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G7広島サミットに合わせた半導体関連:米台韓大手首相面会、対日投資発表

世界各国・地域の経済安全保障に向けた半導体サプライチェーンの強靭化確保が主要議題の1つに挙げられて、このほど開催の主要7カ国首脳会議、G7広島サミットの直前に、米台韓の半導体大手トップが岸田首相と面会、意見交換を行っている。日本での事業展開について、首相自ら日本への投資を呼びかけるとともに、日本政府の支援への期待があらわされたものと思われる。続いて、参加各社から、それぞれに我が国での活動そして投資の計画があらわされている。サミットならではの一堂に会した今回の場の今後の展開に注目するところである。ChatGPTはじめ生成人工知能(AI)の活用を巡っては、G7広島サミットでも討議が行われ、ルールに向けた見解を年内にまとめるとされている。ChatGPTを巡る取り組み、動きは、依然世界的に活発に引き続いている。

≪我が国に向けた揃い踏み≫

米台韓の半導体大手トップの岸田首相との面会について、関連記事が次の通りである。

◇米台韓の半導体大手、岸田首相と面会へ;対日投資を協議 (5月17日付け 日経 電子版 12:51)
→松野博一官房長官は17日の記者会見で、岸田文雄首相と半導体メーカー幹部との面会を18日にも開けるよう調整していると明かした旨。米台韓の半導体大手と、日本への投資や拠点開設などについて意見交換する旨。経済安全保障の観点から国内の半導体供給の体制を強化する狙いがある旨。
首相官邸で18日に会談する旨。米インテル、米IBM、米マイクロン・テクノロジー、米アプライドマテリアルズ、台湾積体電路製造(TSMC)、韓国サムスン電子、ベルギーの半導体研究開発機関、imecの会長や最高経営責任者(CEO)らが参加する旨。

◇米台韓の半導体大手7社トップら、岸田首相と面会へ (5月18日付け 日経 電子版 05:00)
→米国と欧州、韓国、台湾の半導体関連の7社の幹部が18日午前、首相官邸で岸田文雄首相と面会する旨。世界の半導体大手の幹部が一堂に集まるのは異例。
半導体企業が日本での事業計画を説明し、日本側は投資拡大を呼びかける旨。
出席するのは、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音・董事長、米インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)、米マイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロートラCEOら7人。韓国サムスン電子や米IBMの幹部も名を連ねる旨。

次の記事によると、出席は以下の各社とされている。
 TSMC
 インテル
 Micron Technology
 Samsung Electronics
 Applied Materials
 IBM
 imec

◇首相、半導体投資を要請;米台韓の大手7社幹部と会談 (5月18日付け 日経 電子版 11:47)
→岸田文雄首相は18日、米国や欧州、韓国、台湾の半導体関連の7社の幹部らと首相官邸で面会した旨。世界の半導体大手の幹部が一堂に集まるのは異例。半導体の安定確保の重要性が高まっている旨。日本での事業展開について意見を交わし、首相自ら日本への投資を呼びかけた旨。

◇Kishida Meets Intel, TSMC, Micron Execs as Japan Joins Chip Race‐Prime minister touts Japan's potential to chipmakers (5月17日付け BNN Bloomberg (Canada))
→岸田文雄首相は、広島でのG7サミットに先立ち、Micron, Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.(TSMC), Samsung, IBM, Applied Materials Inc. およびIntelの幹部と会談し、半導体の国内生産を拡大するという日本の目標について話し合った旨。幹部たちは、日本へのさらなる投資の鍵は、需要と財政的インセンティブにあると述べた旨。

◇Kishida invites TSMC chair to meeting‐RARE OCCASION: Although Japan is seeking to bolster its supply chain, it is unusual for the top executives of the world’s major semiconductor firms to meet in one place (5月18日付け Taipei Times)
→台湾積電(TSMC、台積電)のMark Liu(劉音)会長は、日本で岸田文雄首相と会談するよう招待されていると、世界最大の契約チップメーカーが昨日発表した旨。
TSMCは声明の中で、劉氏が本日、岸田氏主催の会合に出席すると述べたが、詳細は明らかにしなかった旨。

この会合前後に、上記各社からの日本での活動および投資の計画について目に入った範囲で以下の通り発表ないし関連記事が見られている。

≪TSMC≫

◇TSMC to continue investing in Japan: company chairman (5月19日付け Taipei Times)
→台湾積体電路製造(TSMC)は、日本への投資を継続し、日本国内の半導体パートナーとの協力を強化していく、と同社のMark Liu(劉音)会長が木曜18日に声明で述べた旨。

≪インテル≫

◇インテル・理研、量子計算機で提携;共同で技術開発 (5月18日付け 日経 電子版 15:52)
→米インテルが理化学研究所と提携し、量子コンピューター技術などの共同研究に乗り出す旨。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が18日、都内で日本経済新聞とテレビ東京の単独取材に応じ、明らかにした旨。最先端の半導体を手掛けるインテルと連携することで、日本の量子コンピューターの研究開発が加速しそう。

◇Intel eager to partner with Japan in chip manufacturing: CEO‐Quantum computing among possibilities for cooperation (5月18日付け Nikkei Asia)
→米インテルは、半導体製造のための技術や材料を開発するために、日本の企業や研究機関との協力を深めていく、と同社のCEOが木曜18日の日本経済新聞のインタビューに答えている旨。

≪Micron Technology≫

◇Micron to Bring EUV Technology to Japan, Advancing Next-Generation Memory Manufacturing (5月18日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Micron Technology社は、次世代DRAMである1-gamma (1γ)ノードの製造に向け、EUV(極端紫外線)技術を日本に導入することを発表した旨。Micronは、EUV技術を日本に導入する最初の半導体企業であり、広島工場は、1-γノードの開発において重要な役割を果たす旨。

◇マイクロンCEO「日本の先端半導体工場に5000億円」 (5月18日付け 日経 電子版 10:57)
→米半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジーは広島県のDRAMを生産する工場など日本国内に今後数年で最大5000億円を投資する旨。日本政府から支援をうけ、広島県の工場に最先端の製造ラインを導入する旨。サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞社のインタビューに応じ明らかにした旨。

◇Micron Is Said to Get $1.5 Billion From Japan for Next-Gen Chips (5月19日付け Taipei Times)
→米Micron Technology社が、日本国内での次世代メモリー半導体の製造を支援するため、日本政府から約2000億円($1.5 billion)の金融優遇措置を受ける準備が整っていることが、関係者の話で明らかに、国内半導体生産を後押しする東京の取り組みの最新ステップの旨。

≪Samsung Electronics≫

◇Samsung reportedly to build back-end chipmaking faciltiy in Japan‐Samsung eyes back-end semiconductor facility in Japan (5月15日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsは、日本の横浜に後工程の半導体製造拠点を計画しており、2年後の操業開始を目指している、と情報筋は述べている旨。

◇サムスン、日本重視に3つの理由;横浜に半導体開発拠点 (5月15日付け 日経 電子版 05:00)
→韓国サムスン電子が横浜市に半導体開発拠点を設ける旨。アジアを代表するテック企業が日本を重視するのはなぜか。その理由として
 1.日本が持つ要素技術の強み
 2.米中分断下の地政学的な情勢変化
 3.日本企業の技術協力を受けて電子産業に進出したサムスンの「生い立ち」
の3つが挙げられる旨。

◇Japan's advanced chipmaking suppliers help prompt Samsung to open hub‐U.S.-China tech war, founder's philosophy also behind new research facility in Yokohama (5月16日付け Nikkei Asia)
→Samsung Electronicsは、日本が持つ最先端の材料や装置に関する技術を活用するため、横浜に半導体研究施設を計画するなど、日本での新たな協力の機会を模索、手本を得ようとしている旨。
Samsungのソウル郊外にある華城キャンパスでは、サムスン電子のサプライヤーのエンジニアがよく見かけるようになった旨。これは、サムスン電子が最先端の半導体を開発・量産する上で優位に立つために外部のパートナーとより密接に連携しているから。

≪Applied Materials≫

◇アプライド半導体トップ「日本で今後数年に800人採用」 (5月18日付け 日経 電子版 19:12)
→半導体製造装置の世界最大手、米アプライドマテリアルズ(AMAT)の半導体部門トップ、プラブ・ラジャ・プレジデントは18日、同社日本法人で今後数年間にエンジニアを800人採用し、人員規模を現在の1.6倍に拡大する方針を明らかにした旨。日本経済新聞のインタビューに応じた旨。日本政府が経済安全保障の観点で半導体投資を続けるなか、「日本での研究開発や人材育成にさらに力を入れる」と話した旨。

≪imec≫

◇imecのCEO「北海道に半導体研究拠点」;産学と連携も (5月17日付け 日経 電子版 23:35)
→世界的な半導体研究開発機関であるベルギー「imec(アイメック)」のルク・ファンデンホーブ最高経営責任者(CEO)は17日、日本経済新聞のインタビューで「ラピダスを支援し、日本の大学や他企業と密接に連携するのに、北海道に研究拠点を置くのが理にかなっている」と語った旨。

関連の発表記事がまだ続くかと思われるが、現時点での対日投資の規模があらわされている。

◇半導体大手、対日投資2兆円超;東アジアの経済安保強化 (5月18日付け 日経 電子版 20:37)
→米国や欧州、韓国、台湾の半導体企業が日本への投資を拡大している旨。日本政府が半導体政策に力を入れ始めた2021年以降、関連企業が表明した日本への投資額は計2兆円超になる旨。中国を念頭に価値観を共有する国々で半導体の供給網を整備し、東アジアの経済安全保障を強化する旨。

我が国での推移、動きに引き続き注目するところである。

次に、各国・地域のChips Actに絡む動きである。まずは、EU Chips Actについて。

◇EU Creates Alert System for Semiconductor Supply Chain‐EU tests alert program for semiconductor disruptions (5月12日付け SupplyChainBrain)
→欧州委員会(EC)が、半導体の供給に関する欧州のあらゆる問題について、企業や個人が情報を共有できる「半導体アラートシステム」のパイロットプログラムを開始した旨。このプログラムは、EU Chips Actの一環として実施されるもの。

◇EU must build cutting-edge computer chips - industry chief Breton (5月16日付け Reuters)
→欧州連合(EU)の欧州委員会域内市場担当委員、Thierry Breton氏は、先月可決されたEuropean Chips Actについて、欧州は自前の最先端半導体を製造しなければならないと強調した旨。

◇EU must build cutting-edge computer chips - industry chief Breton‐European Chips Act signals EU's chip goals, industry chief says (5月16日付け Reuters)
→EU Commissioner for Internal Market、Thierry Breton氏が、Antwerpで開催された半導体企業の会議で、「Chips Actが合意されたことで、欧州内外の皆さんに、欧州はビジネスに対してオープンであるという強いシグナルを送ることになる」と述べた旨。該Chips Actは、米国や中国、台湾、韓国、日本での半導体製造を奨励する同様の計画に対する欧州の回答である旨。Breton氏は、半導体製造における欧州のシェアを現在の10%から20%に倍増させるという目標を繰り返したが、専門家によれば、EUの計画は、米国や中国が提供している支援よりも少ないとのこと。

おひざ元の米国のChips Act関連である。

◇CHIPS Act's $500M Tech Hubs program has launched. Here's who is eligible. (5月12日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→CHIPS Actの$500M Tech Hubs助成プログラムが、第一次募集を開始した旨。米国商務省の該プログラムは、多額の資金を投入することで全米の技術革新を後押しすることを目的としている旨。

◇Taiwan-based US defense supplier to apply for Chips Act subsidies (5月12日付け DIGITIMES)
→米国の軍事防衛プロジェクトにエピウエハーを供給している台湾のIntelliEPI社は、米国に新しい工場サイトを建設するため、US Chips Actの資金を申請する意向の旨。

◇Securing Semiconductors: How to Scale-up Global Semiconductor Production and Protect U.S. National Security at the Same Time (5月15日付け U.S. Department of State)
→CHIPS Actの成立により、国務省は、主要技術分野における国際的な安全保障と回復力を強化するために、今後5年間で$500 millionを実施する機会を得た旨。 最先端の半導体は強力なデュアルユース商品であり、これらの高度な半導体を不正な入手から守ることは重要な課題である旨。 国際安全保障・不拡散局は、この問題を前進させるための先導役を担っている旨。

米中の狭間にあって難しい立場の韓国であるが、米韓首脳会談で米国の譲歩を得られなかった状況があらわされている。

◇「米国には譲ってばかり」 韓国、半導体ゼロ回答の波紋‐急旋回の韓国 尹政権1年(3) (5月18日付け 日経 電子版 02:00)
→「誰に被害を与えるものでもない。米韓はWin-Winの関係だ」
4月26日、韓国との首脳会談を終えた米大統領のバイデンは語気を強めた。先端半導体分野の中国投資を規制する方針に、異論は受け付けないという宣言だった。隣に立つ韓国大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)は見守るばかりだった。・・・・・

国際政治&経済の激動に揺さぶられる推移に、引き続き注目である。


コロナ「5類」移行とはいえ、用心怠りなくの現状と言えるかと思うが、コロナ前に戻る舵取りがそれぞれに行われている中での世界の概況について、以下日々の政治経済の動きの記事からの抽出であり、発信日で示している。

□5月16日(火)

債務上限問題の収まらない推移などを受けて上げ下げが見られた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ6日ぶり反発、47ドル高;債務上限の警戒和らぐ (日経 電子版 06:14)
→15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前週末比47ドル98セント(0.1%)高の3万3348ドル60セントで終えた旨。イエレン米財務長官が13日、米債務上限問題を巡る交渉について「進展している」との認識を示した旨。市場の過度な警戒が和らぎ、主力株の一部に買いが入った旨。前週末まで5日続落していたため、自律反発狙いの買いも支えだった旨。

米国の対中規制法案第2弾の動きに注目である。

◇米議会、対中国法案第2弾策定へ;投資や土地買収規制 (日経 電子版 14:30)
→米連邦議会が中国との覇権争いを優位に進めるための「中国対抗法案」の策定を始めた旨。対中投資を規制する新制度創設や米国内の土地買収の制限強化などを検討する旨。2022年8月に成立した半導体分野で国内回帰を促す法律に続く第2弾の位置づけで、強硬姿勢を一層強める旨。
民主党の上院トップ、シューマー院内総務が表明した旨。各議員が作成・検討している中国関連法案も取り込みパッケージにする旨。

□5月17日(水)

◇NYダウ反落、336ドル安;消費関連株に売り広がる (日経 電子版 05:52)
→16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比336ドル46セント(1.0%)安の3万3012ドル14セントで終えた旨。朝方に決算を発表したホームセンターのホーム・デポが下落し、他の消費関連株も売りが優勢となった旨。米連邦政府の債務上限を巡る不透明感もくすぶり、ダウ平均は取引終了にかけて下げ幅を拡大した旨。

我が国の1~3月GDPが、3四半期ぶりのプラスである。

◇GDP年率1.6%増;1~3月、3四半期ぶりプラス (日経 電子版 11:07)
→内閣府が17日発表した2023年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算で1.6%増、プラス成長は3四半期ぶり。新型コロナウイルス禍からの経済の正常化で、堅調な個人消費が全体を押し上げた旨。

G7とタイミングを合わせて、日経平均株価が3万円台に乗り、海外投資家が押し上げとされている。

◇日経平均一時3万円台;1年8カ月ぶり、海外勢が押し上げ (日経 電子版 12:43)
→17日の東京株式市場で日経平均株価が続伸し、節目の3万円を一時上回った旨。取引時間中に3万円台をつけるのは2021年9月以来、1年8カ月ぶり。世界景気の先行きが不透明感を増すなかで、日本は企業業績の底堅さや資本効率の改善に対する期待など独自の好材料が多い旨。海外投資家の日本買いが株価を押し上げている旨。

□5月18日(木)

◇NYダウ反発、408ドル高;債務上限問題の合意に期待感 (日経 電子版 05:45)
→17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比408ドル63セント(1.2%)高の3万3420ドル77セントで終えた旨。米債務上限問題を巡って、与野党の合意に向けた期待が広がり、買いが入った旨。米小売り大手が発表した四半期決算が市場予想を上回り、米経済の屋台骨である消費の先行き不安が薄れたのも相場を押し上げた旨。

意外に落ち込まないロシアのGDP、制裁で埋まらない「抜け穴」である。

◇ロシアGDP、1.9%減に縮小;制裁「抜け穴」埋まらず (日経 電子版 17:58)
→ロシア連邦統計局が17日に発表した2023年1〜3月の国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比1.9%減、前期(2.7%減)からマイナス幅が縮小した旨。米欧主導の対ロシア制裁の「抜け穴」が埋まらず、ロシアはウクライナ侵攻を継続する能力を維持している旨。

□5月19日(金)

米国の債務上限問題は、バイデン大統領の日本からの帰国待ちとなっている。

◇米債務上限、共和トップ「合意に道筋」;民主は譲歩警戒 (日経 電子版 05:28)
→米連邦政府債務の上限引き上げを巡り、野党・共和党のマッカーシー下院議長は18日「合意に達する道筋がみえてきた」と述べた旨。来週に連邦議会下院が承認する可能性に言及した旨。今週末にも共和が要求する歳出削減策でバイデン大統領と基本合意する段取りを想定する旨。

◇NYダウ続伸、115ドル高;ハイテク株買われる (日経 電子版 05:47)
→18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比115ドル14セント(0.3%)高の3万3535ドル91セントで終えた旨。米債務上限問題への懸念が後退しつつあり、ハイテク株などへの買いが広がった旨。半面、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化が米景気を冷やすとの見方は重荷となり、ダウ平均は下げる場面もあった旨。

□5月20日(土)

◇NYダウ反落、109ドル安;債務上限の協議中断を嫌気 (日経 電子版 05:42)
→19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比109ドル28セント(0.3%)安の3万3426ドル63セントで終えた旨。米債務上限問題を巡る政府と野党・共和党の協議が難航していると伝わった旨。双方の見解になお隔たりがあることが改めて意識され、先行き不透明感から売りが優勢だった旨。


≪市場実態PickUp≫

【Oppoの半導体設計部門解散】

中国のスマートフォン最大手、Oppoが、社内の半導体設計部門を解散、以下の業界各紙の取り上げである。スマホ市況低迷に加えて、米国の対中制裁の影響を受ける見方があらわされている。

◇China’s phone giant Oppo disbands chip design unit as shipments slump‐China's Oppo smartphone company abandons in-house chip unit (5月12日付け TechCrunch)
→世界的な需要の低迷により、大手携帯電話メーカーがコスト削減や戦略の見直しを迫られる中、中国のスマートフォン大手、Oppoは、若手半導体設計部隊、Zekuを解散させる旨。

◇Chinese smartphone maker Oppo abruptly closes chip design unit Zeku, another casualty in semiconductor sufficiency drive (5月12日付け South China Morning Post)
→*世界第4位のスマートフォンブランドであるOppoは、従業員に1日足らずの予告をした後、金曜12日に短い声明でこの動きを発表した旨。
 *中国が半導体の自給自足を推進する中、米国の輸出規制の中でファブレス企業は自社設計の製造メーカーと契約することが困難になっている旨。

◇Top Chinese smartphone maker exits chip design (5月13日付け Taipei Times)
→中国国内最大のスマートフォンメーカー、Oppoは、世界のスマートフォン市場が長期的な落ち込みを見せる中、半導体設計事業を閉鎖することになった旨。

◇Smartphone giant Oppo’s closure of chip design unit Zeku triggers speculation on cause of action, as 3,000 engineers are laid off (5月15日付け South China Morning Post)
→*経済的な不確実性により、OppoはZekuを閉鎖し、国内最大の半導体産業におけるレイオフの1つとして約3,000人のエンジニアを解雇することになった旨。
 *中国のアナリストの間では、Zekuを閉鎖したもう一つの理由として、米国の潜在的な貿易制裁を回避するための努力を挙げているとの憶測もある旨。

◇中国OPPO、半導体自社開発を中止;スマホ不振で (5月17日付け 日経)
→中国スマートフォン大手のOPPOは、スマホ向け半導体の自社開発を中止したと明らかにした旨。同社はここ数年、基幹部品の内製化を進める狙いで半導体に注力していたが、世界でスマホの需要が低迷していることなどを受けて戦略の見直しを迫られた旨。
OPPOは2021年12月に自社開発した初のスマホ向け半導体「マリシリコンX(MariSiliconX)」を発表。回路線幅が6ナノメートルと当時の先端品で、画像処理の性能向上につなげた旨。その後も自前の半導体を自社スマホに搭載してきた旨。


【Apple関連】

M2半導体搭載Macのお披露目を控える段階ながら、M3 Proプロセッサの動向が以下取り沙汰されている。

◇Apple Begins Testing Speedy M3 Chips as It Pursues Mac Comeback‐Apple ramps up M3 chip testing ahead of M2 Mac launch (5月14日付け Bloomberg)
→Appleは、M2半導体を搭載したMacのデビューを控え、M3 Proプロセッサのテストを行っていると報じられている旨。M3は、3ナノメートルで作られたシリーズ初の製品になると予想されている旨。

◇Report: Apple Testing M3 Pro Chips With 12 CPU and 18 GPU Cores‐Its new M3 Pro SoC will also have at least 36 GB of RAM onboard, say insiders. (5月14日付け Tom's Hardware)
→M2半導体を搭載したMacの最新作をデビューさせる準備として、非常に評判の良いインサイダーが、すでにテスト中とされる最初のApple M3半導体の主要スペックのいくつかを共有した旨。

◇Apple's 'M3 Pro' chipset could feature 12 CPU cores‐The first M3 chips will reportedly arrive later this year. (5月14日付け Engadget)

機密漏洩起訴の1件である。

◇A former Apple engineer has been accused by the DOJ of stealing the company's autonomous vehicle technology (5月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→米司法省は、Appleの元エンジニアであるWeibao Wang氏が、自律システムプロジェクトのソースコード全体を含む独自技術を盗んだとして告発した旨。

◇米当局、Apple元社員起訴;自動運転技術を中国に漏洩か (5月17日付け 日経 電子版 07:35)
→米アップルの自動運転関連の機密情報を盗んだとして、米司法省は16日、中国籍の同社元社員を窃盗や窃盗未遂の罪で起訴した旨。中国が米国の技術を盗もうとする行為に対抗するために米政府が2月に立ち上げた専門組織による初の摘発例のひとつとなり、米中の緊張が高まる可能性もある旨。

中国からインドに生産の移行を図るAppleであるが、部品供給での中国依存の問題があらわされている。

◇Apple still relies on China for components supply despite expansion in India‐Reports: Apple's supply moves in India won't replace China (5月17日付け DIGITIMES)
→Appleがインドで生産を開始しても、部品の中国への依存は続く見込みであるとの報道があった旨。情報筋によると、一部のiPhoneの組み立てはインドで行われており、AirPodsも生産に加わる予定であるが、MacとiPadはまだ別の場所で作られているとのこと。


【Samsung関連】

SamsungとTeslaの自動車半導体を巡るトップ会談が行われている。

◇Samsung, Tesla boost car chip partnership as Lee, Musk meet (5月15日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→サムスン電子のJay Y. Lee執行会長は、Tesla社のElon Musk最高経営責任者(CEO)と水曜10日、シリコンバレーで初めて会談、自動運転車用半導体を中心とした将来の産業分野での両社の協力拡大策を協議した旨。

業界最先端のDDR5 DRAMの量産開始が発表されている。

◇Samsung starts mass production of most advanced DRAM chips‐Samsung's 12nm-class DDR5 DRAM moves into mass production (5月18日付け The Korea Herald (Seoul))
→世界最大のメモリ半導体メーカー、Samsung Electronicsが、業界最先端の12ナノメートル級プロセス技術を活用した16ギガビットDDR5 DRAMの量産を開始した、と木曜18日に発表した旨。

ここでも企業秘密漏洩の1件である。

◇Samsung fires semiconductor engineer for mishandling company secrets (5月18日付け The Korea Times)
→Samsung Electronicsは、半導体製造を担当するデバイスソリューション(DS)部門が、先月、専有データを含む数十通の電子メールを私用メールアカウントに送信していたことが判明した技術者を最近解雇した、と発表した旨。


【生成AI、ChatGPT関連】

上記の通り、目まぐるしい動き、推移が見られているが、世界から各社内と、それぞれの階層のルール作りに注目するところである。

◇日立、生成AIの専門組織;ChatGPT活用 (5月15日付け 日経 電子版 14:57)
→日立製作所は15日、文章などを自動でつくる生成AI(人工知能)を手掛ける専門組織、「ジェネレーティブAIセンター」を設立したと発表、社内のAI人材などを集め、事業の枠を超えた研究開発を進める旨。日本マイクロソフト(MS)と技術連携し、米MSが出資している米オープンAIの「ChatGPT」の技術などを使う旨。

◇Sam Altman, CEO of ChatGPT developer OpenAI, tells Congress AI should be regulated (5月16日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ChatGPT開発企業、OpenAIのCEO、Sam Altman氏が、火曜16日に上院司法小委員会で人工知能(AI)の可能性と危険性について証言した旨。議会は火曜16日から、生成型人工知能がビジネスや社会に与える影響と潜在的な危険性を探っている旨。

◇ChatGPT開発のCEO「高度AIに免許制を」;米議会で提案 (5月17日付け 日経 電子版 06:31)
→対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を開発した米新興オープンAIのサム・アルトマン(Samuel H. Altman)最高経営責任者(CEO)は16日、米議会上院の小委員会で証言、AIのリスクに対し「政府による規制面での介入が重要になる」と述べ、高度なAI開発とサービス提供にライセンス制を導入することを提案した旨。

◇ChatGPT組み込みサービスを狙う攻撃;情報漏洩の恐れ (5月17日付け 日経 電子版 05:00)
→話題の対話型人工知能(AI)「ChatGPT」。外部サービスと連携するAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が公開されたこともあり、ChatGPTを利用した商用のウェブサービスが登場し始めた旨。今後は雨後のたけのこのように続々登場すると予想される旨。
ただ、ChatGPTをシステムに安易に組み込むのは危険。ChatGPTを活用するウェブサービスに対する攻撃が情報漏洩の恐れの旨。

◇ChatGPTがスマホアプリに;まず米国でiPhone向け (5月19日付け 日経 電子版 05:03)
→米新興企業のオープンAIは18日、対話型AI(人工知能)「ChatGPT」のスマートフォンアプリの配信を始めたと発表、音声入力にも対応した旨。米アップルのiPhone向けに提供し、近く米グーグルの基本ソフト(OS)アンドロイドのスマホにも対応する旨。
米国向けを手始めに今後数週間で対応地域を広げる旨。

◇生成AIのルール、年内に見解;G7閣僚級「広島プロセス」 (5月20日付け 日経 電子版 00:54)
→主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)は19日、ChatGPTに代表される汎用的な人工知能(AI)の活用を巡って討議した旨。年内に著作権保護や偽情報対策などを含むG7としての見解をまとめることで合意した旨。

◇Apple、ChatGPTの社内利用を制限;機密流出を懸念 (5月20日付け 日経 電子版 07:33)
→米アップルが一部の従業員に対し、対話型AI(人工知能)「チャットGPT」などの業務利用を制限していることが分かった旨。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が19日までに報じた旨。アップルが同様のAI技術を開発するにあたり、社内の機密情報が漏洩する可能性があることを懸念している旨。


【当面の半導体市況】

低迷する市場がいつ底を打って回復に向かうか、まだ下落が続いて先が見えないとする見方、そして第三四半期には回復するとの予測も、いまだ定まらない現時点である。

◇Q2 memory price to fall further‐TrendForce: DRAM, NAND prices expected to drop in Q2 (5月15日付け Electronics Weekly (UK))
→第二四半期のDRAMとNANDの価格は、減産が需要の弱まりに追いついていないため、下落する、とTrendForceは述べている旨。

◇半導体需要、底入れ見えず;4〜6月、在庫調整続く;中国のスマホ消費鈍く (5月16日付け 日経産業)
→半導体の需要が底入れするタイミングが見通せなくなっている旨。最終製品のスマートフォンやパソコン(PC)を含む在庫が積み上がったまま解消されず、製造受託最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は2023年12月期に14年ぶりの減収となる見通し。
中国消費の立ち上がりが遅れ、関連メーカーの楽観論が大きく後退している旨。

◇台湾IT主要19社、4月5%減収;半導体回復見えず (5月17日付け 日経)
→世界のIT大手に半導体やデジタル製品を供給する台湾メーカーの業績が低迷している旨。主要IT、19社の4月の売上高合計は前年同月比5%減。マイナスは3カ月連続。新型コロナウイルス禍で発生した特需の反動や、世界的なインフレによる消費・投資の減速を受け、半導体などの需要回復が見えない状況。

◇Chip recovery in Q3, say SEMI and TechInsights‐SEMI: Recovery forecast in Q3 for semiconductors ‐The semiconductor industry contraction is expected to moderate in Q2 to be followed by a gradual recovery starting in Q3, says SEMI. (5月17日付け Electronics Weekly (UK))
→SEMIが、TechInsightsとともに、第三四半期の半導体産業の回復を予測している旨。SEMIによれば、第二四半期のシリコンの出荷とICsの売上げは、第一四半期よりも改善を見せているとのこと。

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