームの焦点に浮上、と好転加速の情勢に引き続き注目である。

◇Why CPUs are now at the center of the AI race ―AI boom drives surge in CPU demand, reshaping market ―US chipmakers lead, but Chinese players aim to increase their local market share. (7月19日付け KrASIA (Singapore))
→AIブームはCPU市場の様相を一変させており、NVIDIA、Qualcomm、MediaTek、Arm、GoogleおよびAmazonといった企業や中国企業など、新たな参入者を呼び込んでいます。AIデータセンター向けCPU市場は年率40%以上の成長が見込まれ、2030年には$220 billionを超える規模に達すると予測されている。こうした需要の急増は、AIワークロード、とりわけ高度なオーケストレーション(調整・制御)処理を必要とする「エージェンティックAI(自律型AI)」を処理するためのCPUs需要が高まっていることに起因している。IntelやAMDといった従来の市場リーダーたちは、エネルギー効率に優れたArmベースのアーキテクチャを活用する企業との競争に直面している。

◇Intel’s foundry lands first named customer under CEO Lip-Bu Tan, as Fortinet signs on for security chips (7月21日付け CNBC)
→1)*サイバーセキュリティ企業のFortinetは、次世代セキュリティチップの製造にIntelのファウンドリ・サービスを利用すると、火曜21日に両社が発表した。
  *Fortinetは、2025年3月にIntelのトップに就任したLip-Bu Tan CEOの下、Intelのファウンドリ事業が公表した最初の企業顧客となる。
 2)IntelはFortinetをファウンドリ顧客として獲得した。同社は次世代セキュリティチップ「SP6」の製造にIntelの「Intel 4」プロセスを採用する。この契約は、Tan CEOのファウンドリ戦略を強化するとともに、外部からのチップ製造受注を拡大しようとするIntelの取り組みを後押しするものである。

◇[News] Intel Reportedly Plans Data Center and AI Group Layoffs Despite the Unit’s 22% 1Q26 Revenue Growth (7月21日付け TrendForce)
→Intelは、効率化に向けた再編の一環として、売上高が22%増加しているにもかかわらず、データセンター・AIグループで人員削減を行うと報じられている。今回の動きは、製品に関するコミットメントやチップ開発計画を維持しつつ、業務の合理化と人員削減を図るものである。

◇Intel rises as strong forecasts signal AI boost for turnaround―Intel forecasts strong Q3 on AI-driven CPU demand (7月24日付け Reuters)
→インテルの株価は、同社が第3四半期の売上高見通しをウォール街の予想を上回る水準で示し、通期の設備投資予想を$18 billionから$20 billionに引き上げたことを受け、市場取引開始前の時間外取引で6%上昇した。この見通しの改善は、AIインフラを構築する顧客による同社のデータセンター向けCPUsの採用拡大を反映したものであり、同社はAI主導の半導体需要拡大の恩恵を広く受ける企業として位置づけられている。

◇Intel rides AI boom to fastest revenue growth in almost 15 years, but shares sink (7月24日付け CNBC)
→1)*AIブームの中で自社の立ち位置を模索する中、Intelが決算を発表した。
  *売上高は25%急増し、2011年第3四半期以来、どの期間と比べても最も力強い伸びを記録した。
  *同社の株価は今年に入って170%以上上昇しているが、足元では下落傾向にある。
 2)Intelの第2四半期決算は、AIサーバー向けチップの需要急増を背景に、2011年以来となる高い売上高の伸びを記録し、市場予想を上回った。同社は力強い業績見通しを示し、CPUの長期供給契約を拡大したほか、データセンターおよびファウンドリ(受託製造)部門の売上高と利益率の大幅な向上を報告した。

◇Intel Foundry Improves Execution, but External Customers Remain the Test (7月24日付け EE Times)
→*Intelの製造部門は回復基調にあるが、外部顧客からの売上高$293Mという数字は、現時点ではTSMCを脅かすほどのものではない。
 *Intelの製造能力は向上しているが、ファウンドリ事業の売上高に占める外部顧客の割合は依然としてわずかな水準にとどまっている。
 *Intelの第2四半期決算は、同社の製造部門の回復が本格化していることを示す、これまでで最も明確な証拠となった。Intelファウンドリ事業の売上高は前年同期の$4.4 billionから$5.8 billionと増加し、営業損失は$3.2 billionから$2.1 billionへと縮小した。同部門の営業利益率はマイナス71.7%からマイナス36.2%へと改善している。Intelはこうした進展の要因として、歩留まりの向上、サイクルタイムの短縮、そして製造拠点の規模拡大を挙げている。

◇米インテル株価が一時13%急騰 7〜9月売上高見通し、市場予想上回る (7月24日付け 日経 電子版 05:53)
→米インテルの株価が23日、時間外取引で一時、同日終値比13%高まで急騰した。2026年7〜9月期の連結売上高見通しが前年同期比16%〜23%増の158億〜168億ドルになりそうだと公表し、市場の期待を上回った。AI需要でCPUの販売が好調に推移する。売上高は事前の市場予想の平均(QUICK・コンセンサス)の150億ドルを上回った。

◇インテルもAI特需、2割増収続く見通し 米新工場は稼働5年遅延のまま (7月24日付け 日経 電子版 11:24)
→米インテルの業績が最悪期を脱してきた。AI特需を受け、23日発表した2026年4〜6月期の最終損益は実質黒字となった。売上高も2割を超える増収だった。株主である米政府の期待に応え、先端半導体の米国生産の担い手となるには技術面で課題が残る。
 26年4〜6月期の最終損益は米政府の出資に関連する特殊要因を除けば、実質的に3四半期ぶりの黒字となった。


【TSMC関連】

最先端半導体製造の投資戦略について上に触れているが、ここでは来年に向けて半導体製造の値上げを図るTSMCの動きである。

◇TSMC in Talks to Raise Prices by Up to 10% in 2027, Report Says―TSMC plans 10% price hike for chips in 2027 (7月21日付け Bloomberg)
→TSMCは、製造コストの上昇を補うため、2027年に半導体の製造価格を最大10%引き上げる計画だと報じられている。この価格引き上げは最先端および成熟した半導体の双方を対象とし、来年から適用される見通しである。

◇[News] TSMC Reportedly Plans Up to 10% Price Hikes in 2027, with Extra HPC Premiums: Apple, NVIDIA in Focus (7月22日付け TrendForce)
→TSMCはファウンドリ価格の引き上げを2027年まで延期し、その後、先端およびレガシープロセスの価格を5〜10%引き上げるとともに、HPC向けの大量注文には追加の割増料金を適用する見通しである。この動きにより、NVIDIAやAppleといったAI分野の主要企業のコストが増加する可能性がある。

◇TSMC in talks to raise prices by up to 10% in 2027, report says (7月22日付け Taipei Times)
→TSMCは、原材料費、設備費、電力コスト、および事業拡大に伴う費用の高騰が生産を圧迫していることを受け、来年、半導体の製造価格を5〜10%引き上げる計画である。AI関連の旺盛な需要や世界的なサプライチェーンの逼迫がこの値上げの要因となっているが、同社は引き続き顧客との長期的なパートナーシップを重視する姿勢を崩していない。

◇TSMC、受託価格上げ 最大10%、材料費などコスト増 (7月22日付け 日経)
→TSMCは、2027年に半導体の生産受託価格を最大10%引き上げる。複数の関係者がNikkei Asiaに明らかにした。材料費や製造装置、海外での新工場建設などに伴うコストを反映する。
 新価格は27年初に発効する。TSMCは価格引き上げを顧客と協議した。関係者によれば、値上げ幅は5〜10%だという。交渉は6月ごろに始まり7月に妥結した。

◇TSMC to raise chip production prices by up to 10 per cent in 2027, impacting global device costs (7月23日付け Electronic Times SEA)
→1)TSMCは、原材料費や設備費、海外展開に伴うコストの上昇を理由に、2027年から半導体の製造価格を最大10%引き上げる方針を固めた。この動きは世界中で幅広い電子機器の価格上昇を招き、メーカーと消費者の双方に影響を及ぼす可能性がある。
 2)報道によると、TSMCは生産コストの増加や海外工場への投資を背景に、2027年から半導体の製造価格を5%から10%引き上げる計画である。価格改定により、Apple、Nvidia、AMDといった顧客企業のコスト負担が増加し、最終的に家電製品などの価格が上昇する可能性がある。


【最先端微細化】

ASMLの「高開口数(ハイNA)」極端紫外線(High-NA EUV)露光装置、および中国・SMICの第3世代7-nmの取り組みについて、以下の通りである。

◇[News] Samsung Reportedly Holds Back High-NA EUV Mass Production to Contain Costs Ahead of Foundry Turnaround (7月17日付け TrendForce)
→Intelは、同社の「18A」プロセス(Panther Lake)における特定の層の量産に、ASMLのHigh-NA EUV露光装置を採用した初の半導体メーカーとなった。一方、Samsungは2台の装置を導入済みであるものの、収益性や2nmプロセスの歩留まりが改善するまでは、ファウンドリ事業の損失抑制とコスト管理のために導入を先送りしている。

◇SMIC's third-gen 7nm node shows smaller metal pitch than Intel 18A, higher transistor density than TSMC N6 without EUV - analysis of N+3 shows significant advancement for Chinese semi manufacturing―SMIC N+3 surpasses TSMC N6 in transistor density, but not efficiency―But its transistor density is well behind 18A's. (7月21日付け Tom's Hardware)
→SemiAnalysisによるHuawei製SoC「Kirin 9030」の詳細な分析から、SMICの「N+3」プロセスは1平方ミリメートルあたり1億1340万個という推定トランジスタ密度を実現していることが明らかになった。これは、1億770万個/mm2であるTSMCの「N6」プロセスを上回る数値である。こうした密度の向上は、self-aligned quadruple patterning(SAQP)やフィン数の削減といった、積極的なプロセス最適化によるものとされている。しかし同分析は、密度の高さが直ちに優れた性能や電力効率につながるわけではないとも指摘している。実際、Kirin 9030の実測性能は、同世代のフラッグシップ・プロセッサに及ばない結果となっているためである。

◇Advanced chipmaking tool arrives at New York state innovation hub―ASML delivers next-gen chip tool to New York research hub (7月21日付け Reuters)
→1)ニューヨーク州のAlbany NanoTech Complexに、ASMLの次世代半導体製造装置の最初の構成部品が火曜21日に到着したと、同州知事室が発表した。同コンプレックスでは、この装置を用いて、将来の半導体設計および製造技術に関する研究開発が行われる予定である。
 2)ASMLは、次世代の「高開口数」EUV半導体製造装置の最初の構成部品を、ニューヨーク州のアルバニー・ナノテク・コンプレックスに出荷した。約$400 millionの価値を持つこの装置は、半導体製造技術の進歩における重要な一歩となるものであり、2026年末までには同施設で本格稼働する見込みである。


【Agentic AIおよびPhysical AI】

半導体業界記事でも見かける頻度の高まりを感じるこれら2つのキーワードであるが、現下の関連する内容を取り出している。

◇Rapidus and Cadence Partner on Agentic AI for Advanced SoC Design (7月20日付け 3D InCites・IMAPS Content Platform)
→RapidusとCadenceは、最先端ノードのSoC設計ワークフローを自動化し、エンジニアリングの生産性と設計品質を向上させるとともに、設計ターンアラウンドタイムを最大で半減させることを目指して、「Cadence InnoStack AI Super Agent」を「Raads」プラットフォームに統合する。

◇Rapidus and Cadence Collaborate on Agentic AI for Advanced-Node SoC Design (7月20日付け EE Times India)
→*Rapidusは、最先端ノードSoCの設計ワークフローを加速させるため、Cadenceの「AI Super Agent」を同社の設計プラットフォームに統合する。
 *Rapidus株式会社とCadenceは、Cadenceの「InnoStack AI Super Agent」をRapidusの「Raads(Rapidus AI-Agentic Design Solution)」に統合することで、最先端ノードのSoC設計に向けたエージェント型AIの活用を推進するパートナーシップを締結した。

◇From Highways To Health Care: Portability Proves Key To Physical AI―Portability in chiplet architectures accelerates innovation―Success at the edge takes advantage of common threads - lithography, imaging, chiplets, and AI. (7月22日付け Semiconductor Engineering)
→チップレット・アーキテクチャにおける移植性は、自動車やエッジ・アプリケーションをはじめとする様々な産業において、AI搭載デバイスを進化させる上でますます重要な要素となっている。2024年に開始された「Automotive Chiplet Program」は、OEM、サプライヤーおよび半導体パートナー間の連携を促進し、チップレット・ベースの設計の標準化や相互運用性の円滑化に取り組んできた。こうした知見の結集は、現在「Autonomous Edge Chiplet Program」へと展開されている。同プログラムは、演算、AI、安全性およびメモリといった要素を含むチップレット・アーキテクチャの「DNA」を、ロボティクスや産業オートメーションなどの分野へと拡大適用することを目指している。その主要な目標は、ハードウェアおよびソフトウェアのリファレンス・プラットフォームのシームレスな移植性を実現し、それによってコスト削減と市場投入までの期間短縮を図ることである。

◇The future of physical AI is coming (7月23日付け Taipei Times)
→台湾は物理AIとヒューマノイドロボットの分野でリーダーとして台頭しつつあるが、専門家は軍事応用が深刻な倫理的・統治上の懸念を引き起こすと警告している。彼らは、AIが現実世界に進出するにあたり、政策立案者に対し、イノベーション、国防ニーズ、そして透明性のある監視のバランスを取るよう強く求めている。

◇日立、システム開発に自律型AIを全面活用 生産性3割向上へ (7月24日付け 日経 電子版 17:45)
→日立製作所は24日、企業向けのシステム開発で自律型のAIエージェントを全面的に活用すると発表した。要件定義やプログラミングなど全工程を対象に実装を進め、システム開発でのAI活用率を現在の60%から早期に100%まで引き上げる。
 企業や公共機関向け基幹システムのモダナイゼーションや、鉄道・エネルギーといった社会インフラのシステム開発などに活用する。


【巨額投資の一方の懸念】

米国ビッグテックの巨額投資が打ち上げられる一方で、先行きの懸念から各社の株価に微妙な反応が見られているこのところである。これも推移&動きに目が離せない感じ方である。

◇Chip stocks slide in AI unwind (7月20日付け Taipei Times)
→1)AI関連株の再考:競争激化や供給過剰の懸念、そして巨額投資が収益につながるかどうかが疑問視される中、AI関連株に再びボラティリティ(価格変動)が生じている。
 2)AI関連の支出、競争の激化、そして将来の投資回収に対する投資家の懸念から、半導体メーカーの株価は急落し、弱気相場入りした。特に中国の低価格モデル「Kimi K3」の登場が懸念を増幅させ、AI需要の堅調さや企業の好調な業績にもかかわらず、世界的なハイテク株売りを誘発する事態となった。

◇米テック5社AI投資、「見えざる債務」268兆円 注記のみ記載に危うさ (7月20日付け 日経 電子版 05:00)
→メタなど米ビッグテックで、バランスシート上では見えないAI関連投資の将来の債務が膨らんでいる。試算では主要5社合計で1兆6500億ドル(約268兆円)と約4年で8倍になり、実際の債務を上回った。リスク検証が一段と難しくなっている。

◇AI is ‘new engine’ keeping Chinese economy from harder landing (7月21日付け Taipei Times)
→AIは、エレクトロニクス、輸出および産業投資を後押しすることで、減速する中国経済を支えている。アナリストは、AIが短期的な成長と国際競争力を高めていると指摘する一方で、AI投資の勢いが衰えれば経済が弱含む可能性があると警告している。

◇米テック5社「影の債務」268兆円 AI投資で膨らむ 貸借対照表、記載なく (7月21日付け 日経)
→メタなど米ビッグテックで、バランスシート上では見えないAI関連投資の将来の債務が膨らんでいる。試算では主要5社合計で1兆6500億ドル(約268兆円)と約4年で8倍になり、実際の債務を上回った。リスク検証が一段と難しくなっている。
 グーグルを傘下にもつアルファベットとマイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ、オラクルの米5社を対象に、直近の決算資料などを調べた。オラクルを除く4社は22日から4〜6月期決算の発表を予定し、さらに増える可能性がある。

◇米州政府、データセンターでオラクルに1兆円担保要求 住民反発で―州規制当局、低格付けを理由に担保要求 (7月23日付け 日経 電子版 01:55)
→米オラクルが米中西部ウィスコンシン州で進めるデータセンター計画をめぐり、州政府が70億ドル(約1兆1000億円)超の担保を求めていることが、22日までに分かった。地域住人の懸念の高まりなどを受け、州政府が規制を厳格化した。

◇Alphabet’s cash burn raises alarm for Big Tech as AI spending climbs (7月24日付け Taipei Times)
→Google Cloudが急成長を遂げる中、Alphabetの四半期における現金支出が過去最高の$5.9 billionに達したことは、AI投資コストの増大を浮き彫りにしている。投資家の間では、Microsoft、MetaおよびAmazonもAI関連の支出をさらに拡大させるとの見方が強まっており、収益性やキャッシュフロー、そして長期的なリターンに対する懸念が高まっている。

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